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AR/スマートグラス 2026.07.17

AIグラスとは? 基本的な機能や性能、ARグラスとの違い、関連企業の動向まで紹介【2026年7月版】

AI搭載のメガネ型デバイス「Ray-Ban Meta」の発売や、Android XR搭載の「XREAL Aura」の発表以降、AIグラスに注目が集まっています。本記事では、AIグラスの基本的な特徴から、活用シーン、今後の各社のデバイス展開予想まで、初心者にも分かりやすく解説します。

AIグラスとは? 意味と基本的な特徴


AIグラスとは、カメラやマイク、スピーカーを内蔵したメガネ型のウェアラブル端末です。ARグラス(拡張現実グラス)と同様に広義の「スマートグラス」の一ジャンルに位置づけられています(※今記事では「AI搭載の有無」によってグラスのカテゴリを区分しています)。

音声による操作や画像認識など、AIを活用した機能が特徴で、手を使わずに口頭での説明だけで撮影や通話、情報検索が行えます。スマートフォンをわざわざ取り出すことなく、より直感的に情報へアクセスしたり、日常の瞬間を記録したりできる点が魅力です。

一点、押さえておきたいのは「AIグラス」とは言っても、グラス本体の内部にAIが直接搭載されているタイプのものは、現時点ではまだほとんどないということです。多くの製品は、スマートフォンのアプリと連動させて使用することを前提としており、グラスが取得した音声や映像をスマホ経由でAIに処理させる仕組みになっています。

そのため、各デバイスで「何ができるか」は、公式に連動しているAIの性能によっても大きく変わってきます。たとえば「Ray-Ban Meta」はMetaの「Meta AI」、XREALの「XREAL AURA」はGoogleの「Gemini」といった具合に、搭載(連動)するAIはメーカーごとに異なります。応答の精度や日本語対応の度合い、使える機能の幅は、このAI側の仕様やアップデートに左右される部分が大きいと言えます。AIグラスを選ぶ際には、ハードウェアのスペックだけでなく、「どのAIと組み合わせて使うデバイスなのか」という視点も重要になります。

現状のARグラスとの違い


(画像はXREAL社のARグラス「XREAL ONE」)

AIグラスとARグラスは、どちらもメガネ型のスマートデバイスですが、現時点で発売されているデバイスの範囲では、その機能と目的には明確な違いがあります。

現状のARグラスは、視界にデジタル情報を重ねて表示するディスプレイ機能が特徴で、現実空間に情報を付加することで新たな視覚体験を提供します。たとえば、壁にバーチャルなディスプレイを自由に配置したり、道案内を現実の道路上に示したりが可能です。具体例としては、XREAL社の「XREAL ONE」やNTTコノキューの「MIRZA」などがあります。

一方、現状のAIグラスは、映像や音声をAIが処理し、ユーザーを音声ナビで支援する目的のものがメインとなっています。近年では、ディスプレイを搭載したAIグラスも登場していますが、視界の一部に文字情報を映すものが多く、空間への映像の投影とAI搭載の両機能を持つデバイスは主流ではありません。

なお、Meta社が開発中の新型グラス「Orion」のように、今後ARとAIをどちらも搭載し、両機能を組み合わせたコンテンツを体験できるデバイスも今後登場する可能性があります。その際にはこの章で紹介したようなカテゴリの区分は消滅していき、シンプルな機能の有無で紹介されるものになっていく可能性があります。


(Metaの試作機「Orion」搭載のAIが食事のレシピを提案する映像)

特徴 AIグラス ARグラス
主目的 AIによるハンズフリー操作、情報記録・認識、コミュニケーション支援 現実空間へのデジタル情報の投影、視覚的な情報拡張
表示機能 限定的、またはディスプレイ非搭載 現実の視界に情報を重ねて表示するシースルーディスプレイ
情報提示 音声、または小型ディスプレイ(搭載機種の場合) 視界全体、または特定領域に情報を投影
空間認識 限定的、または非搭載 現実空間を認識し、情報を適切な位置やサイズで表示する(高度な製品の場合)
主な用途 写真・動画撮影、通話、音声アシスタントによる情報取得、翻訳など ナビゲーション、作業支援、エンターテイメント、教育など
代表製品例 Ray-Ban Meta 、Even G2、
Rokid スマートAIグラス、SABERA スマート眼鏡、VIVE Eagleなど
XREAL ONE、MiRZAなど

