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ARはどこへ行くのか――世界最大級の業界イベントから見る、ARの現在と未来(後編)

ARをテーマとした世界最大規模のカンファレンス、AWE(Augmented World Expo)。本記事ではAWE2019の注目トピックやARデバイス・ARグラスの現況、各企業の取り組みや業界動向について、Mogura VR News / MoguLive編集長の久保田瞬(すんくぼ)と、編集部の水原由紀がレポートします。

前編の記事は、以下のリンクより読むことができます。
ARはどこへ行くのか――世界最大級の業界イベントから見る、ARの現在と未来(前編)

ARはどこへ行くのか――世界最大級の業界イベントから見る、ARの現在と未来(前編)

ARはどこへ行くのか――世界最大級の業界イベントから見る、ARの現在と未来(前編)

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目次

1. AR/MRは、着実に身近なものへと変わりつつある
2. ARはエンタープライズから
3. Varjo社のMRデバイス「XR-1」の衝撃
4. 新旧AR企業の居並ぶAWE
5. ARアプリやマーカーを使うユニークな提案も

AR/MRは、着実に身近なものへと変わりつつある

水原:

AR/MRのコンテンツという意味ではマイクロソフトの「Minecraft Earth」、それから「ポケモンGO」のナイアンティックが「ハリーポッター:魔法同盟」、いわゆる“ハリポタGO”をリリースするなど、様々なコンテンツがより現実に近いところにやってきた感がありますね。

すんくぼ:

以前よりだいぶ形になってきてるよね。アップルのARKitも、毎年6月のWWDCでの発表のたびに壇上でデモをしているんだけど、去年はレゴで今年はマイクラ。例えば近い将来「このARデバイスを買うと何ができて、どのようにうれしいのか?」と聞かれた時に、その答えとなるARアプリ、ソフトがきちんと作られつつある。


(アップルが壇上で行ったデモ。2019年はARで遊べるマインクラフトだった)

すんくぼ:

今回デモで使われていたのは確かiPadだったけれど、端末が重たいタブレットから、身軽な・ウェアラブルなARグラスになった瞬間に、流れが大きく変わる。来年なのか再来年になるのかわからないけど、期待値が上がるのは自然なことだと思うよ。

水原:

そういえば気になってたんですけど、あんまりARグラスの人気が高まると「ARグラス強盗」って起きたりするんじゃないですか? エアマックス狩り(※)みたいな。

(※エアマックス狩り……1990年代半ばに発生した、ナイキ製のスニーカーである「エアマックス」を履いている人を複数人で襲撃・暴行、エアマックスを強奪する行為。社会問題になっていた)

すんくぼ:

いや、たぶん大丈夫だと思う(笑) 例えばHoloLensやMagic Leap Oneには虹彩認証が搭載予定だから、本人でなければ物理的に使えなくなるんだよね。最近シリコンバレー中心に盛り上がりを見せているプライバシー・セキュリティの観点からも、アイトラッキングは必須になりそう。例えば妻が夫の寝ている間にARグラスを覗き見て1日分のカメラからの映像を確認……とかまずいでしょ(笑)

水原:

なるほどなるほど(笑)

すんくぼ:

で、そのHoloLensはAWEではあまり見られなかったんだけど……HoloLensは「すでに第二世代」というのが面白い点だね。初代HoloLensからHoloLens 2への変化が劇的で、「3年でこんなにも変わるのだな」と驚かされた。


(マイクロソフトの「HoloLens 2」。2019年2月24日に開催されたMWCにて撮影)

水原:

他のデバイスでも同じようなことが起きるはずですよね。

すんくぼ:

そうだね。「今後発売されるデバイスが、どれだけ改良されるのか」という点も今後の注目ポイントだと思う。

ARはエンタープライズから

水原:

AWEの展示はBtoBのソリューションがメインということでしたが、行われた講演の内容はどうでしたか?

