ゲームやコミュニケーションなどさまざまなジャンルで革新的なコンテンツが日々生まれているVR。アニメーションにおいては没入感の高さや直観的な視点移動といったVRの特長を活かし、物語の世界を主観視点で体験する作品や、自由に視点(≒カメラ)を変えて作品の理解を深められる作品などが生まれています。
本記事では編集部お勧めのVRアニメーション5作品をピックアップ。体験できる環境や価格、内容などをご紹介します。無料のものも多く、体験できる機器を持っている方にはぜひオススメしたい作品ばかりです。
Project LUX
制作元 |
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対応環境 |
HTC VIVE、Oculus Rift |
配信先 |
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価格 |
2,480円(Setam)、2,490円(Oculus) |
「Project LUX」は、TVアニメ化もされたライトノベル「狼と香辛料」シリーズの著者としても知られる小説家の支倉凍砂氏が主宰する同人サークル「SpicyTails」がリリースしたVRアニメーション作品。人類の大半が電脳化している世界で、少女「ルクス」をめぐる物語が展開されていきます。
ルクスと過ごした数日間の記憶を主観視点で追体験していくという内容で、マルチエンドを採用。総尺は65分以上に及びます。ルクスの声はTVアニメ「干物妹!うまるちゃん」の主人公役などで知られる田中あいみさんが担当、3Dモデルのモーションもすべて田中さんの演技をキャプチャーしたものとなっています。
「Project LUX」のレビューはこちら。5分程度の開発中バージョンのレビューですが、作品の基本的な雰囲気等を確認することができます。
なお、Spicy Tailsでは執筆時現在「狼と香辛料」のVRアニメ化プロジェクトが進行中。TVアニメと同じ福山潤さん、小清水亜美というキャストを迎え2019年リリース予定で、プロジェクトのクラウドファンディングは2日で目標額を達成するなど高い注目を集めています。
Crow: The Legend(クロウ:伝説)
制作元 |
Baobab Studios Inc. |
対応環境 |
Oculus Rift、Oculus Go、Gear VR、PlayStation VR |
配信先 |
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価格 |
無料 |
「Crow: The Legend(クロウ:伝説)」は、VRショートアニメーション「Invasion!」と「Asteroids!」がエミー賞に入賞した経歴をもつVRアニメーションスタジオBaobab Studiosによる作品。ネイティブアメリカンのカラスにまつわる神話がもとになったストーリーです。コントローラーを使用して、花を成長させたり雪を降らせたりなど、体験者がアニメーションの世界に影響を与えることができます。
声優として、映画「ラ・ラ・ランド」のジョン・レジェンド、「レディ・プレイヤー1」のタイ・シェリダン、「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウーら話題のハリウッドスター達が参加しているのも特徴です。
なお、非VR、非インタラクティブの2Dアニメーションとして動画版も配信されています。
Allumette
制作元 |
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対応環境 |
HTC VIVE、Oculus Rift、PlayStation VR |
配信先 |
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価格 |
無料 |
「Allumette」は、童話「マッチ売りの少女」をモチーフとして制作されたVRアニメーション。雲上に浮かぶ街を舞台に、少女アリュメットの物語が描かれます。
台詞はなく、目の前に広がる映像と登場人物たちの演技によって、自然と物語を体験できる内容となっています。体験者の視点はミニチュアのような街を俯瞰するような形となっており、主人公であるアリュメットたちによるやりとりが行われている最中でも、自由に視点を変えて街の他の場所で起きていることを確認できたりと、体験者自身が作品世界に入り込んだような感覚になれるのも特徴です。
「Allumette」のレビューはこちら。
Pearl
制作元 |
Google Inc. |
対応環境 |
HTC VIVE、Oculus Rift、Google Cardboardなど |
配信先 |
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価格 |
無料 |
「Pearl」は、GoogleがVRを活用したストーリーテリングを追求するために制作したショートストーリーの映像作品群「Google Spotlight Stories」の1作品。オスカー賞の受賞歴もあるパトリック・オズボーン氏を監督に据えて制作され、VR作品としては初となるアカデミー賞へのノミネートも果たすなど高い評価を得ています。
内容はオリジナルの劇中歌「No Wrong Way Home」に乗せて、父と娘の成長と関係性の変化を記録映画のような形で見守るというもの。舞台はすべて自動車の中で、カメラは助手席に固定。YouTubeの360度映像やVRアプリの形で配信されており、周囲を見渡すように視点を移動させながら鑑賞することができます。
「Pearl」のレビューはこちら。
「Google Spotlight Stories」ではほかにもアニメを中心に多くのハイクオリティなVR作品が配信されていましたが、2019年3月、制作チームが解散していたことが明らかになりました。
Henry
制作元 |
Oculus |
対応環境 |
Oculus Rift、Oculus Go |
配信先 |
Oculus(Oculus Rift用、Oculus Go用) |
価格 |
無料 |
「Henry」は、Oculus Riftのローンチタイトルとして2016年3月にリリースされた短編VRアニメーション作品です。2018年6月にはOculus GoおよびGear VR版がリリースされています。
針が原因で友達に抱きつきたいけど抱きつけず友達を作れないハリネズミのヘンリーが主人公の作品。Oculus社(当時)のVR映像制作スタジオOculus Story Studio(のちに閉鎖)の手によるもので、これまでのアニメと全く異なるVRにおけるアニメーションの表現手法を模索して制作されました。制作には元ピクサーのスタッフらも関わっており、2016年の第68回エミー賞において“Outstanding Original Interactive Program(オリジナル・インタラクティブ・プログラム部門)”賞を受賞しています。