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テック 2021.06.18

NVIDIAの「CloudXR」最新動向をレポート。AR/VRコンテンツをあらゆるデバイスにストリーミング

NVIDIA Japan(エヌビディア合同会社)は2021年6月16日(水)・17日(木)の2日間にわたり、オンラインカンファレンス「NVIDIA AI DAYS」を開催。同カンファレンスでは「Deep Learning for DX」をテーマに、AIとGPUコンピューティングを活用した最新事例とソリューションに関する60ものセッションが行われました。

本記事ではその中から、1日目に行われたセッション「CloudXRアップデート、VR/ARストリーミングの状況」の模様をレポートします。

「CloudXR」とは

CloudXR」はNVIDIAが提供する、クラウド上でレンダリングしたAR/VRコンテンツを5G回線を使って配信するプラットフォームサービス。2019年のモバイルワールドコングレス(Mobile World Congress、MWC)で発表されたもので、AR/VRコンテンツをクラウド上でレンダリングして配信することで、高性能なPCやスマートフォンでなくともハイクオリティなAR/VRコンテンツを利用できるのが特長です。現在の最新バージョンは2.1で、SDK(ソフトウェア開発キット)の提供も行われています。

CloudXRはAR/VRグラフィックスの根本的な課題を解決する

セッションにはエヌビディア合同会社 エンタープライズ事業本部 プロフェッショナル ビジュアライゼーション ビジネスデベロップメントマネージャーの高橋想氏、および同部署のソリューションアーキテクト マネージャーであるJeremy Main氏の二人が登壇しました。

医療、製造業、自動車設計、建築設計、エンターテイメントなど、幅広い領域でハイレベルのAR/VRコンテンツが昨今では求められるようになっていると語る高橋氏。一方で、ハイレベルな3DCG描画や低遅延でのデータ送信など、AR/VRコンテンツの制作・提供にはハイスペックな環境が必要です。

従来はハイスペックなGPUとVRデバイスを有線接続してその問題に対応していましたが、有線接続では利用者の動ける範囲に制限がでてしまったり、VRならではの没入感が損なわれたり、あるいは安全上の懸念などの課題もあります。これに対し、CloudXRはサーバー側で処理したAR/VRコンテンツをネット経由でストリーミングすることで課題を解決します。

CloudXRはクラウドのみならず、自社データセンターやワークステーションなど、幅広くサーバー側の環境設定ができるだけでなく、データを受信する端末もスタンドアロン型VRデバイス、PC、スマートフォン/タブレットなど多様。また、端末側には極端にハイスペックな性能も必要ありません。データ送受信のためのネットワークも、5Gが普及することでよりCloudXRのメリットを最大限受けられると高橋氏は言います。

続けて高橋氏はCloudXRの最新動向を紹介。2021年1月にリリースされたバージョン2.0ではHoloLens 2やOculus Quest 2に対応したほか、2021年4月のバージョン2.1ではiOSに対応。また、AWS上での利用も可能にしたほか、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureへの対応も進めているとのことです。

その後はCloudXRの最新事例をいくつか紹介し、高橋氏のパートは終了となりました。

CloudXR SDKの解説や最新デモを公開

セッションの後半にはJeremy Main氏が登壇。あらためてCloudXRの仕組みを説明した後、開発者向けキット「CloudXR SDK」の構成や要求仕様、導入方法について解説しました。CloudXR SDKは現在NVIDIAの公式サイトから申し込み可能で、登録が承認されると実際にSDKをダウンロードすることができるようになります。ひと通り解説が行われた後はCloudXRを使用したデモが2つ紹介され、セッションは終了となりました。

(参考)NVIDIA AI DAYS


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