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活用事例 2019.08.20

VRで陣痛を緩和、8割近くが痛み軽減 英大学病院

医療分野でのVR活用例の一つとして、「患者の痛みを緩和させる」というものがあります。英国の大学病院では、妊婦の陣痛中の痛みや不安感を和らげる目的で、VR導入を試行中です。実証実験の結果からは、妊婦の痛みが軽減したり、鎮痛剤の使用が減ることが明らかになりました。

陣痛中にVRでリラックス

ウェールズ大学病院が検討するのは、妊婦にVRコンテンツを見てもらい、陣痛の痛みや不安感を緩和する療法です。コンテンツ内容は美しいビーチや海の中、オーロラ等。出産前の痛みと闘う妊婦が、ヘッドセットを装着して横になり、ゆったりとリラックスできるというものです。

「本当に360度見えます。振り返ると、後ろにも横にも景色が広がっているのです」VRを体験したある妊婦はこのように語りました。「(VRは)リラックスする助けになります」

77%の妊婦が痛み軽減

効果を確認する実証実験は次のように行われました。20名の妊婦は、10名ずつ2つのグループに分けられます。片方は陣痛中にVRを使うことができ、もう片方の組にはVRツールがありません。

看護師が各妊婦に対し、痛みのレベルを10段階で示してもらい確認します。なお全員、無痛分娩で用いる痛みの緩和のための麻酔は使用できます。ただしVRグループは陣痛中、少なくとも15分間はVR体験をすることが条件付けられています。

実験の結果、VRを体験した妊婦の77%には体験の後に明確な痛みの軽減が見られました。また77%は、今後も陣痛の際にVRを使用したいと回答したということです。
また非VRグループで鎮痛剤を用いたのが4人だったのに対し、VRグループではわずか2人でした。

「この実験から、陣痛中のバーチャルリアリティ使用は(妊婦の)痛みを緩和し、また鎮痛剤の使用を減らす可能性もあると結論付けられます」実験に関する論文はこのように述べています。「今後はよりサンプルを増やした追加実験を計画中です。実験結果が示すのは、痛みに苦しむ患者へのVRのポジティブな影響です。特に陣痛の潜伏期の妊婦に対して」

類似の実験は約900

専門家によると、VRを痛みや不安感の緩和に用いることについては、これまでに約900の実験が行われているということです。MoguraVRでも、下記のような事例を紹介しています。

(参考)VRScout
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