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もぐラジオ 2026.02.19

MyDearest×Mogura経営統合を語る【Podcastもぐラジオ要約版】

XR/メタバース/VTuber専門メディア「MoguraVR」は毎週、Podcast「もぐラジオ」を配信中。「テック・コンテンツ業界の最前線を掘る」というコンセプトのもと、すんくぼ(MoguraVR編集長)とゆりいか(MoguraVR副編集長)が業界の注目トピックを語ります。

今回は、2025年12月末に発表された株式会社MoguraとMyDearest株式会社の経営統合について、MoguraVR編集長のすんくぼと、MyDearest代表取締役の岸上健人が対談形式でその経緯と真相、そして今後の展望を語り尽くしました。

(※本記事はポッドキャスト「もぐラジオ」の対談内容を要約・編集したものです)

衝撃の発表から2ヶ月、株式会社Mogura吸収合併の真相

すんくぼ:皆さんこんにちは。XR・メタバース・VTuberのニュースをお伝えする「もぐラジオ」です。今回はゲストとして、MyDearest代表取締役の岸上健人さんにお越しいただきました。

岸上:よろしくお願いします。実は今まで何度もゲストとして呼んでいただいているので、準レギュラーのような感覚ですね。

すんくぼ:そうですね(笑)。今回は動画形式では初登場となります。さて、なぜ岸上さんが隣にいるのかというと、2025年12月末にMoguraとMyDearestの経営統合という、業界にとって少し衝撃的なニュースを発表したからです。この収録は2026年2月に行っていますが、実はすでに株式会社Moguraという法人は存在していません。

岸上:びっくりする話ですよね、本当に(笑)。

すんくぼ:法人はバーチャルな存在なので、なくなっても実感があまり湧かないものですね。12月末日をもって会社としてのMoguraは消滅しました。

岸上:今回の件は法的には「吸収合併」にあたります。MyDearestが存続会社としてMoguraを吸収し、Mogura側は消滅会社となるため、法律用語としては「消滅」という物々しい表現になりますね。

すんくぼ:「解散」ではなく「消滅」なんですよね。Moguraはもう世の中に法人としては存在しないものになってしまいました。今回のテーマは、この「MyDearestとMoguraの経営統合」についてです。日本のVRゲームを代表するMyDearestと、メディアとして活動してきた我々の間で一体何が起きたのか。説明責任も含め、この統合がどのように前向きなものであるかを、これまで関わってくださった方々に共有したいと思います。

10年以上の付き合いと、徳島でのパルマー・ラッキーとの思い出

すんくぼ:本題に入る前に、改めて岸上さんの自己紹介をお願いします。

岸上:はい。MyDearestは2016年に創業し、今年で10年目を迎える会社です。主にエンターテインメントコンテンツ、特にVRゲームを主力としてきました。現在はアメリカのアルファ世代(2010年代初頭以降に生まれた世代)を中心にVRゲームが流行しており、我々もその領域で約10年間活動しています。

すんくぼ:岸上さんと私のご縁は、実はMyDearest創業前からですよね。

岸上:そうですね。新卒で入社したソフトバンク時代に開催された経営塾で、ゲストとしてすんくぼさんが登壇されたのが出会いです。当時はまだ2015年で、私が起業する前でした。そこから数えると10年以上の付き合いになります。

すんくぼ:出身地のお話も面白いですよね。

岸上:私は徳島県出身です。徳島といえば阿波おどりですが、アニメ・ゲームイベントの「マチアソビ」も有名です。そこにすんくぼさんや、Oculus(現MetaのXR事業のルーツ)創業者のパルマー・ラッキーが来てくれたこともありました。

すんくぼ:パルマー・ラッキーさんといえば、最近は防衛技術企業アンドゥリル(Anduril)の創業者としても知られていますが、当時は「信じられないほどのオタク」として日本でフィーチャーされていましたね。

