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活用事例 2019.08.05

97%が再就職成功のVR面接トレーニング、圧倒的効果の秘密は「面接官は偽物」

アメリカでは、退役軍人の再就職支援にVR活用が進められています。この取り組みではバーチャル面接官を用いた「VR模擬面接」を行いますが、ある意外な点で効果を生み出しているようです。

37人中36人が再就職に成功

南カリフォルニア大学クリエイティブ・テクノロジー研究所(ICT)が開発したのは、退役軍人の再就職を支援するバーチャル面接システム。ときにぶしつけな質問もありがちな就職面接を、リアルにVR内でトレーニングするという内容です。

面接の受け手である退役軍人はVRヘッドセットを装着し、キャリアカウンセラーがそばに立ちます。カウンセラーはシステムを操作し、バーチャル面接官の質問や反応を選択。面接官の性格が一貫性を持ち、次第に圧迫的な質問へ移行する仕組み。バーチャル面接官は、6人の異なる人種、性別の人物から選べます。また、それぞれ性格の設定も可能です。

面接トレーニングには驚くような質問もあります。例えば「軍を退役したということですが、何か身体的、精神的に欠陥があるのですか?」「人を殺したことはありますか?」といったものです。しかしこれらの台本は、実際に退役軍人へ確認した内容を元に作成されており、非現実的な物ではありません。

現時点では、この圧迫面接のトレーニングはポジティブな効果を見せています。ロサンゼルスで退役軍人を支援する非営利団体U.S. Vetsは、2016年から本システムの初期バージョンを導入。バーチャル面接官とトレーニングを行った37人中、36人が再就職に成功したという結果が出ています。

相手が本物ではない、と分かるためのVR

バーチャル面接官は会話だけでなく、人間の見せる様々な行動を取ることができます。面接中に部屋を出て行く、メモをのぞきこむ、くしゃみする…。しかしそのリアルさとは裏腹に、「この面接官は本物の人間である」と思わせるようにはデザインされていない、ということです。

ICTのSkip Rizzo氏によれば、VRデバイスを使う理由の一つも「相手が本物ではない、と分かるため」だと言います。同氏の説明では、体験者の脳の高次思考を司る部分は、偽物の人間を相手に会話している、と理解しているとのこと。しかしより原始的な感情を司る部分では、面接を非常にリアルに感じているということです。結果として、強いストレス下でありながら、低リスクでの面接トレーニングが実現します。

「人とやり取りする中でのあらゆる要素を体験できます。あらゆる効果を一つのリスクもなしに、です」Rizzo氏はこのような言葉でシステムのメリットを述べています。

VRで学ぶコミュニケーション

VRを使ったリアルな対話が実現し、コミュニケーション能力向上や面接の練習に活用される事例は多々存在します。Mogura VR News / MoguLiveでは、他にも下記のようなものを紹介しています。

(参考)Los Angeles MAGIAZINE


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