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中国はVR/ARで何を目指すのか――南昌の「世界VR産業大会」から見るその未来

2019年10月19日から22日にかけて、中国の江西省・南昌で開催された世界VR産業大会。国家の手厚いサポートを受けて拡大を目指す中国VR/AR業界の概況を、Mogura VR News / MoguLive編集長の久保田瞬(すんくぼ)と編集部の水原由紀が、対談形式で掘り下げます。

目次

1. 中国のVR産業大会とは?
2. 国家主導でVRの普及を目指す中国
3. 小型軽量のHuawei製VRグラス、その実力は?
4. BtoBは教育やトレーニング系VRに注力
5. 中国はロケーションベースVRが盛況
6. 未来のXRを牽引する? 中国の動向をチェック

中国のVR産業大会とは?

すんくぼ:

中国の世界VR産業大会はこれで2回目。2018年に第一回が開催されていて、その時は10万人~20万人が来場……というと、ちょっと前の東京ゲームショウ(TGS)なんかと同じくらいの規模感。業界関係者だけではなく、一般のお客さんも来る。ちなみに開催場所は江西省の南昌市だね。

趣旨としては、中国政府肝入りのイベントという位置づけ。中国は政府レベルから市レベルまで、行政が一丸となってVR/AR産業へのサポート態勢を整えている。民じゃなくて官が主導している大規模なXR関連イベント、と言うとわかりやすいかな。

すんくぼ:

規模自体はかなり大きめ。国家主導で新しい産業をプッシュする、というのはいろいろな国で見られるけれど、圧倒的な規模だった。これくらいのスケールでやってるのは中国ぐらいだと思う。

水原:

そこまで力が入っているとなると、このイベントに来るだけで中国のVR/AR関連の全体像もつかめそうですね。

すんくぼ:

いや、実はそうでもない。国が力を入れているしのは確かだし、規模も大きくてそのポジションを目指しているのは間違いない。けれど、北京や上海、深圳といった、いわゆる「一級都市」のVR/AR企業が軒並み参加しているわけではないんだよね。雰囲気は感じ取ることはできるけれど、全容ではない、くらいかな。

水原:

あくまで江西省、そして南昌市が中心と。2014年の資料によると、江西省の総人口が約4500万人、南昌市の人口が500万人、南昌市区の人口が250万人です。南昌は名古屋とか福岡市みたいなイメージですかね。

すんくぼ:

南昌中心エリアの規模感はそれくらい。大規模なイベントに耐えられる施設もあるし、人口自体も多いね。

基調講演では中国政府の要職に就いている人たちが、「南昌は人民解放軍が蜂起をした場所」というフレーズをたびたび話していて。「南昌は人民解放軍が蜂起した英雄の街であり、この南昌からVR産業のムーブメントを起こしていきましょう」と繰り返してた。

水原:

1920年代に南昌蜂起と呼ばれる事件があり、中国人民解放軍誕生の地になっているんですね。VR産業でも「南昌から生まれるエネルギーが中国全土に広まっていく」という、かつての歴史を参照したストーリーを描こうとしている。

ところで、中国にVR/AR産業を根付かせる拠点として南昌が選ばれているわけですが、深圳(深セン)ではないんですね。

すんくぼ:

そう、深圳ではなく南昌なんだよね。今回はXR企業の誘致の側面も大きくて、例えば南昌で起業すると補助金やサポートが得られるといった、様々な支援策が大量に用意されてる。そのアピールの場として大きなイベントを開催し、世界中から人や企業を呼び込んで、南昌という土地に根を下してもらいたい、という趣旨が見えるイベントだった。

国家主導でVRの普及を目指す中国

水原:

イベント内容はどうでしたか?

