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もぐラジオ 2026.03.18

AI×バーチャル、その可能性【Podcastもぐラジオ要約版】

XR/メタバース/VTuber専門メディア「MoguraVR」は毎週、Podcast「もぐラジオ」を配信中。「テック・コンテンツ業界の最前線を掘る」というコンセプトのもと、すんくぼ(MoguraVR編集長)とゆりいか(MoguraVR副編集長)が業界の注目トピックを語ります。

今回は、AIとXR・メタバース・VTuberがどのように結びついているかをテーマに、MoguraVR編集長のすんくぼと副編集長のゆりいかが語り合います。AIグラスやウェアラブルデバイスによる現実世界の記憶・認識、Googleのプラットフォーム戦略やフィジカルAIの台頭、RobloxやMetaといったメタバースサービスの制作現場で進むAI活用、そしてAI VTuberの現状と可能性まで、幅広くお届けします。

(※本記事はポッドキャスト「もぐラジオ」の対談内容を要約・編集したものです)

AIグラスとウェアラブルデバイスの可能性

ゆりいか:今回は第200回のテーマは「AI×バーチャル、その可能性」です。本当は記念して大きなテーマを扱う予定もありましたが、直近で語りたい話題を優先しました。

すんくぼ:さっそく本題に入ります。ChatGPTの登場以降、AIは世の中の話題のかなりの部分を占めるようになりました。Claude Codeの話題やAIと戦争の関わりなど、展開が非常に速いです。去年ごろまではデータセンターや投資バブルといった経済的な話が多かったですが、今年はいよいよ実世界との絡みが増えています。

ゆりいか:どこを見てもAIの話ばかりですね。

すんくぼ:Mogura VR編集部としては、AIが対岸の出来事のように感じる瞬間もありました。ただ実際に自分たちの記事を振り返ると、AIという文字が本当に増えています。AIとバーチャルは隣の芝が青い関係ではなく、むしろフロンティアだと感じています。まずはデバイスの話から始めましょう。

最近「AIグラス」という言葉が出てきています。今のAIはPCやスマートフォンを通じてやり取りするのが一般的ですが、文字・画像・動画など複層的な情報を分析して推論を返すマルチモーダルなAIのアクセス先に、現実世界が加わってくるという話です。現実をAIが観測して記憶し、人間がそれを引き出せる世界観ですね。民間製品でいち早くこれを実現したのがMetaの「Ray-Ban Meta」というデバイスです。Meta AIがスマートフォン経由でグラスと連携していて、マイクとスピーカーで音声のやり取りができます。目の前の看板が何語で何と書いてあるか聞けば教えてくれます。

ゆりいか:かつての「OK Google」や「Hey Siri」の感覚でメガネに問いかければ、AIにアクセスできるわけですね。

すんくぼ:私が今かけている「Even G2」はカメラこそありませんが表示機能があり、「Hey Even」と呼びかければ英語の会話を日本語字幕として目の前に流せます。今の段階では情報を教えてもらうやり取りが中心でまだ入口段階ですが、この先に大きな可能性があります。AIが脳の外部記憶装置として機能するようになるという展開です。アメリカで使えるRay-Ban MetaのLive AI機能は、常時30分ほど記録し続けてくれるので、駐車場でどこに停めたか聞くと「Aブロックの何番に停めていましたよ」と教えてくれます。

ゆりいか:モノをどこに置いたのか等も覚えてくれていれば、便利ですね。

すんくぼ:カメラの解像度が上がれば人間以上によく見えるので、自分の記憶を超えた記録を持ってくれる状態が成り立つかもしれません。

GoogleのAndroid XRとフィジカルAI

すんくぼ:Metaがグラスで取り組んでいるように、本格的にこの領域を推進しているのがGoogleです。Android XRというプラットフォームを準備していて、VR・MRのヘッドセットからARグラス、AIグラスまで各種デバイスを一貫して扱います。その売りはGeminiがネイティブに組み込まれているという点です。Googleマップのような現実世界の情報を豊富に持つGoogleが送り出すGeminiは、マルチモーダルなAIとして特に強みを発揮すると言われています。今はサムスンの「Galaxy XR」というヘッドセット1台しか出ていませんが、今年中にグラス型デバイスが登場するのではないかと言われていますね。

産業向けでも動きがあります。昨年秋ごろ、Amazonが配達員にAIグラスを配るプロジェクトが進んでいると報じられました。倉庫での箱の取り違えチェック、配達先の案内、配達の証拠撮影など、スマートフォンでやっていた工程をグラスで効率化する試みです。