AIグラスの代表「Ray-Ban Meta」

現在、AIグラスとして「Even G2」、「Solos AirGo Vision」などが発表されていますが、なかでもAIグラスの代表的な製品として注目されているのが、Meta社とEssilorLuxottica社が共同開発した「Ray-Ban Meta」です。

メガネやサングラスのブランドとして有名なRay-Banのデザインに加え、12MPの超広角カメラやマイク、スピーカーを搭載しています。オープンイヤースピーカーにより周囲の音を聞きながら音楽や通話が楽しめ、「Hey Meta」と呼びかけることでAIアシスタント(Meta AI)を起動できます。音声での写真撮影や通話、メッセージ送信、音楽再生も可能です。

2026年5月21日、ついに日本での正規販売が開始。日本で展開されるのは、日常使いを想定した「Ray-Ban Meta」シリーズと、スポーツ・アウトドア向けの「Oakley Meta」シリーズの2ブランドです。

販売店舗は、レイバンおよびオークリーの直営店・公式オンラインストア、全国の正規取扱店、Meta.comなど。参考価格(税込)は、Ray-Ban Meta(Gen 2)が73,700円~、Ray-Ban Meta Optics(Gen 2)が82,500円(度付きレンズ別売り)、Oakley Meta HSTNが77,220円~、Oakley Meta Vanguardが96,580円~となっています。

日本で発売された現行モデルの「Gen 2」では、最大3K解像度での動画撮影に対応し、バッテリー持続時間も従来モデルの約2倍(最大8時間程度)に強化されています。スポーツ向けのOakley Metaシリーズは、12MPの超広角カメラで最大3K動画に対応するほか、IPX4クラスの耐水性を備え、アウトドアやスポーツシーンでの使用も想定した設計です。

ソフトウェア面では、Meta AIの日本語対応が進んでおり、写真ベースの翻訳や音声でのやりとりを日本語で行えるようになっています。日本発売にあわせて連絡アプリ「LINE」との連携強化も予告されたほか、会話をその場で訳す「ライブ翻訳」機能が20以上の言語に対応することも発表されています。

なお、レンズ内に情報を表示できるディスプレイ搭載モデル「Meta Ray-Ban Display」は、今回の日本展開には含まれていません。

AIグラスの使い方と活用シーン


(画像はRay-Ban Metaで撮影した写真)

AIグラスは、日常生活のさまざまな場面でハンズフリーの操作を可能にします。たとえば、自転車での移動中にナビゲーションを確認したり、散歩中に気になった風景を瞬時に撮影したりできます。また、料理中にレシピを確認しながら両手で調理したり、調理工程を撮影して記録する際にも便利です。

旅行シーンでは、見知らぬ土地でのナビゲーション支援や、翻訳機能によるコミュニケーションが役立ちます。ビジネス用途では、会議時のメモの活用、出張や営業先での情報取得を効率化するツールとしての活用が期待されています。

育児・子育て層で話題に

日本での発売後、特に注目を集めている使い方の一つが、育児・子育て中の親世代による活用です。その理由は、なんといってもカメラのハンズフリー性にあります。

子どもを抱きかかえているとき、ベビーカーを押しているとき、手を繋いでいるときなどなど。子どもと過ごしていると、とにかく両手がふさがることが多いもの。スマートフォンを取り出してカメラを起動しているうちに、子どものシャッターチャンスは過ぎ去ってしまいがちです。その点、Ray-Ban Metaは音声認識で手放しのまま撮影の開始・終了ができるため、子どもがこちらを向いた瞬間を逃さず記録しやすいという利点があります。カメラはレンズの左上に搭載されており、撮影される映像はほぼ一人称視点。自分の目線に限りなく近い画を思い出として残せます。

