防衛技術企業THEONは8月、「THEON NEXT Initiative」に基づく戦略的投資を発表しました。提携先はVarjo、Kopin、eMagin、ALEREONの4社で、ARやVRを中心としたデジタル防衛技術の能力強化を目指します。対象にはマイクロディスプレイや次世代兵士装備向けのワイヤレス接続も含まれます。
THEONは欧州を拠点とする防衛技術企業で、ナイトビジョンやサーマルイメージング、電気光学ISRシステムを開発しています。1997年にギリシャで事業を開始し、現在は71カ国の軍や特殊部隊で20万以上のシステムが使用されています。同社は、Kopin、eMagin、ALEREON、Varjoへの戦略的投資を実施しました。
VarjoはフィンランドのVR/MRメーカーで、産業向けデバイスを開発しています。THEONはVarjoに500万ユーロを投資し、防衛訓練やシミュレーション分野で協力します。両社の技術を組み合わせることで、没入感の高い訓練環境を提供することを目指します。
Kopinは米国のマイクロディスプレイ開発企業で、防衛や医療などに超小型高解像度ディスプレイを提供しています。F-35戦闘機のヘルメットディスプレイ開発実績もあります。THEONはKopinに1,500万米ドルを投資し、転換社債とスコットランド子会社株式49%を取得しました。この子会社は欧州でのARシステムやマイクロLEDディスプレイの生産拠点となります。さらにTHEONの米国子会社はバージニア州の施設に製造を移転し、今後5年間で800万米ドルを開発に投じます。
eMaginは2000年に設立された米国のマイクロOLED企業で、当初は米軍向けヘッドセットに製品を供給してきました。マイクロOLEDは有機ELを用いた極小ディスプレイで、小型XRヘッドセットの実現に用いられます。THEONはeMaginと2年間の供給契約を締結し、A.R.M.E.D.を含む製品ラインにOLEDディスプレイを導入します。
ALEREONは超広帯域ワイヤレス(UWB)に特化した企業で、米国政府の兵士間ワイヤレス(ISW)ソリューションを提供しています。THEONはALEREONと提携し、兵士用デバイス間で安全性が高く妨害に強い通信を実現します。生産はギリシャで行われ、欧州や中東へ流通予定です。
今回の各企業との提携は米国と欧州の防衛技術連携を一層強化するものです。ARやVR、マイクロディスプレイ、ワイヤレス通信技術が兵士装備の発展に貢献すると見込まれています。本発表に際し、THEONのCEOであるクリスチャン・ハジミナス氏は「米国と欧州が次世代兵士搭載システムを開発するため、両者を近づけられることを誇りに思う」と述べました。
米国では、Oculus創業者パルマー・ラッキー氏が率いる防衛技術企業Anduril IndustriesがMetaと提携し、米陸軍の複合現実統合視覚増強システム(Integrated Visual Augmentation System: IVAS)プロジェクトの開発を主導しています。
IVASはマイクロソフトのMRデバイス「HoloLens 2」をベースとした軍事用システムです。HoloLens 2の販売終了を機に、2025年2月にAndurilがマイクロソフトから主導権を引き継ぎました。Andurilは現在、IVASに関わるハードウェア開発や製造を主力製品のソフトウェア「Lattice」に統合する計画を推進しています。Latticeは、さまざまなセンサー情報を統合し、戦場全体の状況を把握するためのAI搭載システム。Latticeと連携したIVASヘッドセットの実地テストはすでに進行中で、運用効率やコスト面での改善が図られています。
(参考)Auganix
