2024年10月に発表されたMetaの新型VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3S」。発売後、米国や日本のAmazonのゲームカテゴリにて1位を獲得するなど、今非常に注目されているデバイスです。これまでVRやMRに触れてこなかった人にもおすすめできる、入門向けヘッドセットとしても高く評価されています。
本記事では、Meta Quest 3Sで具体的に何が出来るのかを徹底解説。MoguLive編集部のレビューや検証を通して分かったことを中心に、便利な機能やおすすめアプリをあわせて紹介します。
目次
1.そもそも、Meta Quest 3Sとは?
2.Meta Quest 3との違いは?
3.しばらく使ってみて分かったこと
4.何ができる?
・VR/MRゲームを遊ぶ
・メタバースを体験する
・空間ビデオや配信動画を観る
・バーチャルオフィスで作業をする
・PCと接続する
・さらに快適に遊ぶために
5.おすすめのアクセサリーは?
6.まとめ・販売先
そもそも、Meta Quest 3Sとは?
「Meta Quest 3S」は、2023年に発売されたVR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」の廉価版モデルです。ヘッドセットをかぶると目の前にVR(Virtual Reality)空間が表示され、ゲームやメタバースの世界に没頭することができます。
また、MR(Mixed Reality)の機能を備えており、正面のカメラで自分のいる部屋を映し、そこにバーチャルの映像を表示して、まるでバーチャルな世界と現実世界が融合したような映像表現を楽しめます。
価格は、128GBモデル48,400円(税込)、256GBモデル 64,900円(税込)です。2024年11月現在、MRに対応したVRヘッドセットで5万円を切るものはMeta Quest 3Sのみとなっています。VR/MR初心者が買いやすいエントリーモデルとして強みを持っています。
Meta Quest 3との違いは?
(左がMeta Quest 3、右がMeta Quest 3S)
上位モデルにあたるMeta Quest 3との大きな違いは、解像度とレンズです。Meta Quest 3Sは1832×1920、Meta Quest 3は2064×2208のため、Meta Quest 3のほうがより鮮明な映像体験ができます。ただし、この解像度の違いは、パッと装着して比べただけでは、あまり差がないように感じられます。
しかし、MRモードで現実空間を表示している際、見えやすさに関しては、Meta Quest 3の方が良く感じられる印象です。例えば、ヘッドセットを被ったまま書類やスマホの画面に目を移した際、文字をはっきりと読みやすいのは、Meta Quest 3の方です(Meta Quest 3Sでは、少し文字が潰れて読みにくいと思うことがあります)。映像表現に重きを置いたコンテンツを見るときや、長時間つけたままの使用したときなどには、Meta Quest 3のほうが快適に見やすいように感じられました。
とはいえ、「Meta Quest 3Sでは満足できないか?」と言われると、そんなこともなく、結局どちらを選ぶかは個々人のこだわりによると言えます。気になる方は、体験会などの機会で、ふたつのデバイスを比べてみると良さそうです。
また、Meta Quest 3Sのレンズは、年輪のような溝が刻まれた「フレネルレンズ」です。レンズの厚みによりMeta Quest 3よりも本体正面が厚めになっており、光が乱反射する“ゴッドレイ”が起きやすくなっています。こちらは「どうしても気になってVR体験に集中できない」ということはありませんが、時折、気になる場面があるかもしれません。特に画面が暗い状況では、溝部分が目立って見えることがあります。こちらも、上記の解像度の問題と同様、実際に試して気になるかを事前に確認すると良いでしょう。
一方、Meta Quest 3とMeta Quest 3Sのチップセットは同じものが採用されており、処理性能面では違いがありません。Meta Quest 3Sでもカクついたり読み込みが遅れたりするようなことはなく、利用できるアプリやサービスも同じなため、安心して楽しめます。ちなみに、コントローラーもMeta Quest 3と同じものが採用されています。重さや装着感に関しても、あまり違いはないため、やはり、両デバイスの大きな違いは「見え方」の部分になるといえます。
実機レビュー記事はこちら。
4.しばらく使ってみて分かったこと
Meta Quest 3Sを入手して、実際に様々なコンテンツを体験してみて思ったのは「普段日常で気軽に使うデバイスとしては、これで十分だ」ということです。もちろん上位版のMeta Quest 3や、足のモーショントラッキングデバイスが魅力のPICO 4 Ultraなどに比べれば、廉価版ならではの不満も無くはないのですが、それは、複数のVRデバイスを比較する機会のあるユーザーのみが抱くもの。初めてVRやMRにふれるユーザーにとっては、十分に感動できるクオリティだと思います。安さ、手軽さという面からみても、非常におすすめしやすいヘッドセットです。
ただし、(これはMeta Quest 3シリーズの頃からの問題ですが)頭に固定するための布製のバンドは、バランス感に難があり、長く装着していると、頬のあたりに圧迫感や痛みを感じることがあります。また、スポーツ系のVRゲームを遊んでいると、顔に接するパーツを若干不快に感じてしまうこともあります。こういった点は、公式ストア等で販売されているアクセサリーをセットで購入するのをおすすめします。詳しくは記事後半で紹介します。
何ができる?