耳を覆わないオープンイヤー型スピーカーも育児シーンと好相性です。周囲の音や子どもの声を聞き取れる状態を保ったまま、通話やAIへの音声指示が行えます。バッテリーが従来モデルの約2倍に強化されたことで、外出の多い育児シーンでも一日十分に使える点も好評です。

一方で、使用にあたっての注意点もあります。動画を高画質で残すには初期設定で3Kへの変更が推奨される点、カメラが上部にあるため前髪や帽子の鍔が映り込みやすい点、水滴が付くと側面のタッチパッドが誤作動しやすい点などです。また、「ヘルメット」と発音すると起動ワードの「Hey Meta」に反応してしまう、といった思わぬ誤作動もあります。

AIグラスを使う上での現状の課題

AIグラスには、いくつかの問題・懸念点もあります。とりわけ大きいのが、カメラ搭載デバイスならではのプライバシーの問題です。

Metaは2026年、カメラ搭載スマートグラス「Ray-Ban Meta」のプライバシー問題をめぐり、米国で集団訴訟に直面しています。発端となったのは、スウェーデンの新聞による調査報道でした。ケニアに拠点を置く委託業者が、スマートグラスから収集した映像を手動で審査・ラベリングしていた実態が報じられ、その審査対象にはトイレや着替え、私的な場面といった映像が含まれていたとされます。

この報道を受け、米国では原告2名が連邦裁判所に訴訟を提起。原告側は、Metaおよびその製造パートナーが「あなたのプライバシーのために設計されています」といった文言で製品を宣伝しながら、実態はそれに反していたとして、虚偽広告と消費者保護法違反にあたると主張しています。ユーザーはこのデータ審査からオプトアウトできないとされる点も問題視されています。訴訟は2026年6月に公判整理期日が設定されるなど、本格化しています。

Metaの広報担当者は、ユーザーがメディアを共有することを選択しない限りデータはデバイス上に留まること、Meta AIとコンテンツを共有した場合に体験向上を目的として委託業者がデータを審査することがあり、識別情報の審査を防ぐ対策を講じていること、などをコメントしています。また、英国の規制機関「情報コミッショナー事務局(ICO)」も、この問題について調査を開始したことが報じられています。

こうした状況を受け、対策も進みつつあります。Metaは2026年7月、スマートグラス向けアップデート「v26」の配信を開始。録画中を周囲に知らせるキャプチャLEDが物理的に破壊・改ざんされた場合、カメラ機能が自動的に無効化される仕組みを導入しました。一方、アメリカではニューヨーク州やフィラデルフィアの裁判所が、処方レンズ入りを含むあらゆる種類のスマートグラスの持ち込みを禁止する動きも出ています。

このほか、AIによる音声記録や画像解析といった機能は、国によって個人情報保護法などの法規制に関連・抵触する可能性があります。今後の法規制や条例成立などにより、一部機能に制限がかかる可能性もあるため、利用にあたっては各国の法律やガイドラインを確認することが必要です。

AIグラスをめぐる企業の動向と今後

すでに「Ray-Ban Meta」の世界展開を成功させ、日本市場にも本格参入したMeta社は、消費者向け以外の領域でもAIグラスの活用を積極的に模索しています。

その一例が、産業分野での活用です。CES 2026では、デジタルツイン分野で世界を牽引するドイツのシーメンスが、産業用AIの活用について提携パートナーとともに具体例を紹介しました。飲料大手ペプシコの事例では、現場支援としてMetaとの協力によるウェアラブル端末の活用が披露されています。Ray-Ban Metaグラスに産業用AIを搭載し、作業員がグラスからの音声指導をハンズフリーで受けながら、故障を未然に防ぐための操作手順をAIがリアルタイムで伝える、といった使い方が想定されています。