岸上:マチ★アソビに来た時の彼は本当に自由でしたね。

すんくぼ:当時、私は2泊3日で彼に密着取材をしたのですが、彼は『メタルギア』シリーズのキャラクター「クワイエット」のセクシーなコスプレをして街中を歩いていました。しかも横にいる現在の奥様の方が完璧なコスプレをしていて、パルマーは「女装した謎の外国人」扱いをされていたのが印象的でした(笑)。

岸上:奥様の手作り衣装でしたね。彼は日本に来ると水を得た魚のようにリラックスしていました。そういったイベントを含め、徳島でのご縁もありました。

約2ヶ月で進んだ統合の裏側

すんくぼ:岸上さんは仕事熱心なイメージが強いですが、実はかなりコアなゲーマーですよね。以前、Steamのマニアックなインディーゲームを紹介されて驚きました。

岸上:そうですね。『Expedition33』や、最近だと『Mouthwashing』というインディーゲームが好きです。『Mouthwashing』は宇宙船に閉じ込められた船員たちが、残されたマウスウォッシュを飲むしかないという狂気的な設定のホラーテイストな作品です。私はホラーそのものは苦手なんですが、ストーリー性が強く、ミステリー要素のある尖った作品が好きなんです。MyDearestが『東京クロノス』などのストーリー重視のVRゲームを作ってきた源流には、こうした私の好みがあるのかもしれません。

すんくぼ:MyDearestには他にもディープなゲーマーが揃っていますよね。さて、そんなMyDearestとMoguraが統合したわけですが、この話はかなり急ピッチで進みました。

岸上:そうですね。実は前から動いていたわけではなく、2025年の10月末にすんくぼさんと飲んでいた時に「そういう可能性がある」という話になり、そこから私が熱烈なオファーを出しました。実質11月頭から動き始め、12月末には発表という、通常ではありえないスピード感でした。

すんくぼ:2ヶ月での合併発表は異例ですよね。12月頭には我々が主催するカンファレンス「XR Kaigi」もあったので、水面下で動くのが大変でした。私が最初に懸念したのは、メディアである「Mogura VR」やイベント「XR Kaigi」の中立性でした。特定のゲーム会社の色がついてしまっては意味がないと。

岸上:そこは我々も完全に同意でした。Mogura VRやXR Kaigiは業界全体の場であり、中立でなければなりません。その独立性を維持し、むしろ強化していくことが統合の前提でした。

なぜ「Mogura」だったのか?統合を決めた最大の理由

すんくぼ:岸上さんがそこまで急いでオファーをくれた最大の理由は何だったのでしょうか?

岸上:まず、すんくぼさんとご一緒したいという思いが強かったことです。そしてビジネス的な観点では、Moguraという会社が「スタートアップではなく、自己資本で経営されてきた超優良企業」だった点が大きいです。

すんくぼ:私たちは外部からの出資を受けず、自分たちの利益で経営してきましたからね。

岸上:一方でMyDearestは、投資を受けて急成長を目指す「スタートアップ」であり、エンタメコンテンツ制作に特化しています。我々は上場を目指していますが、ヒット作の有無で売り上げが変動しやすいBtoC事業だけでなく、安定的に成長できるBtoB事業も強化したいと考えていました。Moguraさんはメディア運営だけでなく、企業や官公庁向けのコンサルティングや開発事業も手掛けており、その実績とコネクションは我々にないものでした。事業領域が全く被らず、綺麗に補完し合える関係だったのです。

すんくぼ:Moguraとしても、9年間やってきて「単一のメディア運営と商品販売だけでは限界がある」と感じていました。メディア単体では収益化が難しく、かといってスタートアップのように急激な拡大を目指すモデルでもない。やりたいことは沢山あるのに、リソースの面で歯痒い思いをしていました。そんな時に、全く違う強みを持つMyDearestから熱烈なオファーをいただき、これなら新しいことができると直感しました。

北米市場のリアルと「子供たちのサンクチュアリ」としてのVR

すんくぼ:現在のXR業界についてもお話ししたいのですが、Meta社のレイオフなどが報じられる中で、市場の現状をどう見ていますか?

