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活用事例 2020.02.25

VRで高齢者や自閉症患者とコミュニケーション、北欧スウェーデンの取り組み

高齢者や認知症の人々のケアでVRを活用する、”VRセラピー”が注目されています。スウェーデンのある地方自治体では、行政の主導で高齢者や精神疾患を持つ人々にVR体験を提供。コミュニケーションを円滑にする取組が始まります。

きっかけはゲームでのコミュニケーション

ストックホルム郡のフッディンゲでは、特別なケア施設に住む人々へVR体験を提供します。介護者とのコミュニケーションを改善し、メンタルヘルスの面で良い影響を及ぼすことが期待されています。すでに3名に対してパイロットテストが実施されており、2020年は対象者を60名に拡大。期間も延長しVRのトライアルを行う計画です。

フッディンゲでは、過去にもこうしたユニークなケア手法を試みたことがあります。ゲームをよくプレイするスタッフが、MMORPG「World of Warcraft」を使って自閉症患者とのコミュニケーションを図ったのです。この結果、ゲームを通すとよりスムーズにコミュニケーションがとれることが判明しました。

「その後、私達はVRで何かできないかと話すようになりました――最初はほとんど冗談みたいなものでしたが。(中略)このアイディア自体は5~6年前に生まれ、実際のトライアルが開始したのは今から約1年前です」 フッディンゲで高齢者ケア事業等を担当するAnnika Sefbom氏は、このように振り返りました。

2019年初頭、フッディンゲはVRヘッドセット企業に連絡を取り、トライアルを開始しています。

コンタクトが困難な人へVRを提供

高齢者の他にVRユーザーとして検討されているのが、ハンディキャップを持つ人々、特に重度の精神疾患を持つ人や、自身での移動が困難な人だと言います。行政のリーダー、Dana Hagström氏は次のように理由を説明しています。

「我々は、こうした人達とコンタクトを取ることが簡単ではありません。それが、日常のありふれたことを伝えるだけだとしても。だから他のグループより、まずこの人々に対してVRを試してみる、という英断を下しました。結果を見てみたいと思います」

VRのプロジェクトは3年間かけて行われる予定です。担当するチームは、他の部門でもVR技術検討が進むことを願っているといいます。

ケアの現場でのVR導入事例は下記の記事でも取り上げています。

(参考)Computer Weekly


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