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活用事例 2020.07.14

人々の反応や意見を都市の「デジタルツイン」で可視化 ドイツの研究事例から

ドイツ・シュトゥットガルトのHigh Performance Computing Center (HLRS)は、都市の3Dビジュアル化を行っています。様々な条件や住民の意見を3Dモデルに反映し、都市開発をサポートすることが目的です。

都市の「デジタルツイン」を作成

HLRSのFabian Dembski氏らは、高性能コンピューティング技術(HPC)を用い、3Dビジュアル化アプリケーションを開発しています。都市の「デジタルツイン」作成をコンセプトとし、環境のシミュレーション等を実施。ドイツのヘレンベルクを対象とし、都市計画に活用させています。過去にも建物やインフラのネットワークをデジタル化することは行われてきましたが、オブジェクト単体ではなく、都市全体を3Dモデル化するのはHLRSにとって初めての取組です。

都市のモデルには、大気の状態、交通の流れといった環境も反映。大規模なデータセットをスーパーコンピューターで取り込み、バーチャル空間に可視化します。これにより、例えば新しいビルの建設により大気の状態がどう変化したか、といった相互作用を確認可能です。

住民の反応もアイコンで可視化

さらにHLRSのプロジェクトのユニークな点は、住民の反応をモデル内に可視化した点です。住民が参加できるアプリを構築し、それぞれのエリアに対する「ここは快適だ」「この場所は治安が悪い」といった感情を示せるようにしています。これらはアイコンとなり、都市のモデルに表示できます。Dembski氏は、喜びや恐怖といった感情は都市デザインに重要なファクターであるが、建築のモデルやシミュレーションに反映することは難しいと説明しました。そして、「我々のアプローチは、これらの複雑なデータを収集し、(モデルに)組み込もうという試みの先駆けです」と話しています。

Dembski氏は、今後はAI(人工知能)技術も用い、より詳細かつデータ量の豊富なモデル構築を目指すとしています。

都市の3Dモデル化やバーチャル空間での再現、その活用事例はこちらの時期で紹介しています。

(参考)HLRS


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