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業界動向 2018.10.11

軍事訓練へのVR/AR活用進む 2025年には2,000億円規模に

VR/AR/MR技術を軍事訓練に導入する動きが広がっています。最近公開されたレポート「Military Augmented Reality Market to 2025」は、AR/VRを用いた防衛の市場規模は2025年までに17.9億ドル(約2,000億円)規模になると予測。2017年の市場規模5.1億ドル(約570億円)から大幅に拡大すると見ています。

費用対効果とリアリティが要因

このように軍隊・防衛分野でのAR/VR活用が進んでいる背景には、これらの技術を導入することの費用対効果の高さ、そして実際の機器を用いてリアルな戦闘場面を再現することの難しさがあります。

防衛分野の技術を手掛けるVRソフトウェア企業、Bohemia Interactive Simulations(BISim)のJohn Burwell氏は、「増大する危機や予算の制約に直面する軍の組織は、シミュレーションやトレーニングに活用できる(AR/VR)技術を歓迎しています」と説明しています。

防衛分野で駆使されている技術は、元をたどるとゲーム業界で発展したものです。BISimがトレーニングやシミュレーションソフトの開発に使うのも、ゲームをベースとした技術です。その例としては、アメリカ空軍向けのガンシップ乗組員のトレーニング、パラシュートトレーニングといったものがあります。

実際の戦場を模したシミュレーションは、長い間軍のトレーニングに用いられてきました。しかしVRヘッドセットとゲームから発展した最新のプログラムは、より戦闘のトレーニングに適したものとなっています。Burwell氏は、「AR/VRを使った次世代のトレーニングシステムは、低コストで、高い再現度のソリューションを実現します。また必要なリソースも少なくて済みます」とそのメリットを語っています。

一般向け市場にも影響

また同氏は、軍需産業で開発されたVR技術が、逆に消費者向けVR市場で活用されるという循環も予測します。「防衛向けのAR/VR技術は、トレーニングの特別な用途に向けて開発されるものです。例えばパイロットのトレーニングに使う高解像度のヘッドセットなど。現在では特別な一部のデバイスでしか対応できません。しかし製品ロードマップを見ると、今後数年で高コスト、複雑なデバイスも一般向け市場に普及してくるような傾向があります」

トレーニングにゲームを使って良いのか?

一方、軍事訓練にAR/VR技術を用いる際の問題点として、ゲームを使って兵士の訓練を行う、ということの倫理上の懸念があります。これについてBurwell氏は、結局は実行面での問題だと言います。

「AR/VRをトレーニングに使うならば、トレーナーは兵士に、これらのツールの内容や、現実のシナリオを再現するという目的について明確に説明しなければなりません。(中略)利用者は、自分の行動が持つインパクトについて知っておく必要があります」

軍事向けのAR/VR利用はまだ発展途上にあり、その効果について結論を出すのは早急です。しかし今後も、防衛分野で利用が進むことは、間違いないと言えそうです。

MoguraVRでは軍事分野でのAR/VR利用について、他にも下記のような事例を紹介しています。

(参考)ZDNet


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