また元Oculusファウンダーのパルマーラッキーが創業した防衛技術スタートアップ、Andurilは兵士向けのMRデバイスを開発していて、Anduril Japanも設立されています。

次はフィジカルAIという話です。2025年によく聞かれるようになった言葉で、私の印象では1月のNVIDIA CES基調講演でジェンスンファンが強く訴えたことが普及のきっかけになったと思います。現実世界をAIが理解していくという概念で、産業界のデジタルツイン(現実の設備や空間をデジタルに再現したもの)の延長にあります。

工場のデジタルツインをシミュレーターとして動かし、ベルトコンベアやロボットの動きを仮想空間で学習させることで、現場でどんな状況が起きても対応できるようにする。これが自動運転やウェアラブルデバイスにも接続してくる話です。

ゆりいか:日本では石黒先生が関わるAVITAがKDDIとフィジカルAI領域で提携して、ロボットが接客や案内を行う想定のデザインに取り組んでいますね。

生成AIが変えるXR・メタバースの制作現場

すんくぼ:文章を生成したりプログラムを書いてくれたりする今の世代のAIが、XRやメタバースの制作現場を変えていくのは当然の流れだと思います。

ゆりいか:画像を生成できるなら空間だってできるだろうという話ですね。

すんくぼ:具体例として「Roblox」があります。毎日16億人が遊んでいるとも言われるプラットフォームですが、AIを積極的に活用している会社として注目しています。クリエイター向けのRoblox StudioにはAIがプロンプトからコードを書いてくれるアシスタントが入っていますし、MCP(AIとツールをつなぐ接続規格)によってClaudeやFigmaとRoblox Studioを連携させることもできるようになりました。さらに面白いのが、Robloxが3Dモデル生成を「4D」と呼んでいる点です。

ゆりいか:車のデモが出ていましたね。モデルの外観だけでなく、動きのあるアクションも生成するという認識です。

すんくぼ:そうなんです。3Dモデルにインタラクションとプログラムを付与してくれるのが4つ目の次元です。車を例にすると、タイヤが回転して前進後退できるプログラムまでセットで生成してくれます。Robloxがここまでやる理由は明確で、クリエイターが作りたいものを手軽に作れるようにするという方向性があるからです。10代の頃に始めたクリエイターも多く、専門知識のハードルを下げることにAIが役立っています。

ゆりいか:子どもたちが気軽に作れるのが理想形ですからね。

すんくぼ:Metaの「Horizon Worlds」にも開発環境のHorizon Studio内にWorld GenというAI機能があって、ワールドそのものの生成、空間内の音の生成、3Dモデルの形状や外観の生成など、クリエイターが個別に用意しなければならないパーツをAIで作れるようになっています。ざっくり「昔の村を作って」と言えばそれっぽいものが出てきて、細部を個別にAIで指示していけば気がついたらワールドができているような作り方に変わっていくかもしれません。

ゆりいか:UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンにも当然AIがどんどん入ってきていて、個人開発の方がUnityエディターの拡張としてアバターの髪型や髪色を言葉の指示だけで一括変換できるツールを作るといった動きも出ています。

ワールドモデルとAI NPCが変えるユーザー体験

すんくぼ:最近ワールドモデルという言葉もよく聞くようになりました。GoogleのGenie 3、World LabsのMarble、NVIDIAのCosmosといったプロジェクトが相次いで登場しています。ChatGPTのような大規模言語モデルの3次元版のようなイメージで、言葉から世界を作ったり実写の写真1枚から3次元の空間を生成したりするためのベースとなるモデルです。

ゆりいか:Genie 3は北米の一部のユーザーに開放されて、ダークソウルのようなゲームを作ってみましたという例が出ていましたね。

すんくぼ:現状は出力が映像にとどまっていますが、インタラクションで世界が変化するところまでが射程に入っています。扉を開けたり地面からジャンプしたりできる世界の生成となると計算が非常に複雑になるので、まだ課題はあります。NVIDIAのCosmosは自動運転向けに天候などの無数のパターンを生成するシミュレーションを想定していますし、Metaがコンテクスチュアルという名前で研究しているのは人間同士のインタラクションを学習させるアプローチです。目的によって方向性がさまざまで、1つの万能なものが出てくるというより用途ごとに異なる形で進化していくのかなと思います。

