VRはゲームやエンターテインメント向けのものであるとする捉え方や、一時的な流行に過ぎないという意見がある一方、病院や大学ではVR技術を活用する動きが広がっています。例えばスタンフォード小児病院では、先天的な心疾患をビジュアル化し、理解しやすくするためにVRを使っています。
VRが活用されるのは手術や病気の時だけではありません。北欧の保険会社Gjensidige Insuranceは、出産体験のVR動画を制作しました。これから両親となる人たちに、出産とはどのようなものか理解を促す取り組みです。
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VRは不安と戦う人の助けになる
このコンテンツ「Birthual Reality(「Birth:誕生」と「Virtual Reality」をかけた造語)」は、スウェーデンの大学病院で撮影されました。約10分間の360度動画は、出産を控えた若い夫婦が病院に到着するシーンから始まります。カメラは途中から妊婦の視線に切り替わり、出産の一部始終を映し出します。
BBストックホルム病院の助産師長Kristina Müller氏は、このようなVRコンテンツが「出産の際に何が起こるかを、人々に正しく理解してもらう力を持っている」と考えています。そしてこの「Birthual Reality」が、出産の準備に当たる不安を和らげることを期待しています。
医療機関や大学でVRの活用を進める結果、VRは不安と戦う患者の助けになる、という実証結果が増えてきています。
MoguraVRでも、各国での事例を紹介しています。
これから起きることへの準備 スウェーデンの主要産院へ
今回のコンテンツを開発したGjensidige社は、「Birthual Reality」が母親の体験する出産の痛みそのものを緩和できるとは述べてはいません——しかし「両親となる人たちに、これから起きることへの準備をしてもらえる」と考えています。
コンテンツはYouTubeで公開されています。またGjensidige社は視聴を促すため、グーグルのCardboard型専用ヘッドセットを、スウェーデンの主要な産科病院へ送付するなどの試みも行っています。
(参考)CNET