すんくぼ:

基調講演はなんというか……中国式で。会場前方には貴賓席が設置され、国、省、市と“偉い順”で話していくスタイル。その後のセッションは100以上あるし、登壇者は多いわ世界中から人が集まっているわで、数え切れないほどだったね。

すんくぼ:

内容としては業界や市場概況の話もあれば自社事例の紹介もあるし、今回は5Gがテーマとして掲げられていたのもあって、「5GやAIとの関係」や「ジャーナリズムにおけるVR」といったセッションやパネルディスカッションもあった。

水原:

台湾HTCやHuawei(ファーウェイ)も基調講演に登壇しているんですね。

すんくぼ:

他にも通信会社やプラットフォーマーが登壇し、自分たちが考えてることやアプローチ、今後どうなっていくのかという話をしていたね。主に政府サイドは「VRが次の産業になり、大きなうねりとなる、その波を南昌から起こしていきましょう」という内容で、企業各社は順々にkeynoteで現在の取り組みの話を紹介してた。

水原:

講演の順番や配置から見ても、とにかく官の主導力が強そうです。

すんくぼ:

貴賓席がズラッと並んでいる時点で、欧米の企業主催イベントとはまったく違う雰囲気だね。国務院の副総理といった政府上層部が講演に参加していたり、公的なイベントとしての意味合いが強いと感じた。

水原:

中国は現在成長中のVR産業に対して、「5年や10年単位で産業育成、定着のために投資して取り組んでいこう」という気概が見えますね。アメリカでは政府というより、Facebookなどの民間企業が独自で頑張っていますが、中国では国家・行政主導と。もちろん市が助成金を出してたりするケースはありますが、規模感がすごい。

すんくぼ:

VRの普及までは時間がかかる、では長期的なところを誰が支えるか? という話。アメリカはシリコンバレーを始め、ベンチャーキャピタルが投資をする形でお金が回っているけれど、中国は国や官が支えている、ということが随所から伝わってくるイベントだった。

先述の通り開催場所は南昌。建物は南昌グリーンランドインターナショナルエキスポセンター(中国語:南昌绿地国际博览中心)というホールだったんだけど、1階を全部ぶち抜きで使って展示してた。規模感としてはビッグサイトのホール6個分ぐらいかな。


(公式サイトより引用)

水原:

余談ですが、ググると出てくる画像が超かっこいいですね(笑)

すんくぼ:

確かに上から見るとかっこいい(笑) かなり新しい建物だし。今回は時間がなくて見られなかったんですが、展示フロア以外にもVR映画祭のようなコンテンツアワードや、ゲームとエンタープライズ向けが混ざったVR/ARの展示など、一通りのテーマは全部押さえてたね。

小型軽量3DoF、Huawei製VRグラス

すんくぼ:

次は展示ブースの話。いろいろな理由から中国で展開できる企業は限られているけれど、主要なハードウェアメーカーとしてHTCやHuaweiが大きなブースを構えていた。5Gもテーマのひとつで、通信会社のテレコムカンパニー、チャイナユニコムといった中国三大キャリアがVR/ARを絡めて5Gを紹介するブースは目立ってたね。

すんくぼ:

ハードウェアは全体比からすると多くはなく、出展のほとんどはBtoBソリューションかエンタメ系のVR/ARコンテンツ。気になったのはHuaweiが出していたVRグラスですね。


(Huawei VR Glasses)

水原:

確かこれは3DoF(頭の回転のみが可能なタイプ。VR内移動はできない)ですよね。スマホとつないで使えるOculus Goみたいな。

すんくぼ:

VRヘッドセット(VRグラス)をディスプレイとして使い、レンダリングはスマホ側で行うタイプで、軽くて小型。デバイスとバッテリーやプロセッサを分けちゃおう、それはスマホでやろう、というのはNrealLightあたりと同じ発想だね。

体験として革新的かと言われるとそうではないのだけれど、僕含めて体験した人は「意外と悪くない」という感想だった。視野角や頭を動かしたときのブレ、映像の遅れもなく、ほぼOculus Goとして使えるレベル。小型で手持ちのスマートフォンとつなげるだけで使えるわけだし、外見も含め次世代のデバイスという感じ。