Meta Questのストアには多種多様なアプリが揃っています。ゲームはもちろん、メタバース、動画鑑賞、バーチャルオフィスなど、目的に応じた使い方が可能です。Meta Questシリーズの公式ストアは、他の一体型VRヘッドセットのストアと比べてオリジナルタイトルもそろっており、気楽に体験できるものからじっくり遊べるものまでコンテンツがかなり充実しています。また、マルチプレイ可能なコンテンツも多くあります。
VR/MRゲームを遊ぶ
プレイヤーはバーチャル空間に入ってVRゲームを楽しめます。360度の視界と、実際に体を動かして操作することにより、高い没入感を楽しめるのが魅力です。ジャンルも多岐に渡り、銃を構えて世界中のプレイヤーと戦うオンラインマルチシューティングや、音楽に合わせてノーツを斬るリズムアクション「Beat Saber」などが特に人気。「8番出口VR」のように、人気ゲームタイトルのVR移植版もあります。他にも、ドラマパートとゲームパートの組み合わさった「機動戦士ガンダム: 銀灰の幻影」なども注目作として登場しました。
MRゲームは、自分の部屋を映しながらバーチャルのゲームを楽しめます。「もっと!ねこあつめ」の場合、例え自分の家で猫を買えなくても、部屋に猫を出現させ、抱っこしたりおもちゃで遊んだりも可能です。また、大量の宇宙人たちがおしよせる「First Encounters」など、全体的にMRゲームはミニゲームのように気軽に遊べる物が多いのが魅力です。
なお、キャンペーン期間中のMeta Quest 3Sの購入特典として、「バットマン: アーカム シャドウ」が無料でダウンロードできます。バットマンになりきれるハイクオリティのゲームである一方、VRゲームを初めて遊ぶ人には難易度が高めのゲームでもあるので、まずは初心者向けのゲームから始めるのがおすすめです。無料で遊べるゲームもあるので、こちらから手を出してもいいでしょう。
メタバースを体験する
バーチャル空間でアバターの姿となり、他のプレイヤーたちと交流できるメタバースは、近年大きく注目されるようになったジャンルです。中でも「VRChat」には、クリエイターたちが作ったさまざまなワールドが存在し、日本人ユーザーが多いことでも有名です。Meta Quest 3S単体だけでのログインでは、入場できるワールドに制限がありますが、Questシリーズユーザーのみで集まるコミュニティ主催のイベントなどもあります。PCとQuest 3Sを接続すれば、さらに多くのワールドを体験できます。
VRChat以外にも、「clutser」「Roblox」「Rec Room」「Meta Horizon Worlds」などが無料で体験可能です。それぞれ特色が違うので、まずは色々体験してみることをおすすめします。
空間ビデオや配信動画を観る
空間ビデオとは、右目用・左目用の映像を1つにまとめ、現実のように立体的に見える映像です。Apple Vision Proで話題となりましたが、Meta Quest 3Sも本機能に対応しており、最新のiPhoneで撮影した空間ビデオを鑑賞できます。旅の思い出や子どもの成長など、大切な思い出を鮮明なまま残したいときに役立つでしょう。
Meta Quest 3Sは動画配信サービスの視聴にも向いています。例えば「YouTube VR」では、動画や配信、VR動画などを観るだけでなく、MRモードで映像を壁や天井に貼り付け、寝ながらの視聴が可能。「Amazon Prime Video」も、ウィンドウでのMR視聴に対応しています。
バーチャルオフィスで作業をする
Meta Quest 3Sはエンターテイメントだけでなく、仕事でも役立たせることができます。特に、バーチャルオフィスアプリ「Immersed」では、PCのデスクトップ環境をバーチャル構築でき、複数のデュスプレイを自由なサイズで設置可能です。MR環境でも行うことができ、さらに手元のキーボードだけを映してバーチャル空間で作業もできます。また、今後Meta公式がWindowsPCSとの連携機能を強化するとの情報もあり、今後より快適に作業に利用できるかもしれません。
PCと接続する
