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投資 2020.01.16

介護者向けVR訓練のスタートアップが320万ドル調達 出資者に注目

カリフォルニアのスタートアップEmbodied Labsは、シードラウンドで320万ドル(約3.5億円)の資金調達を行いました。成功を納めたこの資金調達には、ある特長が見られます。

介護者向けのVR教育

Embodied Labsが手掛けるのは、高齢者のケアに従事する人に向けたVRトレーニングです。2016年の設立以降、プロの介護者や家族の介護に当たる人々が、加齢による様々な疾患を体験できるVRを開発してきました。具体的は、アルツハイマー、加齢による視覚や聴覚の衰え、パーキンソン病等の疾患を想定しています。

同社は2つのミッションを掲げています。1つ目は、知的かつ直観的な行動の変化により、人を中心にしたケアを推進すること。そして2つ目は、長期にわたり介護者の採用や質の担保をサポートすることです。

多様性に満ちた出資者構成

今回の資金調達の特長は、出資者の多様性です。主導したのは、高齢化社会の課題を解決するテクノロジー(Age-Tech)のファンドZiegler Link·Age FundとVR向け投資ファンドThe Venture Reality Fund(The VR Fund)。そして、医療と教育分野で社会的インパクト投資を行うSustainVC、女性や次世代コンピューティング向けファンドのWXR Fund等が参加しました。

同社の創設者でありCEOのCarrie Shaw氏は、資金調達の感想を次のように述べました。「最初の資金調達ラウンドで予定以上の出資申出があったことに加え、投資家がユニークな多様性に満ちていることにワクワクしています。高齢化社会、新技術、社会的なインパクト、女性活用、そして医療・高齢者ケア分野の従業員教育の変化の必要性。これらのエキスパートの集合です」

VRトレーニングのポテンシャルは

急成長するAge-Tech市場は、今後400億ドル規模に達する見込みです。そして米ゴールドマン・サックスのレポートによれば、2025年時点でVRによるヘルスケアは、市場の12.5%を占めると見られています。

またVRトレーニングに関する調査としては、ABIリサーチがその定着率の高さを発表しています。VRを用いた教育の定着率は75%。講義が10%、テキストの通読では15%という数字に比較して、圧倒的に高くなっています。

Embodied LabsのVRトレーニングは、このように拡大するマーケットにおいて有望であると、出資者らの期待を集めています。

介護分野や高齢社会におけるVR活用事例は、下記の記事で紹介しています。

(参考)PRNewswire


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