Metaが航空機内での「Meta Quest 3」のサービス提供を拡大すると発表しました。これは、2024年5月にMetaとルフトハンザ航空が始めた提携が成功したことを受けての方針です。
Metaとルフトハンザ航空の提携は2024年夏に始まりました。この提携により、ルフトハンザ航空のビジネスクラスの利用客は、飛行機内でMeta Quest 3を使ったVRやMRのコンテンツを楽しめるようになりました。具体的には、大画面での映画やテレビ視聴、360度映像の視聴、目的地の事前確認ができる「バーチャル下見」、瞑想コンテンツなど、多彩な体験が提供されています。
今回の成功の要因は、Meta Quest 2とMeta Quest 3への「トラベルモード」の実装です。
従来、Meta Questシリーズは体験者の位置を確認するために、ヘッドセットに埋め込まれたカメラによるトラッキングシステムを採用しています。このシステムでは、その特徴ゆえに、飛行機内などの高速で移動する乗り物でデバイスを使用すると、高度や飛行する方向が変わった際に、メニューやオブジェクトが予想外の位置にズレこんでしまったり、乱気流時に激しく揺れたりしてしまうといった課題がありました。そのため、実質的に、Meta Quest 3などを飛行機内で使うことは不可能とされてきました。
しかし、トラベルモード実装により、移動中の飛行機で位置トラッキングが正常に動作可能。飛行機内でも安定してVRやMRの体験が可能になっています。現在は飛行機向けですが、将来的には電車などにも対応する計画が進んでいます。Apple Vision Proなど、Meta以外にもXRデバイスでは重宝される機能です。
MetaのXR部門・Reality Labsのエンターテイメントコンテンツ担当ディレクターであるサラ・マルキン氏は、「ルフトハンザ航空との協力でトラベルモードが非常に好評でした。今後は他の航空会社への提供を進め、さらに利用環境を整えていく計画です」と語りました。
現時点で具体的な航空会社名は公表されていませんが、ビジネスクラスやファーストクラスなど、特定のクラスでの導入を検討していると見られます。
航空業界ではこれまでにも、VRを使った機内エンターテイメントが試みられてきました。2015年にはオーストラリアのカンタス航空がサムスンのVRデバイスを提供し、その後、エールフランス、イベリア航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、シンガポール航空などが導入しました。しかし、これらの取り組みは終了しています。
(参考)Road to VR
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