AR/VRやモバイル分野を中心に調査・投資を行うDigi-Capitalから、スタートアップ向け投資に関する調査結果が発表されました。2018年にAR/VR、コンピュータービジョンに関わる資金調達を行ったスタートアップが対象です。中国企業向け大規模投資による投資額牽引、北米市場での投資急減といったポイントがあったものの、第4四半期には落ち着きを見せているということです。
第4四半期、投資件数が回復
レポートによれば、2017~18年の2年間における投資件数は2017年第4四半期の100件以上をピークに減少。しかし2018年第4四半期に80件近くまで改善しました。投資先企業のステージとして、シリーズBラウンド以降は少数となっています。
分野別に見ると、2018年に多くを占めたのはコア技術、ゲーム、写真/動画、ソリューション/サービス、エンタープライズ、そしてスマートグラスです。ただし投資対象はこの他21分野にも渡っており、2019年上半期の投資がどこに集まるか、注目されます。
中国市場での大規模投資が牽引
一方で2017~18年の投資額に目を向けると、少数の大規模投資(シリーズB以降)が金額を引き上げている傾向にあります。
特に2018年の中国市場においてこの傾向は顕著です。6億ドル以上のシリーズCラウンドの資金調達が複数、そして10億ドル規模のシリーズDラウンドの資金調達が1件ありました。これらを異常値として除くと、投資規模は平均して約3億ドル強となります。
投資額で見た際に金額を集めている分野はコア技術、特にAR×コンピュータービジョンを手がける中国企業です。またこの分野以外でも中国企業への投資は目立っており、AR広告、ライフスタイル、スマートグラスといった分野への投資規模は1億ドル強です。
2018年の欧米でのトピックスを挙げると、MRデバイス「Magic Leap One」のMagic Leap社が4.61億ドル(約500億円)と最大の資金調達を行っています。またスマートフォン向けARゲーム「ポケモンGO」などの開発元であるナイアンティック(Niantic)は、計2.45億ドル(約260億円)の資金調達を行いました。
2019年の展望は
2018年を振り返ると、第1~第3四半期は中国市場への大規模投資と北米への投資の急減が特徴でした。一方で第4四半期は、世界的に例年の投資傾向に近づいたと言えます。このAR/VR向け投資の安定が長期的なものか否かの判断には、2019年上半期の動向を注視する必要があるでしょう。
Digi-Capitalの過去のレポートは、こちらの記事でも紹介しています。
(参考)UploadVR