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活用事例 2017.10.20

「最新PCの4割近くが対応」マイクロソフトが5機種投入でVRを本格展開

日本マイクロソフトは、Windows 10向けの最新アップデート「Fall Creators Update」に関する発表会を10月18日に開催しました。このアップデートにはWindowsを搭載したPCで複合現実(Mixed Reality・MR)を体験できるWindows Mixed Reality(Windows MR)への正式対応などが含まれています。本記事では、発表会のWindows MRに関する情報をレポートします。

会場に入ると、各社メーカーによるMRヘッドセットがずらりと並べられていました。奥からデル、エイサー、HP、富士通、レノボのMRヘッドセットとなっています。

WindowsプラットフォームはVRとARの双方をサポートへ

当日の発表会では日本マイクロソフトの梅田成二氏が登壇、Windows Mixed Realityの紹介を行い、今後の展開について語りました。梅田氏は「Windows Mixed Realityはテクノロジーの向上により、時間や場所といった、物理的な制約を超えた新しいユーザー体験を届けることができるようになる」と述べました。

すでに発売されているマイクロソフトのMRヘッドセット「HoloLens」は、現実に3DCGの情報を重ねて表示するAR(Augmented Reality・拡張現実)に近いデバイス。上の図では左側寄りです。それに対し、今回発売されるメーカー製MRヘッドセットは右側寄り、VR(Virtual Reality)に近いデバイスです。今回のMRヘッドセットの発売、およびWindows MRのWindows正式な対応に伴い、WindowsはARからVRまで幅広くサポートするOSになります。

MRの分類や、MRヘッドセットについての詳しい解説はこちらです。

MRは8月末に出荷されたPCの40%で動作する

今回発売されるメーカー各社のMRヘッドセットは一般ユーザー向けです。高品質な体験ができるPC向けVRヘッドセットの要求スペックは総じて高めに設定されていましたが、MRヘッドセットは一般的なスペックのPCでも動作します

梅田氏によれば「2017年8月末に出荷されたPCのうち、約40%がWindows MR動作要件を満たしています」とのこと。ユーザーはPCを買い替えたとき、スペックを意識しなくともMRが体験できる可能性が生まれます。加えて、コンテンツ開発者向けにはMRの市場が大きく広がることが予想されます。

Windows MRには2種類の動作要件があり、高スペックのPCでは、さらに高品質な「Windows Mixed Reality Ultra」での体験が可能です。3Dグラフィックを多用したゲームなどではWindows Mixed Reality Ultraの必要スペックを満たすPCが推奨されるとのこと。自分のPCでWindows MRが快適に動作するかどうかををチェックできるアプリも配信されています。

また、VR体験にはコントローラーやヘッドセットのトラッキング(追跡)が重要です。トラッキングが精確でない場合、体験の品質が損なわれるケースが多々あります。PC向けVRヘッドセットであるOculus RiftやHTC Viveは、高精度なトラッキングの実現のため、外部にカメラやセンサーを設置する必要がありました。これらの方法は設置やセットアップに手間がかかりがちで、VRを初めて体験するユーザーにとっては決して低くないハードルとなっていました。

MRヘッドセットには前方にカメラが内蔵されており、外部センサーなしで精度の高いトラッキング(インサイドアウトトラッキング)を実現しています。これにより、センサーやカメラを設置する手間をかけず、高品質なVRを体験できます。

業界一丸となった市場作り 11月から全国400店舗で体験コーナーが展開

梅田氏は「様々なユーザーにMRを活用してもらうためには、業界が一丸となって環境整備をしていく必要があります。そのためにはデバイスを揃えること、コンテンツを揃えること、そして店頭で体験していただくこと。この3つを中心に考えています」と述べています。

まずデバイス面においては、多数のメーカーから没入型のVRを体験できるMRヘッドセットが発売されます。2017年10月18日時点で国内向けの発売が決定しているのは富士通デルエイサーHP、そしてレノボの5社。エイサーとHPのものは既に販売を開始しており、デルと富士通は予約を受付中、レノボのMRヘッドセットは年内の発売を予定しています。

続けてコンテンツ分野。10月17日からWindowsストアでMR対応タイトルの取り扱いが開始しています。Windows MRでは、MR専用アプリだけではなく通常のWindows 10向け2DアプリケーションもMR内で使用できます。通常のWindows 10向けのアプリケーションは、2Dのウィンドウを3D空間の壁に貼り付けたり、宙に浮かせたりして使用できます。それらのアプリケーションも含めると20,000点以上のアプリが使用できるとのこと。2017年末にはSteamVRに対応することが発表されています。

国内向けのMR専用アプリには『360Channel』『DMM MR動画プレイヤー』などの動画閲覧アプリや『TITAN SLAYER』『ヘディング工場』といったゲーム系コンテンツも用意されており、順次リリースされます。下記画像の9つは年内にリリース予定です。

さらに全国の販売店舗にて、11月18日からMRヘッドセットの体験コーナーが展開されます。日本マイクロソフト主導で22店舗での体験コーナーを展開、各ハードメーカー主導のものを含めると合計約400店舗を予定しています。国内の体験可能な店舗数は世界規模で見ても多く、総数で言うとアメリカ以上の店舗数になるとのこと。日本国内での展開に力を入れている様子がうかがえます

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