Meta Quest 3Sはデバイス単体でさまざまなアプリを楽しめますが、WindowsPCと繋げば、さらに活用の幅が広がります。主な接続方法は、Type-C to C(PCによってはType-A to C)ケーブルで繋げる「Quest Link」と、PCと同じネットワーク回線にてワイヤレス接続をする「Air Link」です。多機能な有料アプリ「Virtual Desktop」アプリもあります。
PCと繋ぐことによる大きな利点のひとつが、PCに配信されているVRゲームを遊べることです。特にSteamには、Metaのストアには配信されていないアプリが多数あり、「Half-Life: Alyx」といったPCスペックをフル活用したハイクオリティゲームも楽しめます。また、「VRChat」もPCVRでのみ行けるワールドを体験可能です。
さらに快適に遊ぶために
Meta Quest 3Sをより快適に楽しむためには、メニュー画面などから設定を見直すのがおすすめです。例えばプライバシー設定で、周囲のどの範囲にまで閲覧可能にするかを設定したり、MR体験中の通知をミュートしたりできます。
新モードを先取りできる「テスト機能」には、VRアプリを起動中にユニバーサルメニューとブラウザを使える機能や、ハンドトラッキングをしているとき手首にMetaボタンを表示させる機能もあります。
おすすめのアクセサリーは?
Meta Quest 3Sには、VR/MRライフをサポートしてくれるMeta公式アクセサリーが販売されています。代表的なのが、本体の重量バランスを改善し、激しい動きでもズレを軽減してくれる「Eliteストラップ」です。また、バッテリー付きモデルでは約2時間ほど連続使用時間が増加します。
先述のように、Meta Quest 3Sのデフォルトのベルトは重量バランスが悪い構成になっているので、こうしたストラップパーツの追加購入はとてもおすすめできます。ただし、サードパーティ製の商品の中には、著しく品質の悪いものやトラブルを起こす可能性のあるものもあるため、慎重な購入をご検討ください。何よりのおすすめは、公式の「Eliteストラップ」です。
もうひとつおすすめなのが、顔と接するパーツ部分のアクセサリです。Meta Quest 3S発売と同時に登場した「Meta Quest 3S通気性接顔部」は、メッシュ加工によって通気性を改善してくれるユニークなアクセサリーで、激しいVRフィットネスをするときに最適となっています。実際に装着感を試しましたが、これの有る無しでは、VRでの運動中の快適度に大きな差がありました。
なお、各アクセサリーごとに、Meta Quest 3と共通で使えるものと使えないものがあります。購入前に説明書きを確認しましょう。
まとめ・販売先
Meta Quest 3Sは、単純に買いやすい価格になっただけでなく、Meta Quest 3で楽しめた膨大なコンテンツを、解像度以外ほぼ同じように楽しめるのが強みとなっています。足らないところや不満点があっても、公式アクセサリーを購入したり、便利そうなアプリを入手したりして、補完できるのも大きなポイント。また、Metaのデバイスのソフトウェアやアプリもアップデートはとても頻繁に行われており、気がつくと購入時よりも快適性が格段に上がっていたといったことも多くあります。
VR/MRの最新体験を始めてみたい方にピッタリのヘッドセットです。販売場所も多く、Meta公式サイトの他、Amazon、大手家電量販店でも取り扱っています。
主な販売先はこちら(128GBモデル)。
・Meta 公式サイト
https://www.meta.com/jp/quest/quest-3s/
・Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B09MJQKS5D/
・ヨドバシカメラ
https://www.yodobashi.com/product/100000001008743277/
・ビックカメラ
https://www.biccamera.com/bc/item/13300200/
・ヤマダデンキ
https://www.yamada-denkiweb.com/9371696010/
・エディオン
https://www.edion.com/detail.html?p_cd=00079611336
・ソフマップ
https://www.sofmap.com/product_detail.aspx?sku=101161783