すんくぼ:

AWEで行われた講演も、サービスやBtoB利用についてのソリューション紹介などが多かったね。テクニカルな講演もあるけれど、ノウハウを披露するというより、自社の取り組みを発表する事例紹介とか。展示もほとんどがBtoBソリューション型だね。AWE全体の基調講演でも「最終的にはゲームの存在感は大きくなるけど、足元を見るとVRはBtoB、ARもエンタープライズから」という声が多かった。

水原:

個人用の端末としてユーザーが利用する段階になるまでは、まだ技術革新やデバイスの小型化、認知度の上昇など、多少時間がかかりそうですね。

すんくぼ:

やはり最初はBtoBなりエンタープライズ利用なりから始まるんだろうね。AWEの展示フロアで、ARのツールを使ったリモートアシストを提供する企業に話を聞いてみると、特定のデバイスではなく全デバイスに対応して作っている、と答えてきたのは面白かった。

水原:

どこかのデバイス専用ではなく、全機種に?

すんくぼ:

そう。デバイスにより使える機能が多少変わりはするけれど、「デバイス自体は何でもよく、プラットフォームとして開いている」のが、海外のBtoB用のビジネス向けツールを作っている会社の傾向として強かったね。ScopeAR等の海外でBtoB向けにARのソリューションツールを作るスタートアップが同じように展開していた。

水原:

どれがメジャーなデバイスになるかまだ分からない時期だから、というのも強そうですね。

すんくぼ:

あと、AWE2019はフェイスブック(Oculus)のVRヘッドセット「Oculus Quest」の発売直後だったんだけど、これを使ったデモはほぼなかった。今後Oculus Questがどう影響するのかにも注目したい。

Varjo社のMRデバイス「XR-1」の衝撃

水原:

翻って、VRはどうでしたか?

すんくぼ:

講演だと、AWEはどうしてもARのイベントという印象が強く、VRの話はほとんどない。デバイスとしてもHTC VIVEやVIVE Proを使用したブースが多少ある程度。当然ながらVRゲームの講演もなかった。ただ、AWE全体でもひときわ盛り上がっていたVR企業のブースがあって……それがフィンランドのVarjo

水原:

人の目と同等レベルの超高解像度VRデバイス「VR-1」を作っている会社ですね。

すんくぼ:

で、以前Varjo社CEOのニコ・エイデン氏が「パススルーカメラの映像と組み合わせて、あたかも現実をそのまま見ているかのような超高解像度映像の上に、バーチャルなオブジェクトや情報を組み合わせたい」と語っていたんだけど、それが今回「XR-1」というデバイスになって実現した。


(Varjo社の「VR-1」をベースにしたヘッドセット「XR-1」。前についているカメラで現実の風景をそのままVRヘッドセットに映し、その上に情報を重ねる)

すんくぼ:

2月にMWCで「VR-1」が発表されて、今回AWEで公開されたのは、MRデバイス「XR-1」。デバイスの表面に2つのカメラがついていて、Oculus QuestやOculus Rift Sのパススルーと同じような、ビデオシースルー機能がついている。カメラ越しの映像の上に超高解像度のCGを出現させ、現実とほぼ同じに見える状態を作り出す仕組みだね。

水原:

以前ニコ・エイデン氏が語ったことをそのまま実現していると。

すんくぼ:

AWEで実際に「XR-1」を体験したんだけど、VR体験中に「現実とVRが切り替わった」ことにめちゃくちゃびっくりした。

水原:

“現実とVRが切り替わった”?

すんくぼ:

デモで行われたのは、「まず目の前に360度で撮影された街の景色と、超高解像度の車のVR映像がある。スタッフによる合図と同時に街の景色が空から真っ二つに割れて、いま自分がいるAWEの会場が見える」というやつ。

水原:

超高解像度、かつ現実の風景をそのままVRデバイスの中に映せるからこそ可能な芸当ですね……。

すんくぼ:

自分はまるで街からAWEの会場にテレポートして、そのまま動画の続きを見続けているかのような感覚になるわけ。自分の手や体は動かせるし、目の前の人も見える。途中からVR映像ではなく、すべて現実になるんだよね。

