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活用事例 2019.08.27

海外でも高齢者向けVR活用 思い出の場所訪問やVRエクササイズ

若者向けのエンターテイメントや企業での活用といった点が目立ちがちなVRですが、高齢者にとっても有効なツールであるとの認識が広まっています。例えば異なる時空間を共有しながら他者とコミュニケーションをとる、移動せずに旅行する、といった体験がVRでは可能です。

本記事では、シニア向けにVRソリューションを提供する5つの海外企業を紹介します。

Viarama

イギリスのViaramaは、終末期医療を受ける高齢者の生活に喜びを与えることにトライしています。VRヘッドセットHTC Viveとアプリ「Google Earth VR」を使い、結婚式を挙げた場所、従軍した場所、などの好きなところへ連れて行くのです。

CEOのBilly Agnew氏は「体験者がVRをどんなに楽しんでいるか、そしてコンテンツがいかに強い影響を持っているか、という事実に圧倒されました。(中略)最初にホスピスでVR体験を提供した際、内容評価のために2名の医師に立ち会ってもらいました。その2人も、あまりの感動に涙していました」と効果を語っています。

Mynd VR

MyndVRが掲げるのは、VRによる高齢者の生活の改善、生活するコミュニティの支援です。同社はすでに、55以上の施設にVR技術を提供。高齢者の健康にポジティブな効果をもたらそうとしています。具体的には、アルツハイマー等の認知症を患う高齢者が安全な環境にいるままで、意義深く、楽しい体験ができるというものです。

VR体験には360度カメラで撮影した映像を使用。コンテンツの一例を挙げると、1950年代の様子をそのまま、バンドコンサートを会場にいるかのように楽しむといった内容です。
同社は2019年4月にHTCのAR/VRスタートアップ支援プログラム、VIVE Xの第4期選考に採択されており、一体型ヘッドセットVive Focusにも対応を決めています。

Rendever

米国で行われた調査では、高齢者の孤独感が寿命を縮めることや、50%以上の高齢者が気分の落ち込みや孤立感を感じるということが明らかになっています。Rendeverが取り組むのは、この社会的な孤立感をVRで解消しようというもの。過去3年で米国とカナダにある100以上の高齢者施設に、40万以上のコンテンツを展開してきたといいます。

コンテンツで体験できるのは、自身の幼少期を過ごした家や、結婚式場といった場所。VRを使い、思い出の旅へと出かけるものです。また複数人での体験が可能になっており、施設内の高齢者やスタッフと思い出を共有し、交流を深めることもできます。

VR Genie

VR Genieは非営利組織Equality Labが運営する企業です。同社は「最先端技術で人生の質(Quality of Life)を改善する」と掲げ、孤独感や憂鬱感を解消するためにVRコンテンツを提供します。ユーザーは宇宙空間、海の中、山頂などの好きな場所を選び、VRを通してそこに行く体験ができます。
そして特に高齢者に対しては、最後の願いを叶えることを目指しています。例えばオーロラを見たい、エッフェル塔に行きたい……等々。同社によれば、この体験は非常に良い効果をもたらしているということです。

バーチャル・エクササイズ

米国では高齢者に対し、怪我を防ぐといった目的で1週間に150分の運動が推奨されています。施設にもトレーニングマシーンが設置されていますが、久しぶりに身体を動かすことによる痛み等から、エクササイズをためらう高齢者は少なくありません。

デンマーク、オールボー大学のJon Ram Bruun-Pedersen氏は、VRを使いこの課題の解決に取り組みます。運動を面倒な作業ではなく、わくわくして没頭できるものにする、というものです。
具体的には、VRで鳥や草木の美しい山岳風景を見せ、屋外にいるかのような情景を作り出します。この中でバイクマシーンを漕ぐため、高齢者も積極的に参加するといいます。その効果は、トライアルに参加した理学療法士からトレーニングプログラムで使用したいと申し出があったほどでした。

高齢者向けのVR体験に取り組む企業は増加しており、超高齢社会の日本もその例外ではありません。Mogura VRでは国内外の下記のような事例を紹介しています。

(参考)Forbes


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