「Ray-Ban Meta」や「Even G2」など、AI機能を搭載したスマートグラス(以下「AIグラス」)が相次いで発売されています。
見た目はほぼ普通のメガネながら、AIに話しかけて質問したり、翻訳や文字起こしをリアルタイムで行ったりできるデバイスです。ビジネスへの応用にも注目が集まっており、この記事では現状のAIグラスでできること、職種別の活用イメージ、購入・利用時の注意点、2026年6月時点のおすすめモデルを紹介します。
AIグラスとは?
AIグラスには大きく2つのタイプがあります。ひとつは、レンズにMicroLEDなどのディスプレイを搭載し、文字情報をリアルタイムで視界に映し出せるタイプで、Even G2やSABERA、Rokid スマートAIグラスなどが該当します。
もうひとつはディスプレイを持たず、スピーカー・マイク・カメラを使った音声コマンド操作がメインのタイプで、Ray-Ban MetaやOakley Metaがここに入ります。
どちらもスマートフォンとBluetooth接続して使うのが基本です。
AIグラスでできること
現状のAIグラスが対応している主な機能は以下の通り。
- AIへの質問・回答
- 通話
- カメラを通じた撮影や視覚認識
- 時間・スケジュール・天気などの基本情報確認
- リアルタイム翻訳
- 録音
- 文字起こしと要約
- プレゼン用原稿(テレプロンプター)の表示
ただし、これらすべてに対応している機種はありません。できることは機種によって大きく異なるため、購入の際は「自分が何に使いたいか」を先に絞ることが重要です。
ビジネスで使える? どんな職種に向いているか?
個人の業務利用という範囲であれば、AIグラスをすぐに仕事へ活かすことは十分可能です。取材や執筆が多いメディア関係者は、録音・文字起こし・要約機能で作業効率を高められます。また、プレゼンや商談が多い広報・営業担当者には、テレプロンプター機能や翻訳機能が役に立つでしょう。後述するSDK周りの広がりを踏まえると、AIコーディングを専門とする開発者も、独自アプリやソリューション開発という形でビジネスに活用できるかもしれません。
一方、国内の企業・団体レベルで組織的に活用するケースは、現状ではPoC(概念実証)や研究の段階が多いのが実情です。ARグラスにAIアプリを接続してデジタルツインと連携させた工場支援や、医療・介護現場での活用研究、地域観光との連携実験なども進んでいます。ただし、多くは本格導入には至っていません。
(※上記はARグラスにAIアプリを接続して実現させたもの)
使用上の注意点
組織内でAIグラスを使う際は、プライバシーと情報管理のリスクに注意が必要です。カメラで撮影したデータの外部流出や、AI経由での社内情報漏えいといったリスクがあります。職場で使用する前には、同僚や上司との事前合意を得ておくことが不可欠です。また、社外であっても、撮影禁止エリアや個人情報の記録・流出につながりかねない場所での利用にも気をつけましょう。
機種によってはAI機能の利用にサブスクリプション料金が発生するものもあるため、継続コストも事前に確認しておくと安心です。
■2026年6月時点のおすすめ4機種
2026年6月時点で購入できるモデルの中から、ビジネス用途で参考になるものを4機種紹介します。
Even G2
Even G2は、左右両眼のレンズにMicroLEDディスプレイを搭載し、情報を自然な視野の中に表示できます。重量は約36gとトップクラスの軽量さで、長時間着用しても疲れにくい設計となっています。カメラを搭載していないため職場でも使いやすく、後述するMentraOSとの連携も実現。オープンプラットフォームのEven Hubでは数百のアプリが開発・承認待ちの状態にあり、日本語にも順次対応中です。
Rokid スマートAIグラス
Rokid スマートAIグラスは、片眼のウェイブガイドディスプレイで情報を表示しながら、12MPカメラで撮影・視覚認識もこなせます。カメラとディスプレイ表示を両立したい場合に、現状もっとも有力な選択肢です。AI機能はGPT-5やGeminiなど複数のモデルに対応しており、カメラ搭載機種のため職場での取り扱いには注意が必要です。
VIVE Eagle
VIVE Eagleはディスプレイを搭載せず、音声コマンドがメインの操作となります。VIVE AI Notesによる会議録音・文字起こし・話者識別・要約機能が充実しており、議事録作成の自動化に強みを持ちます。カメラ搭載ながらプライバシー保護の設計が徹底しており、撮影中のLEDインジケーターはセンサーと物理的に連動。LEDを覆うとカメラが自動停止する仕組みになっています。
Ray-Ban Meta
「Ray-Ban Meta」は2026年5月21日から日本でも販売が開始されました。世界では700万台以上を販売し、AIグラス市場の70%超を占めるリーダー的存在です。ただし、現時点では日本語で使えない機能も一部あり、ビジネス用途としての範囲はやや限られます。日本語翻訳への対応は2026年夏以降を予定しており、写真撮影やカジュアルなAI利用、音楽再生といった用途向きです。特に新しい映像撮影を体験したいというクリエイターの方におすすめです。
SDK・アプリ開発による活用の広がり
AIグラスのアプリを開発したり独自サービスを提供したりといった、より深く活用を目指す開発者向けの動きも活発化しています。
Even G2向けのオープンソースOS「MentraOS」は2026年6月に完全対応を発表しました。翻訳・AIノートテイカー・プロアクティブAIエージェントなど複数のアプリを同時起動でき、会議中に翻訳で発言を把握しながら自動で議事録を作成するといった使い方が実現します。質問が出た際にはその回答をグラス上に表示する機能も備えています。
Metaは2026年4月に、AIグラス向け開発ツール「Wearables Device Access Toolkit」の詳細を公開しました。開発者はカメラ・マイク・スピーカーへ直接アクセスするアプリを作れるようになり、視覚障害者支援・学習支援・植物管理など多様なアプリがすでに登場しています。SDKはiOS・Android向けにダウンロード可能で、実機がなくても「Mock Device Kit」で開発・テストを始められます。
RokidはAndroidアプリ向け開発ツールキット「CXR-M SDK」を提供しており、音声ストリーミングやカメラ映像の取得、翻訳・テレプロンプターのカスタマイズなどに対応しています(利用には問い合わせが必要)。
このほかにも、Claude CodeやCodexなどのAIコーディングツールとスマートグラスを接続して、AIへの指示や進捗確認をグラスから行うといった事例なども徐々に登場しています。各メーカーもそういったユーザーの動きに合わせてSDKのアップデートを続けており、公式機能以上の活用が今後さらに広がる可能性があります。開発用途での利用を検討している場合は、対象機種がSDKや技術情報をどの程度公開しているかも事前に確認しておくことをおすすめします。