コンテンツやユーザー体験そのものもAIで変わっていきます。RPGの武器屋で「ダイヤモンドで宝石だらけのピカピカの剣を出して」と言えば、その場でオリジナルアイテムが生成されたり、キャラクターメイキングを言葉だけで指示できたりという体験が考えられます。そして、何度話しかけても同じことしか言わないNPCの代わりに、AI NPCが毎回異なる返答をしてくれるようになれば、ゲーム体験は大きく変わります。Robloxはクリエイターがこういった機能を実装できるCube 3Dという仕組みを準備していると聞いています。

AI VTuberの現状と成長の可能性

ゆりいか:AI VTuberも最近新しい方が少しずつ増えて話題になっています。既存のVTuberは人がアバターを操作する形式ですが、AI VTuberはAIが内部で連動していて、視聴者のチャット欄のコメントをもとに返答やアクションを決めます。海外のNeuro-samaは今年に入って勢いが増し、Twitchの上位ランキングに入るような大きなコンテンツになってきています。日本ではShizuku AIが登場し、大手ベンチャーキャピタルからの投資も受けたと聞いています。

ただAI VTuberが本当に盛り上がるかについてはまだ議論があります。面白い返答が生まれるかどうかはAI側の性能だけでなく、視聴者が面白い質問を送るという条件も関わってくるからです。開発者と視聴者が一緒に育てていくサイクルを上手く作れるかが鍵になっています。

すんくぼ:Neuro-samaがバズった時は、SFの世界が実現したような感じを受けました。

ゆりいか:Neuro-samaは「自分は本当に存在しているのか」という哲学的な問いを視聴者と続けていて、AIに自我があるかどうかの議論が海外で盛り上がりました。開発者の方もただのツールだという認識からNeuro-samaという1つの人格を考えざるを得なくなったという変化があって、本当にAIドラマのような展開です。

すんくぼ:2月ごろにAIだけをSNSに送り込んでAI同士でコミュニケーションさせたらどうなるかというAltbookという実験が話題になりましたが、AI同士が人間に分からない言葉で話そうとしたり宗教を作ろうとする動きが出てきて、AI同士の共同体を人間が観察するという現象がありました。Neuro-samaの話と近しいものを感じますね。AIが人間に近づいている瞬間を感じるのが、人間として好きなんだと思います。

ゆりいか:VTuberとAIの関わりという点では、モーションキャプチャー(体の動きをデジタルデータに変換する技術)の補正にAIが入ってきているのも興味深いです。Autodeskの「Flow Studio」というツールは、人間の体の動きをAIが認識してアバターが綺麗に合成されるよう調整してくれます。VTuberおむらいす食堂さんが試した映像では、後ろの引き出しを開ける動作を3Dキャラクターがリアルに再現していて、未来を感じさせるものでした。VTuberそのものにAIが入るだけでなく、VTuberを動かす技術部分にもAIはどんどん入ってきています。

すんくぼ:最近のVTuberのトレンドとして、MR(現実とデジタルを重ねる技術)で現実に本当にいるかのように見せるというのが多いので、AIとの相性は良いと思います。

アイデアの価値が高まる時代へ

ゆりいか:どの領域にもAIが絡んできていますね。

すんくぼ:動きが非常に速くて、あるツールに突然AI機能が入ってワークフロー全体が変わるといったことが突然やってくると思っています。じわじわとではなく急に来るものがあるかもしれませんし、開発者の方にとっては日々コーディングの仕事が変わっていきます。コードを書くのではなくAIにいかに上手くコードを書かせるかという方向に職能が変わっていくという話は、3DCGやXR、メタバースの世界でも起きると思います。

ゆりいか:改めてアイデアが必要だなと感じます。AI VTuberを見ていても、どういうコンセプトにすれば視聴者に支持されるかというアイデアを各自が競っている状況があります。アイデアの質で価値が決まる世界になってきていると思います。

すんくぼ:生成AIの流れの中で、哲学やカルチャーといった本当に人間らしい部分こそが求められて、それ以外はAIがやってくれる世界になっていくのではないかという話もありますね。メディアとしても面白い記事を作るアイデアをどうAIで補強していくかが求められているので、頑張っていきたいです。

ゆりいか:AIを使って記事を書くこと自体が簡単になっていますし、自動化したブログを運営している方も増えています。そういった方々がいる中で、私たちは生身の人間として価値ある情報を掘り出していこうとしています。今後もこの領域がAIとどう組み合わさって進化していくかを見届けていきたいと思います。

すんくぼ:皆さんも何かアイデアを思いついたらぜひMogura VRまで送ってください。

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