米国の大手小売企業ウォルマートが、バーチャルショップの拡大計画を発表しました。本計画にはもともと発表されていた「Unity」向けAPI連携の拡大や、メタバースプラットフォーム「ZEPETO」での販売チャネルの展開が含まれています。同社は物理的な店舗とデジタル空間を融合させ、各顧客に個別化された没入型ショッピング体験を提供するとしています。
ウォルマートは、生成AIやAR技術を活用して、よりパーソナライズされたショッピング体験創出を目指しています。例えば、生成AIを組み込んだカスタマーサポートアシスタントの開発や、ARプラットフォーム「Retina」を活用した3Dアセットの大規模生成などが進められています。
同社はこれまで、Unityと協業し、Unity開発者コミュニティに向けてEコマースAPIを直接ゲームやアプリに統合できるように取り組みを進めてきました。これらの施策によって、Unityで制作したゲームや体験の中で物理的な商品販売が可能になっています。
さらに、ウォルマートはZEPETOとの協力関係を強化し、同プラットフォーム内の特定のスペースにイマーシブコマース機能を統合する計画も明らかにしました。ユーザーはZEPETO内でウォルマートのブランド商品購入やバーチャルアイテムと実物商品をセット入手が可能となります。
ウォルマートはRobloxなどのプラットフォーム、ゲームとの連動に積極的な姿勢を示してきました。例えば、モバイルゲーム「House Flip」では、プレイヤーがゲーム内で使用する家具や装飾品の実物版を購入できるようになっています。また、「Avakin Life」というバーチャル空間サービスでは、ウォルマートの最新アパレル商品のバーチャル版を購入したり、実物商品の購入と同時にバーチャルアイテムを無料で入手したりすることができます。
さらに、同社は独自のバーチャルファッションブランド「CoreMood Collective」を立ち上げ、ZEPETOやAvakin Lifeなどのプラットフォームに展開しています。
これらの取り組みは、単にオンラインと実店舗のシームレスな統合を超えて、ゲームやソーシャル体験など、顧客が日常的に利用する様々なデジタル空間にウォルマートの商取引機能を組み込むことを目的としています。ウォルマートは「特に若い世代にとって、ショッピングが他の活動の副産物として行われることが多くなっている現状を踏まえ、新しい形の小売体験を提供することが重要」とコメントしています。