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活用事例 2024.11.27

キヤノンの本気、「EOS VR SYSTEM」が実現する高品質な実写VRで宇宙旅行を体験気分

11月13日~15日まで、千葉・幕張メッセでメディア総合イベント「Inter BEE 2024」が開催されました。同イベントは主に放送業界や映像通信技術、プロオーディオ、プロライティングを軸とした企業の総合展示・商談イベントであり、いち早く次世代の映像・音声制作を支える技術や機材を見て、体験できました。

そんなInter BEE 2024では、180度のステレオ撮影が可能なレンズとフルサイズセンサーを搭載したデジタルシネマカメラを成層圏まで飛ばして全天球映像を撮影、制作した宇宙旅行の疑似体験コンテンツ「SPACE JOURNEY TO THE EARTH」の展示が行われるというので行ってみました。

EOS VR SYSTEMでVR動画の制作環境を提供するキヤノン

「SPACE JOURNEY TO THE EARTH」が展示されていたのは、カメラメーカーのキヤノンブース。同プロジェクトはキヤノンとIMAGICA GROUPによる共同実証実験で、カメラ+レンズを専用のリグに固定し、スペースバルーンで成層圏まで飛ばしたそうです。

冬のモンゴルの朝は最低気温-40度、そして成層圏では-50度という極寒環境となるため、カメラシステム完成後に超低温環境テストを実施するなど、万全の状態となるように事前準備をしたというのも注目のポイントといえましょう。

軽量システム実現のために選択したEOS R5 C+RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE

こちらが撮影のために開発されたリグ。デジタルシネマカメラ EOS R5 Cと半球状の立体視映像が撮れるRF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEレンズを3セットを固定し、全天球の映像を記録しながら空へと放たれました。

「SPACE JOURNEY TO THE EARTH」を平面ディスプレイではなくVRゴーグルで見ると、私達が住む地球の美しさが強烈なインパクトを持ちながら実感できます。モンゴルの大地から朝日を浴びて空へ飛び立ち、地平線とモンゴル縦貫鉄道を下に見るというとびっきりの視界から、雲を突き抜け25,000mの成層圏に達して丸みを感じる地球を眼下に見ることができるリアル映像は、このシステムでしか撮影できないものだと強く実感します。

とはいえ、人間の眼も同じですが、地平線を一望するような遠景だと立体視とはなりにくいという現実があります。そして同様の全天球コンテンツは今までにも、GoProや、VR用ではないレンズを使ったカメラシステムで撮影されてきました。

なぜEOS R5 C+RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEを用いたシステムとしたのか。キヤノンイメージング事業本部IMG第一事業部の平野孝之さんと、IMAGICA GROUP事業開発部事業推進グループ 谷本憲佑さんにお話をきくと、広いダイナミックレンジを持つフルサイズセンサーに、過酷な環境でも安定動作するEOS R5 Cのボディの価値に加えて、軽量化の面で極めて効果的だったそうです。

従来の全天球映像カメラシステムはより多くのカメラボディとレンズを用いる必要がありましたが、「SPACE JOURNEY TO THE EARTH」で開発したシステムであれば3セットで全天球をカバーできる。そのメリットが大きかったとのことでした。

地上での撮影においても作れるコンテンツの幅を広げるVRレンズ

他にも3D・VR映像活用事例となる、作品の体験コーナーが用意されていたキヤノンブースをチェックしました。

「SPACE JOURNEY TO THE EARTH」で使われたカメラシステムと同様に、EOS R5 C+RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYEで撮影したのがHYDEやGLAYのライブ映像です。

株式会社VR MODEが企画制作した「HYDE LIVE 2023/2024」では、キヤノンのVRレンズ「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」と、8Kシネマカメラである「EOS R5 C」を組み合わせて撮影。最大100人が同時視聴可能な一斉配信システムを採用し、多くの観客に届ける映像をシンクロさせて一体感を盛り上げることに成功したそうです。同じくVR MODEが手がけた「GLAY EXPO 2024-2025」のVR映像は企画展である「GLAY 30th Anniversary Museum」で上映したところ、好評を得たそうです。

個人的に強い可能性を感じたのが、グリーンバックを用いた演者のVR180撮影システムです。株式会社コンセントは、このシステムを使って実写の被写体をリアルタイムにバーチャル空間の背景と合成する映像制作を手がけました。演者の動きだけを取り出すことができるため、ゲームエンジンなどで制作したバーチャル空間と合わせ、カメラを空間内で移動させる映像作品制作も可能です。

またミス・ユニバース日本代表のトレーニングとして、VR180で撮った自分のウォーキング映像をXRヘッドセットで確認できる取り組みも展示していました。株式会社ニューラルポートがキヤノンの機材を採用し実施された本取り組み。従来は3D CGを用いた空間でのトレーニングが中心だったそうですが、立体視ができる実写VR180映像を用いることで、空気感を思い出せるという効果も感じられたそうです。

現在キヤノンは3つのVRレンズをリリースしています。手頃な価格でチャレンジできるAPS-C用のレンズもあるので、VR映像、立体視映像に興味がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


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