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Meta Quest 2024.10.15

【Meta Quest 3S】コストダウンでVR入門に最適なヘッドセット VR系VTuberが実機レビュー&コンテンツ紹介!

2024年某日某所にて、Metaのプレスイベントが開催。10月15日発売の最新VR/MRヘッドセット『Meta Quest 3S』がお披露目されました。

私、なでしこ大和もMeta Quest Japan Creator(Meta Questアンバサダー) としてイベントに参加。Meta Quest 3Sを実際に体験することができました。今記事では、ヘッドセット本体とコンテンツについて解説していきます。

なでしこ大和:VR/ARデバイスを30台以上レビューしているVTuber。最近はVRChatにどっぷり。

 

価格、本体性能は申し分なし、VR入門にはピッタリ

Meta Quest 3Sをざっくり使ってみた第一印象は「光学系以外の性能はほぼそのままの廉価版Quest 3」です。

Meta Quest 3の現在価格が81,400円なのに対し、Meta Quest 3Sの価格は48,400円から購入できる。非常にリーズナブル。VRを始める際の第1関門である”値段”はクリアされたのではないでしょうか。

それでいて本体性能も十分。Metaの公式ストアに並んでいるコンテンツも豊富。ゲーミングPCに繋いで、VRChat等の、よりリッチなPCVRコンテンツも楽しめる。まさにVR入門にピッタリなヘッドセットと言えるでしょう。

Meta Quest 3Sの外観:見慣れるとかわいい

ヘッドセット本体の外観を確認してみましょう。まず、本体前面の3つ目×2が特徴的。前機のMeta Quest 3と同じくトラッキング用カメラ(※1)やカラーパススルー用RGBカメラ(※2)が搭載。よく見るとそれぞれ出っ張っていて、角度もバラバラ。まるでギョロギョロとした目玉のような異形感があります(見慣れるとかわいい)。

Quest 3には備わっている深度センサー(※3)はオミットされ、物体との距離計測はソフトウェア上で算出しているようです。

Meta Quest 3(右)と並べてみるとこんな感じ。全体的な雰囲気は似ているものの、Quest 3S(左)のほうが本体前面が分厚いです。これは搭載されているレンズの違いが関係しています(詳しくは次章で)。

※1 身体やコントローラの位置を読み取るカメラ
※2 現実の映像を読み取るカメラ
※3 物体との距離を測るセンサー

Meta Quest 3Sの右下には新たにアクションボタンが備わっています。MRモード(パススルー映像)とVRのバーチャル環境をボタン一押しで切り替えることができます。ただ、今回のイベントでアクションボタンを使うことは特にありませんでした。Meta Quest 3とMeta Quest 3Sの形状面を比較するに、そこまで体験に大きな違いは生まれないかもしれませんね。

Meta Quest 3Sのレンズ:重要なのは見え方

Meta Quest 3Sには”フレネルレンズ”と呼ばれるレンズが採用されています(2021年に発売されたMeta Quest 2と同一のもの)。レンズはその違いによってVRの映像体験が大きく変わるので、個人的にはかなり重要視しているパーツです。

フレネルレンズをざっくり説明すると”安価だけどちょっと品質が劣る”レンズ。
円状の溝があり、明るい映像になると溝に沿って光が乱反射するゴッドレイ(つまりは視界妨害)がそれなりに目立った印象です。このレンズの溝は、VRゲームの暗転時にうっすらと見えるような感じです。

Meta Quest 3やMeta Quest Proに採用されている“パンケーキレンズ”と比べるとスイートスポット(映像がくっきり見える範囲)が若干狭く、画面端の映像が視認しにくくなっています。

IPD(瞳孔間距離)はQuest 2と同じく3段階のみの調整になり、スイートスポットを若干ジャストフィットさせにくくなりました。

視覚体験は許容範囲内か?


