半導体メーカーのQualcomm(クアルコム)は、サンフランシスコで開催されているGDC 2019にて一体型VRデバイスのリファレンスモデル、「Snapdragon 845 VRDK」のアップデートを発表しました。ケーブルを使わず、ワイヤレスでゲーミングPCに接続可能なデバイスになるという内容です。
この技術をベースとする初のVRデバイスは、中国のヘッドセットメーカーPicoが手がける一体型ヘッドセット「Neo 2」となる見通しです。
クアルコムのレファレンスモデル
クアルコムはスマートフォン向けのチップメーカーで、近年はVRヘッドセットのリファレンスモデルの開発も行なっています。リファレンスモデルとは、メーカー向けに出される開発モデルのことで、各メーカーはこれを元に製品を開発します。
「Snapdragon 845 VRDK」は2017年12月に発表。2018年にはトラッキングに関するアップデートが行われました。
PC向けコンテンツを一体型ヘッドセットで
今回発表されたPCと一体型ヘッドセットをワイヤレス接続することで実現するのが、プレイ可能なコンテンツの拡大です。
Picoの「Neo 2」が使用するプラットフォームは、スタンドアロンモードではHTCのモバイル向けコンテンツストア、Viveport Mからコンテンツをダウンロードします。この場合、PC向けヘッドセットと比較するとコンテンツの質は下がってしまいます。
しかしワイヤレスPCモードであれば、PC向けVRゲームを、ケーブルを気にせず一体型ヘッドセットでプレイできます。
ワイヤレス接続のデメリット
VRヘッドセットとPCをワイヤレスで接続する技術といえば、HTCのワイヤレスアダプターやTPCastの無線化キットといったPC向けの向けのVRヘッドセットを無線化する技術。さらにはAMDも一体型VRヘッドセットでPC向けのVRゲームが可能になるワイヤレス技術を発表しています。
今回のクアルコムのリファレンスモデルも利用するのが、TPCastでも仕様されている60GHz帯の無線です。Wi-Fiに比較して圧倒的に広い帯域を誇り、低遅延を実現します。一方で、ヘッドセットとの間の干渉物を除くことや、専用のトランスミッタが必要になるというデメリットもあります。特にトランスミッタは、デバイスのコストを押し上げる要因となります。
「Neo2」は2019年後半にリリースとされています。価格や外観などの詳細は明らかになっていません。
(参考)UploadVR