Metaと、防衛技術企業Anduril Industriesは5月29日、米軍向けの統合型XR製品の開発で提携したと発表しました。Andurilは、Oculus創業者パルマー・ラッキー氏がFacebook(現・Meta)を辞めた後に設立したスタートアップです。本提携により、戦場で兵士の知覚力を向上させ、自律型システムを直感的に操作可能にするXR製品の設計・開発・実戦配備を目指す取り組みにMetaが加わることになります。両社は民間技術の転用によって米軍のコスト削減にもつなげるとしています。
Anduril Industriesは、2017年にパルマー・ラッキー氏がMetaを退社後に設立した防衛技術企業です。主力製品のソフトウェア「Lattice」は、さまざまなセンサー情報を統合し、戦場全体の状況を把握するためのAI搭載システムです。2025年2月には、米陸軍の複合現実統合視覚増強システム(IVAS)プロジェクトをマイクロソフトから引き継ぎ、開発を主導。米軍向けの新型XRヘッドセットシステム「EagleEye(イーグルアイ)」も開発しています。
今回の取り組みは民間資本のみで運営されており、商業用途向けの高性能な部品や技術を軍事分野に応用することで、大幅なコスト削減も目指します。Andurilは本提携を「AIとウェアラブルデバイスを基盤とする次世代コンピューティングの進展において、アメリカの技術的優位を維持し、経済や国家安全保障の強化を図るもの」としています。
本提携により、両社の共同開発したAR/VRデバイスは「Lattice」と統合される計画となっており、数千の情報源から収集されるデータを基に、リアルタイムで戦場情報を提供します。AR/VRインターフェースにより、兵士は分析結果に直感的なアクセスが可能となり、現場での意思決定精度の向上が見込まれています。また、従来は中央管轄部隊に集中していた情報や機能を現場で利用可能にすることで、作戦の迅速化と柔軟性が期待されています。
両社はすでに、本プロジェクトに関するホワイトペーパーを共同で提出済みです。Andurilは、兵士向け機能の実証と統合を進めることで、IVASプロジェクトにおける開発の加速を図っています。特に、従来は180日かかっていたソフトウェアアップデートが、現在では18時間以内に配信可能となっている点は大きな進展として強調。Latticeと連携したIVASヘッドセットの実地テストはすでに進行中で、運用効率やコスト面での改善が図られています。
マーク・ザッカーバーグ氏は、「Metaは過去10年間、未来のコンピューティングプラットフォームを実現するAIとARの開発に取り組んできました。国内外で私たちの利益を守る米軍にこれらの技術を提供できるよう、Andurilとの提携を誇りに思います」とコメントしています。
パルマー・ラッキー氏は、「Metaとの再提携に高揚している」とし、「戦士をテクノマンサーへと進化させるという自身の使命を具現化する製品」だと述べています。
MetaのCTOであるアンドリュー・ボスワース氏は、「感覚と知覚を拡張する新たなコンピューティング時代が始まっており、米国の国家安全保障にとって極めて重要」との認識を示しています。
(参考)Anduril
