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トレーニング・研修 2019.03.29

乗船困難な豪華客船、トレーニングはVRで

米国シアトルのスタートアップPixvanaは、豪華客船のスタッフ向けVRトレーニングの提供を開始します。実際の業務場所での研修が困難なスタッフに対し、臨場感のあるトレーニングを提供します。

VRストリーミング再生のPixvana

Pixvanaは2015年に設立したスタートアップです。VR動画のストリーミング再生を実現するためのクラウドベースのプラットフォーム開発を手がけており、VRビデオの加工から、VRビデオのクラウドへのアップロードまでを包括的に行える8KVRビデオ編集ソフト「SPIN Studio」の開発を行っています。

近年では高校生を対象としたVR「ヘルスケアプログラム」等を提案しています。

豪華客船は現場での研修が困難

トレーニングを導入するのは、米国のシーボーン・クルーズ社です。船上で乗客の接客を担当するウェイター、ウェイトレスの研修にVRを取り入れます。

導入の背景にあるのが、豪華客船特有の事情です。客船はほとんど常に航海や清掃の予定で埋まっています。従って、接客のトレーニングを現場で行うのは非常に困難です。とはいえ105のテーブルに12の配膳台、ダイニングルームを備えた巨大なフロアでの業務を、実際の場所に行かずに習得するのも簡単ではありません。

そこでPixvanaが制作したのが、VRトレーニング「TableVision」です。シーボーンは声明の中で、「(Pixvanaの)完璧なカスタマイズプログラムは、当社の研修にかける時間と費用を削減するだけではありません。スタッフはより没入感があり、効果的で、利用しやすい学びの機会を得ることができます」とその効果を説明しています。

コンテンツは実際の撮影画像に300以上のアセットを追加して作成されました。テーブル上には表示/非表示を切替可能なラベルが浮かび、スタッフが研修内容を記憶することをサポートします。

企業向けのVRトレーニングには大きな可能性

PixvanaのCOO Rachel Lanham氏は自社の取組について「VRのスーパパワー、すなわち存在感、共感、そして没入感を活用した、カスタマイズのVRトレーニングを作成しています。これによって、働き手のコミットメントを最大化できます。我々は企業向けの没入トレーニングには、膨大な可能性があると信じています。シーボーンは最上のサービスへ注力することで、クルーズ業界の研修方法において最先端をいくでしょう」と自信をのぞかせています。

日本でも商船三井が、訪船機会の少ないスタッフ教育等にVRサービスを活用しようとしています。直接体験することが難しい場面をVRで学ぶ事例は、今後も増加が予想されます。

(参考)VRFocus
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