【参考】左:Quest 2(フレネルレンズ) 右:Quest 3(パンケーキレンズ)

このようにMeta Quest 3SはコストダウンのためQuest 2と同等のフレネルレンズを採用したことにより、視覚体験が1世代分退行したと言えます。

では、致命的に視覚体験が損なわれているかと言われると全くそんなことはなく、全体的に”コストと満足度のバランスが取れた良いヘッドセット”だと感じました。あくまでQuest 3及びQuest Proのパンケーキレンズと比較したら光学性能が低いという話に過ぎず、VRヘッドセットを20台以上レビューしてきた私ですが、Quest 2やQuest 3Sのレンズは比較的視認しやすい部類のレンズだと思っています。

Meta Quest 3Sのパススルー画質は良好


スマホで直撮り

Meta Quest 3Sのパススルー画質はQuest 3と同じくカラー映像かつ高解像度(Quest 3と比べると、若干現実の文字が少しボヤけてみえる程度の違いです)。この点においても、かつての廉価デバイスだったQuest 2のモノクロ低画質映像とは比べ物にならないクオリティです。

パススルー画質はMR(Mixed Reality)体験の満足度に大きく影響します。私自身はMRコンテンツで遊ぶことはあまりないのですが、パススルー画質が良いだけで現実空間との隔離感がかなり緩和されるとともに、部屋の様子やPC/スマホの画面が見やすいのでシンプルに便利です。

ヘッドセットを被った後にコントローラを探す際のストレスも大きく緩和されます。やはり画質が良いに越したことはありませんね。


スマホで直撮り

Meta Quest 3Sの装着感:別売のストラップも購入してほしい

Meta Quest 3Sも歴代Questシリーズと同じく、前面にほぼすべてのパーツが集中 = 重量バランスが前面に偏ったデザインです。装着し続けるにつれて顔面の圧迫感やほっぺの痛み等の装着ストレスが蓄積されやすいでしょう。

30分程度の連続使用であれば特に問題ありませんでしたが、やはり別売りのエリートストラップ等を購入して、重量バランスや装着感を改善させるのを強くおすすめします。その点Quest 3のヘッドストラップを流用できるのは嬉しい。

装着感に関してはやはり、9月に発売されたPICO 4 Ultraをはじめとした、PICOシリーズの製品が素晴らしいですね。今後、サードパーティ製を含む、より安価で重量バランスの優れたアクセサリーが出てくるのにも期待したいところです。

Quest 3Sで体験できるのはどんなコンテンツ?

機動戦士ガンダム:銀灰の幻影

“なんちゃってガンダム”コンテンツかと思いきや、しっかりガンダムしていました。今回体験したのはアニメーションパートのみで、何かを操作する場面はありませんでしたが、それでもこの作品の熱量やVRならではの課題(酔いなど)に対する配慮が感じられ、丁寧な作りに仕上がっています。

「VRのガンダムってどんなん?」と気になるところだと思います。実際に体験すると「ガンダムの3Dアニメを”中から見ている”ような感覚になりました。

横を向くとちゃんと視界外の映像が見えるので、まるで3D空間の中に自分が入って物語を楽しんでいるかのような、そんな立体的な体験です。
モビルスーツや戦艦のスケール感もちゃんと感じられたので、まさに「ガンダムの3Dアニメを中から楽しんでいる」臨場感を味わいました。

今回はアニメーションパートということもあり、場面転換(視点の強制切換え)が頻繁に起こりましたが、特に違和感や酔いやすさを感じることもなく自然に切り換わるので、VR初心者さんでも安心して楽しめるでしょう。

▼詳しいレビューはこちら

バットマン:アーカム・シャドウ


Meta Quest 3Sを購入すると無料でついてくる

バットマン:アーカムシャドウでは、その名の通りプレイヤー自身がバットマンとなります。今回体験したデモでは、下水道のようなステージを進みながら敵を倒していくという内容でした。

主な戦い方はパンチ。連続コンボを決めつつ、視界外から襲ってくる敵には裏拳で対処するといった、かなり脳筋なアクションゲームでした。コンボが決まると気持ちいい! また、探索パートでは、両手を広げて高いところから浮遊したり、ブーメラン武器のバットラングを使って障害物を壊したりといった、バットマンらしさを感じるアクションもありました。

Quest 3Sを買うとこれが無料で付いてくるのはお得。

SPATIAL OPS

SPATIAL OPSは現実空間の上にバーチャルの銃、壁、敵を生成するガンシューティングゲームです。まさにQuest 3SのMR機能をフル活用したコンテンツと言えます。

今回は自分を含めた人間3人+CPUで撃ち合いました。

バーチャルの壁に身を隠すのは何とも奇妙な体験だったものの、慣れてくるとスムーズに動き回れます。スティック移動があるVRゲームと違って生身の移動が全て。体育館を貸し切って大人数で遊ぶとさらに盛り上がりそうだと思いました。ちなみに、ショットガンが強かったです。

