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業界動向 2019.03.10

Valve、従業員13名が退職 SteamVRの動向に影響は?

世界最大のPCゲーム配信プラットフォームSteamを運営するValve社が、VRエンジニアを含む13名の従業員との雇用契約を終了したことが明らかになりました。詳細は発表されていませんが、同社のVRシステム「SteamVR」の動向をヒントにする見方を、米メディアUploadVRは示しています。

引き続きVR人材は募集

UploadVRが得た声明によれば、Valveは13名が去るとした上で「当社ビジネスの中では残念なことだが、我々の事業において大きな変化を意味するものではない」としています。実際に2019年3月現在、引き続きValveのウェブサイトでは多くのVR関連ポジションを募集しています。

Valve社の公式サイトには、一部従業員の氏名と紹介を掲載したページがあります。UploadVRは、1月末の従業員リストと3月7日現在のものを比較。その結果、9名がリストから外されたと判明しました。さらにTwitterやLinkedInでこの9名を検索し、所属先情報がValveでなくなっている点も確認したといいます。

例えば、Steam対応の外付けGPUに関してキーパーソンであったナット・ブラウン氏は、2月7日にValve社のVR関連業務をやめたと記しています。

一度に複数の従業員が同社を去ったことについて、判断が誰によるものか、また背景などの詳細は明らかになっていません。

SteamVRのトラッキングを巡る動き

今回の雇用契約終了について、Valve社のビジネスからその背景を探ります。同社は従業員数が数百名の非上場会社、主な収益源はSteamでのゲーム配信です。

そして2015年の特許出願以降、VR関連で手がけているのがPCでVRヘッドセットを動かすためのシステムStarmVRであり、HTC VIVEなどで使われている位置トラッキングシステムです。このシステムでは、体験エリアの周囲にベースステーションを配置。ベースステーションから発したレーザーを受ける受光部がヘッドセットに内蔵されており、位置を認識(トラッキング)するというものです。その結果、プレイヤーは部屋の中を自由に動き回ってVRコンテンツを体験できます。

しかし2017年にマイクロソフトが発表したWindows Mixed Reality(Windows MR)ヘッドセットのトラッキング方式は、これと異なるものでした。デバイス前面に搭載したカメラによる位置検出(インサイド・アウト)のトラッキングが可能になるため、ベースステーションなどの外部センサーを必要としません。

そして2019年、HTCが発売を予定するVive CosmosVive Focus Plusという新ヘッドセットはいずれもインサイド・アウト方式を採用予定しています。SteamVRのトラッキングシステムは用いていません。さらにフェイスブック(旧Oculus)に関しても、一体型ヘッドセットOculus Questや、アップグレード版と噂されるPC向けヘッドセットOculus Rift Sではインサイド・アウト方式のトラッキングを用いると見られています。

プレイエリア拡大、他社の動きは

この間Valveも、新型ベースステーションの開発を行い、プレイエリア拡大などに努めてきました。しかし2018年、フェイスブックがOculus Questによる「アリーナスケール」のデモを公開。翌年1月には“ウェアハウススケール(倉庫規模)”のマルチプレイVR体験を提供するZero Latencyがマイクロソフトとの提携を発表するなど、他社の動きは活発です。

今回の雇用終了の詳細は不明ですが、このようなトラッキングシステムを巡る動向から背景を推測できる可能性も、UploadVRは示唆しています。

(参考)UploadVR


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