岸上:Metaのレイオフは主にファーストパーティ(自社開発)のスタジオが対象で、我々のようなサードパーティ(外部開発会社)にはむしろ「もっと投資していく」というメッセージが出ています。現状、アメリカでは子供たちを中心にVRゲームが爆発的に流行しています。MyDearestの『CloverClimber』というタイトルは30万本ほど売れていますし、無料タイトルでは200万ダウンロードを超えるものもあります。

すんくぼ:それはすごいですね。北米のティーン層の熱量は高いですか?

岸上:非常に高いです。オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」を遊ぶ層の中でも、より濃い体験を求める子供たちがVRに移行しています。彼らはとんでもない時間をプレイに費やします。

すんくぼ:NintendoSwitchの後継機なども話題ですが、VRから離れることはないのでしょうか?

岸上:むしろ増えていますね。アメリカの投資家と話した際、「MetaQuestはNintendoSwitch2の予想価格の半額程度だ」と言われました。Switchの新機種が450ドル程度と予想される中、Quest2や3Sは200〜300ドル台で購入できます。アメリカの子供たちにとって、最も安価に手に入るゲームハードの一つがMetaQuestなんです。

すんくぼ:なるほど、価格競争力があるんですね。

岸上:加えて、アメリカでは治安の問題もあり、放課後に子供たちが外で遊ぶ文化が薄れています。親御さんも家で遊ばせたがる。その中で、友達と集まれる場所としてVR空間が選ばれているんです。『GorillaTag』のようなゲームは、放課後の公園のような役割を果たしています。大人がいない、子供たちだけの「サンクチュアリ(聖域)」になっている点が、熱狂的な支持の理由だと思います。

すんくぼ:日本だと「VRChat」が流行っていますが、アメリカではその役割をVRゲームが担っているわけですね。この市場の面白さは、日本にいるとなかなか実感しづらい部分ですが、掘れば掘るほど興味深い事実が出てきます。

経営統合で変わること、変わらないこと

すんくぼ:最後に、今回の統合で具体的に何が変わるのかをお伝えしましょう。まず、Mogura VRやMogura Gamesといったメディア、そしてXR Kaigiなどのイベントは、これまで通り、むしろ体制を強化して継続します。

岸上:はい。何も変わりませんし、MyDearestの開発リソースが加わることで、これまでMogura単体ではできなかったことにも挑戦できるようになります。

すんくぼ:私はMyDearestの執行役員として、BtoB事業部の統括責任者を務めることになります。これまでMoguraが手掛けてきたコンサルティングや開発支援に、MyDearestの強力なエンタメ制作力が加わる形です。

岸上:MyDearestには「VR遊び事業部(現BtoB事業部)」という、受託開発や企業様との共同制作を行う部署があります。ここにすんくぼさんの知見とMoguraの実績が合流することで、エンタメ要素の強い企画から、実用的なBtoBソリューションまで、あらゆるニーズに対応できる体制が整いました。

すんくぼ:例えば「自治体の認知度を上げたい」という相談に対して、これまでは企画中心でしたが、今後はハイクオリティなワールド制作やゲーム要素の実装まで一貫して提供できるようになります。逆にエンタメ要素が不要な実用的な案件であれば、それに特化した開発も可能です。

岸上:お互いの強みが被らずに噛み合っているので、これからどんなシナジーが生まれるのか私自身も楽しみです。すんくぼさんは「どこまでも行く」というスタートアップ的な思考で、BtoB事業を牽引していただければと思います。

すんくぼ:Moguraという法人はなくなりましたが、ブランドと魂はMyDearestの中で生き続け、より強力になっていきます。メディアとしては中立を保ちつつ、事業としては新しい価値を提供していきますので、今後の展開にぜひご期待ください。

岸上:ご質問やご相談があれば、ぜひお気軽にご連絡ください。今後ともよろしくお願いいたします。

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