最初は6DoFでは? という噂もあったけれど、実際は3DoFだったね。独自コントローラーもなかった。NOLO(ノロ)というトラッキングデバイスを使えば6DoFにできるのでその展示も出ていたけれど、質は……。Oculus Questのように高品質な6DoFは難しい。基本的にはGoと同じだと考えていいね。

ほかにも、会場にはHoloLensやNrealLightを意識したMRデバイスがいくつか登場していた。CES(※)でも感じたんだけど、最近はMRデバイスを手掛ける中国メーカーが増えてきている。

(※CES:毎年1月にラスベガスで開催される世界最大のエレクトロニクスの展示会)

(Shadow Creator社のMRデバイス)

BtoBは教育やトレーニング系VRに注力

水原:

BtoBのソリューション展示がメインだったということですが、日本だと積木製作がリリースしているVR研修やVR危険体感などが思いつきますね。中国ではどんなものが多く見られましたか?

すんくぼ:

やはり力を入れているのはVR教育やVRトレーニング。日本と似たVRトレーニングや医療現場の救急対応、危険体感系のトレーニングコンテンツは多かった。他は3DデータをVRで見る建築・設計系のものとか。中国固有のものはあまりなくて、基本的には日本や欧米における産業での活用事例と同じ。パッケージを売る企業はほぼ見られなくて、基本事例を並べて展示するスタイルだった。

すんくぼ:

ただ、クオリティについてはけっこう微妙なところもある。もともと中国のVRコンテンツは粗いつくりのものが多かったんだけど、その辺りはまだ解決されていない。グラフィックはさておき、遅延やズレなども日本や欧米のVR系製品と比べるとまだまだ。どこまで没入させるか、という点では粗さが目立つ。あとは5Gがテーマだった影響か、VRヘッドセットじゃなくて巨大なディスプレイを組み合わせたり、といったタイプの「かぶらないVR」ソリューションも結構あったね。そのへんは潔い。

水原:

クオリティ面はまだまだと。着眼点はさまざまな先行事例に寄せているので、そこまでズレはなさそうですが。

すんくぼ:

別のイベントで聞いた話では、中国は教育分野に注力していて。政府もプッシュしているんだよね。国が示した方向にまっすぐ取り組んでいくという点で非常に力強さを感じる。数字で結果が出ているのか聞いてもいい答えは返ってこないんだけど……。まあ、それは少し先の話。

水原:

「早く稼ごう!」という話ではなく、「未来はVR/AR/MRの方向に進むだろうし、国が整えてくれるから、みんなで一緒にやるぞ」というような感じですね。中国のデジタルコンテンツはここ10年の流れを見ると、かなりスピーディーに進化していますから、国主導でどんどん前に進みそうです。

中国ゲームはロケーションベースが盛況

水原:

BtoBではなくコンシューマー向けのエンタメやVR/AR、ゲームなどへの投資はどうでしたか?

すんくぼ:

コンシューマー向けであれば、中国にはOculus StoreやSteamは入れないので、我々にとってメジャーなコンテンツがあんまりなかった。VIVEが展開しているVIVEPORTや360度型映像のプラットフォームなど、中国に入り込んでいくプラットフォームを持っている企業が展示してはいたけれど、TGSのようにそこまで目立った展示ではなかったという印象。活気があったのはアーケード系、いわゆるロケーションベースVRだね。

以前はド派手な大型筐体で人目を惹くケースが多かったけど、今年はかなりコンテンツドリブンになっていて。ジョイポリス渋谷にもあるTOWER TAGみたいなVRゲームだったり、お客さんを壇上にあげてBeat Saberを体験してもらい人を集める、といった展示や見せ方をしてた。

TOWER TAGに関しては大音量で実況しながら、観客席も100席ぐらい用意して、特設ステージで大会を開催、みたいな大規模なこともやってたね。実際に集客に活用されていたのは欧米発のコンテンツだった。

水原:

