VR/ARスタートアップSpecular Theoryは、中小企業技術革新研究プログラム (Small Business Innovation Research、SBIR)フェーズⅢの契約をアメリカ合衆国国防総省と締結しました。この契約に基づき、Specular Theoryが開発したVRでの空中給油トレーニングを提供します。
Specular Theoryは2013年創業、VR/ARコンテンツの開発を行っています。過去にはウォルマート等の企業向け展開に加え、Barcelona Games WorldでBest XR Gameを受賞した経験も持ちます。
AIインストラクターやマルチプレイ機能も
今回の契約は、前年に結んだフェーズⅡの契約に続くものです。契約の総額は450万ドル(約4.9億円)、空中給油VRシミュレーターの米空軍への導入をさらに進める予定です。
このシミュレーターは開発中の機能を含め、AIによるインストラクション、Adaptive Learning(各学習者の学習進捗度に最適な学習方法を選択・提供する機能を持つシステム)、マルチプレイといった特徴を備えます。遠隔地にいるパイロット同士でも共同で訓練を行い、各自の習熟度に応じたトレーニングを受けることができます。
実飛行回数を削減へ
また米空軍によれば、VRトレーニング導入により実際の訓練飛行の回数を減らせるとのこと。通常空中給油を習得するためには、パイロット1名あたり6回の飛行が必要で、1回につき約8万ドル(約880万円)のコストがかかります。VRと併用することで飛行回数を4回に減らすことができ、これは1人当たり16万ドル(約1,750万円)の削減になります。今後はシミュレーションで利用可能な機体や、トレーニングシナリオの拡充も図る計画です。
米軍では様々なセクションでVRトレーニング導入が進んでおり、これまでに下記のような記事で取り上げてきました。