しかも、車の立体モデルを出現させるデモは、高解像度の現実と超高解像度のVRが同時にある状態。車の中を覗き込むと、メーターや数字までしっかりと見える。ものすごく印象に残った。オマケに他のパススルーと違ってフルカラーだし……。

VRとARが切り替わる衝撃、Varjo「XR-1」体験レポート

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水原:

HoloLensは「そのまま目で見る」、XR-1は「カメラを通して見る」仕組み。

すんくぼ:

HoloLensは半透明のグラスを通して、目で見ている現実にCGの情報を重ねる。VarjoのXR-1は、カメラを通して現実の情報を映像としてヘッドセットの中に映し、さらにCGを加えるので、方向性が違うね。

(左画像:透過型のMRデバイスによる表示の一例。車の3Dモデルは半透明で、また視野角が限られる。右画像のXR-1での表示例では全体がくっきりと見えている)

水原:

現在、「VR-1」の価格は約6,000ドルです。日本での価格は不明ですが、「XR-1」は高性能のカメラ等が使用されているため、さらに高価格になると思われます。ただ、「XR-1」が非常に興味深いことができるデバイスであることは間違いなさそうです。

すんくぼ:

エンタープライズ向け、かつ性能という意味に限定するとほぼ最強だと思う。もし「XR-1」と同じことができて50,000円くらいのデバイスが誕生したりしたら、もう世界のすべてが変わるよね(笑)

水原:

現実とVRの違いがわからなくなりそう(笑) 頭にヘッドセットがあるかないか、重量で区別できなくなると本当に何も分からないですね。

すんくぼ:

今はまだVRと現実空間の違いが分かるけど、この境界線がなくなる、あるいは極めて分かりづらくなるデバイスが生まれると、良い意味でも悪い意味でも世の中が変わる。その第一歩を「XR-1」で見た気がするね。日本でも発売する予定があるようなので、続報に期待しましょう。エンタープライズ向けに関心のある方は注目。

水原:

余談ですが、「Varjo」って読み方は「ワルヨ」と「ヴァルヨ」どっちなんですか? フィンランド語だと「ワルヨ」っぽいですけど。

すんくぼ:

読み方何種類かあって明確な答えはないんだけど、水原くんが言ってくれたみたいに「ワルヨ」か「ヴァルヨ」と読みますね。「jo」は明確に「ジョ」ではなく「ヨ」と読むみたい。

水原:

VRと現実の区別と同じくらいワルヨとヴァルヨの区別がつかない。

すんくぼ:

そういうのはいいから(笑)

(参考記事:圧倒的な超高解像度VR、ライバルは“意外な巨人”? Varjo体験レポ&CEOインタビュー

新旧AR企業の居並ぶAWE

すんくぼ:

余談ついでだけど、AWEに出展した日本企業は少なかった。日本企業で展示していたのは、メルカリとスタートアップエリアに出展していたFOVEぐらい。東芝のブースはあったけど、日本法人のものではなかった。対比するみたいになってしまうんだけど、イギリスは、イギリス国内の会社を6社ほど集めた「イギリスパビリオン」を出していた。

水原:

日本はAR分野ではまだまだ、ということでしょうか?

すんくぼ:そもそも国内ではAWEの認知度が低いという点と、VRやARに関連する日本の会社が海外で展示する事例が少ないからだと思う。今後は国内企業の海外出展の増加に期待したい。

水原:

そういえば、2017年から2018年の頭あたりにかけて投資が続いていたARクラウド(※)は、AWEではどうでしたか?

