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業界動向 2020.01.24

ARショッピング導入のカギは? デロイトがレポート発行

会計事務所のデロイト・トウシュ・トーマツ(デロイト)は、小売業界におけるAR活用についてレポートを発行しました。商品ごとに異なるベストなARユースケースを、製品マトリクスや導入事例をもとに分析します。

2020年現在、ARに対応するスマートフォンやタブレット端末は世界に10億台以上存在すると言われています。また調査会社ガートナーは、2020年までにARを使って商品を購入する消費者が100万人、46%の小売業者がARまたはVRの導入を計画する、と推計しています。

2020年、ARショッピングは100万人に

小売分野では様々な商品を扱っていますが、では具体的にどのようにARを活用すべきなのでしょうか? デロイトは大前提として、消費者は「良い商品を、適切な価格で選択した」という確信を得たがっている、と指摘します。同時に、この選択にあまり手間がかからないことも重要です。AR導入にあたっても念頭に置く必要があります。

ポテンシャルはどの商品に?

下図は主な商品を、「標準化の程度(Y軸)」「カスタマイズの余地(X軸)」で分類したものです。デロイトによれば、標準的な商品を揃え、かつカスタマイズの余地が大きい商品にこそARが活用できるということ。この図では、右上に位置する自動車が該当します。

ユースケース別分類

次に、提案されうるARのユースケース別分類が下図です。分類は大きく3つ。「試着」「試し置き」そして「インタラクション」、これらに加え、全商品に共通する「(体験と商品の)結びつけ」があります。

サイト閲覧2倍、購入3倍も

ここからはいくつかの商品を例に、活用事例を見てみます。

家具

ARによる家具の試し置きは、業界のスタンダードとして浸透しつつあります。ある企業ではARアプリが10万ダウンロードを記録、1日あたり合計で平均1,000回利用されているということです。またアプリ体験から実際に購入した割合は、65~69%と高くなっています。

美容、コスメティクス

バーチャルで化粧品を試せるARメイクも、成功をおさめている事例です。例えばロレアルの場合は、サイト閲覧時間が2倍、実際の購入に結びつく割合は3倍と大幅に増加しました。

自動車

家具同様、スペースの都合からすべての商品在庫を持てない自動車業界にとっても、ARは有効なソリューションです。
例えばアウディのアプリでは、目の前にミニチュアのモデルを登場させることが可能。製品理解や、愛着を深めるといいます。

アプリかウェブか

商品ごとの活用方法の他、考慮すべきことはどのプラットフォームを用いるか、です。スマートフォン向けのARアプリであれば、デバイスがアップルのARKitやグーグルのARCoreに対応する必要があります。これに対して、アプリのインストールなく、ウェブブラウザ上でARを体験できるWebARも広がっています。

課題は“高コスト”

デロイトはAR導入に際する課題について、フォトリアルな3Dモデル作成に要するコストを挙げています。1点につき、100ドル~800ドル(約1万1,000円~8万8,000円)程度かかると試算。数が多ければ多いほど、その費用はかさみます。ただし在庫保有や紙製のカタログ廃止に伴い、コスト削減効果も生まれます。デロイトは“この費用対効果も鑑み、導入のロードマップを策定することが必要である”としています。

(参考)デロイト・トウシュ・トーマツ


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