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統計・データ 2019.08.09

2018年のVR売上首位はソニー、“スマホVRの時代”は過ぎ去る?

市場調査会社のストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)は、2018年のVRヘッドセット市場に関するレポートを発表しました。レポートではVRヘッドセットの出荷台数が大幅に減った一方、収益は微減にとどまっていることや、ソニーがVRハードウェアに関する売上の30%を占めていることが記載されています。

シェア1位はソニー、ユーザーはハイエンドな体験を求める

2018年の市場全体で見るとVRハードウェアの出荷台数は落ち込んでいますが、これはGoogle Daydream、Gear VR、ダンボール製のCardboardといった、スマートフォンを使うタイプの比較的安価なデバイスに限られています。スマホを使うVRデバイスが勢いを失う中、コンソールゲーム機やPC接続のVRヘッドセットは勢いを増しています。

VR Headset Platform Share」によれば、メーカー別の上位3社はソニー、フェイスブック(Oculus)、HTCです。それぞれ30%、25%、22%を占める形となりました。

レポートによれば、2018年のVRハードウェアの出荷台数は大きく減少し、3,100万台から1,500万台へと半減しました。一方、総売上は18億ドル(約1,900億円)。前年の19億ドルから若干の減少を見せています。これは低価格のスマートフォン向けVRヘッドセットやVRゴーグルの市場縮小によるものです。

スマホ向けデバイスの時代は終焉、より高品質なものに

Strategy AnalyticsのVAR (Virtual and Augmented Reality)エクゼクティブダイレクターであるDavid MacQueen氏は、現況について次のように説明しています。

メーカーやマーケティング企業は、予算の配分先をVRからSnapchatといったARサービスへと移しています。そのため、ニューヨーク・タイムズやマクドナルドのように顧客にCardboardを無償で配布する動きはなくなってきました。サムスンやその他のメーカーは、VRヘッドセットとスマートフォンのセット販売を大幅に縮小しています。

一方で、“ユーザーはVRを非常に楽しんでおり、より高性能なVRヘッドセットを使った、上質な体験を求めている”ということが調査の結果分かっています。(Cardboardのような)シンプルなデバイスは需要喚起には有効でしたが、その時代は終わりつつあります。これはデータにも現れており、Googleの市場シェアは2017年の21%から2018年は11%へと減少しました。

2018、2019年の真の勝ち組はコンソール・PC向けをメインとする高価格、ハイエンドのVRヘッドセットでしょう。ソニーのPlayStation VR(PSVR)は好調な売行を見せています。次世代のいわゆる“PS5”が現行のPSVRをサポートするというニュースも、その下支えです。

HTCとフェイスブックはPC向けの分野を引き続き二分しており、一般ユーザー用途からエンタープライズ市場へと拡大もしています。設計、トレーニング、教育が主なユースケースであり、この分野は2019年以降も市場の成長を牽引すると考えられます。

今後のポイントは“5G通信”?

またStrategy Analytics社のDavid Kerr氏は、今回のデータは過渡期にあるVR及びその市場にとっての、激動の1年を反映していると言います。そして、VRに関する今後のトピックスとして第5世代移動通信方式(5G)を挙げています。

複数の世界的な通信キャリアが、5G通信のポテンシャルを示す用途の1つとして、VRに注目しています。VRを5Gのマーケティングツールに用いるのはチャレンジングな試みでしょう。VRと5Gに関しては、正攻法の市場参入戦略が勝者と敗者を決めるのではないでしょうか。

Mogura VR Newsでは、VR関連の調査やレポートに関する記事も掲載しています。2019年4月までのVRやAR、VTuberに関する各種調査・レポートは以下の記事でまとめられています。

(参考)Strategy Analytics


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