また、Metaは2026年1月、AIグラスを活用する組織を支援する助成プログラム「AI Glasses Impact Grants」を開始しました(記事執筆時点では米国国内限定)。ここでは、農業分野でハンズフリー機能を使った作物の健康診断、スポーツ医学分野で負傷に関するメモのリアルタイム作成、教育現場での映像記録やロケハンの迅速化など、幅広い分野での活用事例が紹介されています。全体で30以上の組織・開発者に総額約200万ドルの支援を行う予定で、Metaが多様な業界へAIグラスの裾野を広げようとしている姿勢がうかがえます。

広がるAIグラス市場——増え続けるプレイヤー

AIグラスというカテゴリ自体が、2026年に入って急速に拡大しています。Metaの一強という状況から、国内外のさまざまなメーカーが個性的な製品を投入する市場へと変わりつつあります。主なプレイヤーを見てみましょう。

Rokid スマートAIグラス

中国のRokidが手がけるオールインワン型のAIウェアラブル。カメラ・マイク・スピーカー・ディスプレイをメガネ型の筐体に内蔵し、翻訳やARナビゲーションに対応します。クラウドファンディング「Makuake」では応援購入総額6億円超・サポーター数7,000人超を集め、Makuake歴代の応援購入金額1位を記録。2026年7月から日本で一般販売が始まりました。スマートグラス向けAIネイティブOS「YodaOS」やエージェントストア構想も打ち出しています。

SABERA スマート眼鏡

株式会社jig.jpが、福井県鯖江市の老舗眼鏡メーカー・ボストンクラブ、光学技術のCellidと組んで開発した、日本発のスマート眼鏡。緑色の文字情報をレンズの片目に表示するタイプで、「日常使い」をキーワードに、普通の眼鏡としての完成度を重視しています。搭載AIはGeminiと自社開発AIを切替可能。Makuakeで先行発売されました。

Even G2 / Even R1

Even Realitiesが展開する、翻訳・プロンプター機能を搭載したデザイン性の高いスマートグラス。操作用のスマートリング「Even R1」を使えば、グラスに触れずジェスチャーで操作できます。ウェーブガイドによる両眼式ディスプレイを採用し、普通のメガネに近い外観を実現。日本でも販売されています。

VIVE Eagle

HTC VIVEブランドが発表した、ファッショナブルなデザインとAI機能を融合したグラス。重量は49g未満と軽量で、12MPカメラや音声操作、リアルタイムAI翻訳に対応します。AIモデルはGoogle GeminiとOpenAI GPTを選択可能。ZEISSレンズを採用しますが、日本での発売は未定です。

XREAL AURA(2026年秋発売予定)

XREALが2026年6月のAWE USA 2026で発表した次世代デバイス。軽量なメガネ型ハードウェアと、演算処理を行う「コンピューティング・パック」で構成され、OSにはGoogleの「Android XR」を採用。GoogleのAI「Gemini」がシステムに統合されており、ユーザーが視界に捉えている現実の状況をAIが理解し、対話を通じて操作や判断をサポートします。視野角70度の独自光学系「Flat Prism」と1920×1080のOLEDディスプレイを搭載し、本体重量は95g未満。ARグラスとしての映像表示能力とAIアシスタントを本格的に両立させたデバイスであり、本記事の第2章で触れた「ARとAIの融合」を体現する存在と言えます。2026年秋に日本を含む各国での発売が予定されており、希望小売価格(ベースモデル)は1,500米ドルを超えない見込みです。日本円価格は未発表ですが、すでに公式サイトで先行予約が始まっています。

このように、日常使いに特化したもの、産業・ビジネス用途を見据えたもの、翻訳やナビに絞った軽量モデルなど、方向性はさまざまです。Metaの日本参入を契機に市場全体が活気づいており、来年以降もAIグラスの選択肢はさらに増えていくとみられます。用途や予算、プライバシーへの考え方に応じて、自分に合った一台を選べる時代が近づいていると言えるでしょう。

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