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活用事例 2018.04.05

超音波を使ったコントローラー 一体型VRヘッドセットで手を動かせる

クアルコムが一体型VRデバイスのリファレンスモデル、「Snapdragon 845 VRDK」が手を自由に動かすことのできる6DoFコントローラーに対応することが明らかになりました。数年以内に消費者向け一体型ヘッドセットでも、6DoFコントローラーが利用可能となることが予想されます。

※6DoF……Six degrees of freedomの略。xyz軸方向に平行な動き3つと、軸を中心に回転する動き3つを合わせた、6つを自由に動けること。手を自由に動かすことができる。Oculus RiftやHTC Viveのコントローラーは6DoF)

リファレンスモデルを提供

クアルコムはスマートフォン向けのチップメーカーで、近年はVRヘッドセットのリファレンスモデルの開発も行なっています。リファレンスモデルとは、メーカー向けに出される開発モデルのことで、各メーカーはこれを元に製品を開発します。

2017年12月には片目最大2,000×2,000ピクセルという高解像度を実現可能な「Snapdragon 845 VRDK」を発表していました。

6DoF対応へ

今回、上述の新作レファレンスモデルにおいて、6DoFコントローラ入力用が利用可能になったことが明らかとなりました。同社は中国メーカーGoertekとのパートナーシップを発表しており、その発表の中で6DoFについても言及を行なっています。

Lenovo Mirage Solo、HTC Vive Focusなどの一体型ヘッドセットはすべて旧式のSnapdragon VRDKを元に開発されていますが、6DoFコントローラーのトラッキング機能はなく、リモコンのように回転することがだけが可能な3DoFコントローラーのみをサポートしています。

3DoFではVR体験時の入力が制限されますが、6DoFをサポートした一体型ヘッドセットが登場すれば、ハイエンドと同じように動くことができ、より没入感のあるVR体験を手軽に実現することが予想されます。

超音波トラッキングで6DoFを実現

一体型ヘッドセットは外部センサーやPCを使用しないことから、6DoFコントローラは実現が困難とされていました。Snapdragon 845 VRDKでは、人間の耳では聞くことのできない超音波を使って物体の位置を測量する超音波トラッキングを使用、6DoFコントローラーの実現を図っています。

リファレンスモデルの画像では6つの超音波エミッタが搭載されていると見られ、これらを使って超音波信号を送受信、6DoFを実現しているものと思われます。

トラッキングの精度は向上か

超音波トラッキングによるコントローラーの検出は新しい技術ではありません。中国のVRヘッドセットメーカーによって開発された「Pico Neo」の新型には、既に6DoF入力用の超音波トラッキングが採用されています。

しかしPico Neoのハンドトラッキングの精度に関し、米メディアRoad to VRの記者は「信頼がおけなかった」とコメント、Pico Neoに搭載されている3つのセンサーだけでは精度の高い6DOFのトラッキングは難しいのではないかという見解を示しています。

他方、新モデルのSnapdragon VRDKでは、6つの超音波エミッタを搭載していることが画像から確認できます。これがトラッキング品質に及ぼす影響については不明です。

ヘッドセットへの6DoFコントローラー搭載は各メーカーの判断に委ねられますが、Snapdragon 845 VRDKに基づく新しい一体型ヘッドセットは、早ければ2018年末には登場する見通しです。

(参考) Road to VR
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