MRモード上でのマルチタスク

Meta Quest 3Sでも空間上にブラウザ画面を多数表示することができました。まるで空間コンピュータ「Apple Vision Pro」のような体感です。

正面の画面でブラウザを開きながら横にSpotifyを配置してBGMを流したりなんてことも(ちなみにバックグラウンド再生も可能)。

しかも、画面の位置によって音が立体的に聴こえることも確認できました。Spotifyの画面を左に動かすと左から音が聴こえ、右に動かすと右から聴こえてくるのです。立体音響はバッチリ。

MRはオブジェクトの位置だけでなく音の正確な位置も重要だと思います。高画質のMRモードといい、Meta Quest 3Sはコストを下げつつもMR機能には妥協しない姿勢が見受けられました。
Metaの担当者の方に話を聞くと、Meta Quest 3の売り上げが予想より良かったらしく、その理由が「多くのユーザーがMR機能を気に入ってくれたから」だそうです。

下記の記事でも、その反応については語られています。

気になるMeta Quest 3Sのアクセサリーは?

最新アクセサリーも多数展示されていたので紹介します。

①コントローラ&充電ドック

Meta Quest 3SにもQuest 3と同じTouch Plusコントローラが同梱されています。

それを充電する「コンパクト充電ドック」もお披露目されました。接触充電用の電池が付属するので、電池の残量を気にする必要がなくなりストレスフリーなVR生活になるでしょう。

②フェイスクッション

フェイスクッションは新たに2種類お披露目されました。「通気性接眼部」と呼ばれるフェイスクッションはメッシュ素材でできており、汗をかくフィットネス系のVRコンテンツと相性が良さそうです。

「オープン接眼部」と呼ばれるフェイスクッションは、その隙間から現実空間を視認しやすいデザインです。Quest Proに近いコンセプトかもしれませんね。公式サイトによるとQuest 3用のアクセサリーのようでした。

③ヘッドストラップ

Quest 3SはQuest 3のヘッドストラップと互換性があります。なのでエリートストラップやサードパーティ製のヘッドストラップを流用できます。

④キャリングケース

エリートストラップ装着時(フルサイズ)用の携帯用ケースと、初期バンド装着時用のコンパクト携帯用ケースの2種類が展示されていました。Quest 3SおよびQuest 3に対応しています。

Quest 3SとQuest 3、どちらを買うべきか?

Meta Quest 3S、やはりコストと満足度のバランスが取れたヘッドセットだと感じました。

確かにスイートスポットやIPD等の光学系はQuest 3とProに劣るものの、全体的には高水準でQuest 2と同等です。私を含むMeta Quest 2を使っていたユーザーは、VRでの画面を何の違和感もなくワイワイ楽しんでいました。光学系以外の性能はQuest 3とほぼ変わりません。処理性能もコンテンツもパススルー画質も、この価格帯では十分だと思います。

また、VRコンテンツに没頭していくにつれてスイートスポットやゴッドレイが気にならなくなることに気づきました。ハードウェアのスペックはあくまで満足度を左右する1つの要因に過ぎず、最も大切なのは体験できるコンテンツのクオリティだということかもしれませんね。

Meta Quest 3Sは何より安さが魅力的。4万円台でこれだけのことができるヘッドセットはほぼ存在しません。同価格帯のデバイスとしてMeta Quest 2やPICO 4がありますが、さすがに古くておすすめできず……というより販売終了になったため(中古でない限り)購入できません。

ということで、これからVRを始めてみたい人にとってQuest 3Sは性能・価格ともに最適なデバイスと言えるのではないでしょうか。

一方で、Quest 2から乗り換えたい人や、より良い視覚体験(つまりパンケーキレンズ)を重視したい人には依然としてQuest 3がおすすめですが、128GBモデル(74,800円)が販売終了したため、512GBモデル(81,400円)しか選択肢がなくなりました。

512GBモデル自体は値段改訂により約1.5万円の値下げ(96,800円→81,400円)ではありますが、これはストレージ容量を無視できるPCVRユーザーにとっては実質約6,000円の値上げと言えます。

このようにVRヘッドセットの値段はコロコロ変わるので、ぜひ欲しいときに欲しい製品を購入しましょう。この記事が少しでも参考になれば幸いです!

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