9月20日に発売された「iPhone 16」と、10月15日に発売された新型VR/MRヘッドセットの「Meta Quest 3S」。偶然、近い時期に発売された2つのデバイスですが、実は、とある機能を使用するうえで、とても良い組み合わせになります。
その機能とは「空間ビデオ」。これまでiPhoneシリーズでは15のProに実装されていた機能でしたが、16以降は、無印とProの両方に実装されました。今回は、この「空間ビデオ」の基本的な特徴と、Quest 3Sと組み合わせた際の体験について紹介します(※Meta Quest 3とMeta Quest Proでも可、今記事で紹介する手順とは異なりますが、PICO 4 Ultraでも可です)。
そもそも「空間ビデオ」とは?
そもそも「空間ビデオ」は、「右目用と左目用の映像を1つにまとめたビデオ」のこと。空間全体をグルリと撮影する360度動画とは違って、四角い枠に囲まれた映像ではありますが、奥行きや立体感があるのが大きな特徴。iPhoneで撮影すると「奥行きのあるホームビデオ」といった雰囲気になります。
「空間ビデオ」そのものの詳細な解説はこちら。
(iPhoneのデフォルトのカメラアプリではポートレートモードの隣に「空間ビデオ」があります。カメラとビデオどちらにも対応していますが、今回はビデオを撮影します)
カメラはスマホの横画面のみ撮影可能です。また、被写体とカメラが近すぎるor室内が暗すぎると、うまく撮影できない場合があります。それ以外は、ほぼ普通の撮影モードと変わらないので、まずは広めの空間にカメラを向けて、気軽に撮ってみましょう。
ただし、iPhoneで撮影しただけでは、その奥行きを感じられないため、ファイルサイズの大きいビデオとしか思えないでしょう。しかし、このデータをVR/MRデバイスに転送するだけで、普通に撮影しただけだった映像データが新しい価値を獲得します。
そもそも「空間ビデオ」は、Appleが提唱した機能だけあって、本来は空間コンピュータ「Apple Vision Pro」に転送して観賞するのが、最適なものではあります。しかし、「Apple Vision Pro」は非常に高価(599,800円)です。少なくとも「空間ビデオを見るために買おう」となるには、ハードルが高すぎます。そこで、今回は現状最も価格が安く手軽に購入できる「Meta Quest 3S」で試してみます。
Meta Quest 3Sに「空間ビデオ」をアップロードする
スマホアプリ「Meta Horizon」を立ち上げます。「アバター画面」→「メニュー」→「デバイスの管理」下の「ギャラリー」を選びましょう。
↑画像の赤丸で囲った「アップロードボタン」をタップ。iPhoneに保存している画像へのアクセスの許可を出します。
「パノラマ」と「空間」という選択が出てくるので、「空間」を選び、スマホに入っている空間ビデオをアップロードしましょう。アップロードには少しだけ時間がかかりますが、これで、Meta Quest 3Sで観賞できるようになります。なお、この方法はMeta Quest 3とProでも同様です。
Meta Quest 3Sで「空間ビデオ」を見る
あとは簡単です。Meta Quest 3Sを立ち上げて、「ファイル」を選択しましょう。アップロードに成功していれば、スマホの「立体ビデオ」が入っているはずです。
アップロードできてました。成功です! ただ悲しいことに、MoguLiveのサイトでは、このフォーマットのビデオを直接アップロードできないため、今記事では奥行きや立体間を読者の方々に感じさせられません……。
しかし、実際に観賞している自分には、上記の小川の流れが、かなり立体的に見えています。奥行きもあるため、「現実の風景をそのまま四角に切り取って持ってきた」ような感じと言えば、伝わるでしょうか。少なくとも著者は「家族や友人との大切な思い出や、いつまでも見ていたいような美しい景色などは、今後なるべく空間ビデオで撮っておきたいな」と思うほどには、この機能を気に入っています。
いずれにせよ、体験しないことには分からないので、両方のデバイスをお持ちの方は、一度は試してみてください!