韓国や中国のゲーム企業は、欧米や日本発のコンテンツの良いところを取り込んでいくのがどんどん上手くなっていますよね。今はまさに海外コンテンツの良い点を吸収している最中でしょうし、近い将来、中国や韓国のVRエンタメにもさらに鋭いものが現れるんじゃないかと思ってます。

すんくぼ:

中国のVRゲームは欧米のVRゲームスタジオ作品の焼き直しのように見えるものも結構多いんだよね。某ボクシング系のVRゲームや、日本で見たことがあるロケーションベースのVRコンテンツに似ているやつも多い。

すんくぼ:

ただ、現状中国はグローバルなコンテンツやエンタープライズ系のものをあまり国内には入れたがらないから、「中国国内の需要を満たせればとりあえずOK」という考え方なのかもしれないね。他の国からするとレベルが低く見えたり、少し古めのコンテンツでも、中国の人にとっては最新だったりすごく良い、という可能性もあるし。VRゲームのクオリティが低いと断じたり、一概に国際比較するのは難しい。最終的にどういう方向に行くのかは興味あるね。

水原:

欧米の焼き直し的なコンテンツであっても、中国国内から元のコンテンツにアクセスできないならば、存在しないのと同じですからね。外交や国際関係のスタイルが産業にかなりダイレクトに反映されているような印象です。ある種グローバル競争を拒否していて、自分たちで作っちまおうぜという。

すんくぼ:

Huaweiが中国国内で実力をつけたように、VR/ARでも同様に国内から攻めて力をつけていく可能性も十分ある。特に教育は中国の学校や子供たちに対してアプローチするだけでも相当な規模の産業になるわけで。まず内需として市場を取りにいっているという感想。中国国内でフィードバックループをまわしていき、他国の製品から良いところを取り入れる、といった形で、中国VR産業のノウハウ蓄積が起きるのかなと。

未来のXRを牽引なるか? 中国の動向をチェック

水原:

人口や産業の形態も含めて、将来的な中国のXRにおける牽引力はかなり高そうですね。

すんくぼ:

フェイスブックは「VRを10億人に広める」という目標を掲げているんだけど、当然アメリカ一国ではまかなえない。北米大陸の人口は6億人ないくらいだからね。で、ヨーロッパなどを含めてグローバルに達成しようとしているけれど、中国の場合は一国だけで13億人以上いるから、下手したら中国の内需だけでまかなえちゃう。

水原:

“規模の経済”感がすごいですね。欧米中心のグローバル市場から意図的に隔離された国家ゆえの特殊な状況ですが、地球の何分の1の人口が中国にいるところ、Oculusが中国に進出できないのは結構な損失に感じますね。

同時に最初から約14億人の規模がある、というのは中国企業にとっては希望がある話でもあります。XR系のデバイスやコンテンツだけ見るとやや遅れを取っている状況ですが、5〜10年後はどうなるか。

すんくぼ:

市場に投資マネーは潤沢にある状況なので、VRの担い手のモチベーションや体験のデザインといった、こだわりや気配りがどれほど浸透していくのか、かな。

水原:

欧米はOculusを中心に数年先のフェーズに向かっていますが、中国のVRヘッドセットなどのデバイス、そしてソフトウェアが今の欧米レベルまで追いついたとき、何が起きるのかはかなり気になるところ。中国は問題もすごい点も両方あって、楽しみであると同時に、怖いところもありますね。

すんくぼ:

中国はシリコンバレーとは違うエコシステムで動いているけれど、徐々により大きな存在になっていくだろうね。この南昌のイベントも、中国がどれぐらい力をつけているのかをウォッチしたり、基幹技術などを中国の企業に売り込む、といった契機になる。資本を持つ中国企業とパートナーシップを結んだり、いい技術を日本にいち早く入れるとか、隙があれば中国市場に参入するというのはあるし。XR系もアメリカ一極ではない状況が、徐々にできてくるのかもしれないね。

(了)



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