(※ARクラウド……現実世界のデジタルなコピーと、それに紐づいたデータをクラウド上で保持・提供する技術。「誰かが見ている、場所・空間に紐づいたバーチャルな情報を、他の人も見れる」という状態を作るのに必要。詳細な説明はこちらの記事にて)

すんくぼ:

AWEにはARの基礎技術を持つ企業もブースを出していて、ARクラウドもそのひとつだった。セッションを開催し、きちんとブースを構えていて。ARクラウド企業がアップデートされている、というのは様々な場面で感じたね。


(ロンドンでARクラウド技術を開発していたBlue Vision Labsによる、ARクラウドのイメージ図。同社は2018年10月、アメリカでカーシェアリングを手がけるLyftに買収された)

水原:

ソフトの方自体は投資を受けた結果、着々とアップデートが進んでいる状態なのでしょうね。

すんくぼ:

VR/ARでアバターを使用する上で、顔のキャプチャー、モーションキャプチャーなどを取り扱うスタートアップ企業もかなり出展していた。あと、講演や展示を通じて自社の思いや考えを披露していたのも、業界イベントならでは。ARクラウドの6D.aiや、Ubiquity6、Space、ARプラットフォームの8th Wallといった企業と直接つながりが持てると言う意味でも面白いイベントだったね。

ARアプリやマーカーを使うユニークな提案も

すんくぼ:

そういえば、スタートアップエリアにはジャックダニエルのARアプリの仕組みを作った、サンフランシスコのスタートアップTactic社がブースを出してた。日用品にスマホをかざし、ARでブランドストーリーを語る提案をするっていう。

https://www.youtube.com/watch?v=fTgawFAEN0U

水原:

AR専用のアプリを瓶にかざすと、瓶のラベルを画像認識して、飛び出す絵本風のARが始まるってやつですね。スマホを使ったPRなど、ブランドでユニークな提案をする企業も時々見かけます。

まるで飛び出す絵本のよう。ジャックダニエルの「ARでウィスキーの歴史を知るアプリ」

まるで飛び出す絵本のよう。ジャックダニエルの「ARでウィスキーの歴史を知るアプリ」

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すんくぼ:

他にもブラウザベースでARができるWebARを展開する8th Wallは、AWE会場内にQRコードを設置して、スマホをかざすとブラウザでARゲームが始まる取り組みをやってたね。場所によって違うミニゲームになっていて、全部クリアすると、最後何かもらえるキャンペーン形式です。専用のハードウェアを使わない、スマホをかざすだけのARも、面白い工夫を凝らしたものがたくさん出てきている

あと、AWEの会場で模様入りのバッグが配られたんだけど、これが全部AWEイベント公式アプリと連動していて。アプリを起動してバッグにかざすと、バッグの持ち主のアバターが出てくる……つまり名刺交換代わり。持ち歩くバッグにマーカーを仕込んでおき、スマホでかざして友達登録するという仕組みもあった。


(「Looks」のバッグ。AWEの公式アプリからカメラを起動し、バッグの模様を読み取れば連絡先交換ができる)

取組の中には内容としてはイマイチのものがあったのも事実だけど、実際にトライアルしている現場に触れられるのは面白かったかな。

水原:

イベントでそのような取り組みをやるのはおもしろいですね。非日常感もあるし。スマホARはいろいろあって使い古された印象もありますが、素敵な活用法が模索されているのは嬉しいです。

すんくぼ:

最近話題になった、Snapchatの顔の性別を替えるARフィルターなんかもそうかもね。「昔から可能だったのでは?」と思うようなことでも、ARだと面白く感じられるというのはありそう。スマホの認識精度や速度が改良され、リッチな表現ができるようになったこともあるし。スマホやタブレットを使ったシンプルなARやWebARも、まだまだ戦える印象を持った。

Snapchatがリリースした、性別を変えるARフィルター。「ゲームオブスローンズ」の登場人物を変換)

水原:

昔ながらのやり方でも、おもしろい活用方法を発見している人は多いと。

すんくぼ:

そうだね。そういう観点から見ると、今回のAWEは技術の新旧や手法含めて、「ARを語る上で必要な/重要なプレイヤーが出揃い、各企業の展開や業界の流れを知るのに適した展示会だった」と言えると思う。他の超大手イベントと比べると、国内の認知度はまだまだ低いけど、XR(特にAR)だけを見たい&コネクションを直接作りたい場合には要チェックかも。……ちょっと強引か(笑)

(終)



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