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活用事例 2022.01.14 sponsored

不動産内見の最新スタイル! 東急不動産とハシラスが実現した「VRモデルルーム」

2021年現在、VR(バーチャルリアリティ)はVRゲームや360度動画などのエンタメ分野だけでなく、産業・ビジネス分野でも広く活用されています。中でも不動産業界はVR活用が進んでいる分野のひとつで、部屋の内見をリモート・VRで行う、3DCGで作られた建物の外観をVRで見る、部屋のインテリアをVRで試すなど、様々なサービスがあります。

そのような中、東急不動産株式会社と相鉄不動産株式会社、日鉄興和不動産株式会社の3社で開発中の新築分譲マンション「ブランズシティ湘南台」では、マンションギャラリー内にVRモデルルームを作り、マンション購入を検討している人にVRで見学してもらうという取り組みを行っています。


(CGで作られたモデルルームをVRで体験。複数人が同じVR空間に入れる点が他のVRサービスとは大きく異なる)

今回は東急不動産株式会社の住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部 販売部 首都圏営業企画グループの内堀繁宣氏と、VRモデルルームの制作・運用に使われているVRプレゼンツール「キネトスケイプ」を手がける株式会社ハシラスの代表取締役社長・安藤晃弘氏のお二人に、ブランズシティ湘南台で採用したVRモデルルームに関する話をうかがいました。

VRプレゼンテーションツール「キネトスケイプ」とは

「キネトスケイプ」は、ロケーションベースのエンタメVRコンテンツ制作で知られるハシラスが開発した、Oculus Quest/Quest 2用のVRプレゼンテーションツールです。同一の場にいる参加者全員がOculus Quest/Quest 2を装着して、共有VR空間の中でプレゼンやコミュニケーションを行うことができます。

今回のVRモデルルームでは、家族連れなど複数人によるマルチプレイVR体験を想定。VR見学しながらの意思疎通がしやすくなるなど、物件の検討が容易になることを見込んでいます。

今回のインタビューでは内堀氏と安藤氏のお二人に、VRモデルルームの取り組みを始めるきっかけやキネトスケイプが採用された経緯、VRモデルルームの開発や実際の運用で得られた知見などを語っていただきました。

コロナ禍から復調しつつある不動産業界

――今回のVRモデルルームについてうかがう前に、不動産業界の現状を教えてください。

内堀:

新築分譲マンションの販売に関してはコロナの状況下でも堅調に推移しています。今後は緊急事態宣言の解除や「ニューノーマル」な生活形態など様々なライフスタイルの変化があり、先が読み辛い状況ではありますが、今後も堅調に推移していくのではないかと思っています。

――新型コロナウイルスの影響で在宅勤務やテレワークが普及したことで、より広いスペースを求めて引っ越しや新居購入をする人も少なくなかったのではないでしょうか。

内堀:

テレワーク・在宅勤務の広がりもあって、面積を求める方は一定数いらっしゃると考えています。例えば、今までは都心で2LDKのお部屋に住んでいた方が、都心から少し離れても同じ価格で3LDKの間取りになるなら、ということで引っ越される方もいらっしゃるようです。また、コロナの影響で外食や旅行が制限されていることもあり、レジャーよりも住宅のほうに目が向いているのではないか、という見解も一部あります。

当初はVRモデルルームには懐疑的だった

――VRでモデルルームを作ることになったきっかけは何でしょうか。

内堀:

今回のブランズシティ湘南台のような規模の大きいマンションを販売する場合、お客様に見ていただけるモデルルームは2つ設置するケースが多いのですが、ブランズシティ湘南台では諸条件によりモデルルームの設置が1モデルとなりました。そのため、複数のモデルをお客様にご確認いただき、よりリアリティをもって物件検討をしていただこうとVRモデルルームの導入を検討している最中に、ちょうどハシラス様よりキネトスケイプを活用したVRモデルルームのご提案をいただいたのがキッカケです。


(マンションの完成イメージCG。 ※外観完成予想CG)

VRモデルルームのご提案自体は、以前より複数の企業よりご提案をいただいておりましたが、CGのクオリティに重きを置いているがゆえに稼働させるための設備が大きいものになったり、VRモデルを体験される際は同時に一人しか体験できなかったりしたため、どうやってその他の方とVRを見られている方の情報を共有するかで悩んでいました。

――今回ハシラスの「キネトスケイプ」を採用した決め手は何だったのでしょうか。

内堀:

私が最初に想定していたのは「VRヘッドセットをかぶってVR空間に入るのは一人だけ。他のお客様はVRヘッドセットからキャストされた映像を大型モニターで共有する」というスタイルを考えていました。

実のところ、ハシラスさんからご提案いただくまで「VRのヘッドセットは結局一人でしか見ることができないから、モデルルーム用途ではあまり意味がないかもしれないな」と思っていました。ところがハシラスさんが作ったデモを体験したところ、複数人が同時に同じVR空間に入ることができ、現実空間で接客するのと同じような使い方ができたんです。

また、企画立ち上げ当初は今以上にコロナ禍の先行きが読めず、現在のようにオンライン商談を続けるにしても、VRモデルルームという“武器”があれば、写真やCG図だけでご案内するよりもメリットがあるなと感じたんです。そこで社内関係者や、ブランズシティ湘南台の共同事業主である相鉄不動産様、日鉄興和不動産様にご提案して進めていくことになりました。

――他にはない「複数人で同時に体験できる」ところが決め手になったと。

内堀:

個人的にはもうひとつ、Oculus Quest 2だけで体験できる点も大きかったです。これまでの不動産向けVRコンテンツはどれもCGが高精細に描き込まれたものが多く、動かすためには高性能ワークステーションなどが必要だったんですね。

それが今回、Oculus Quest 2という(一体型の)VRヘッドセットだけで体験できます。もちろんワークステーションで動かすものほど高精細ではありませんが、VR空間内での体験と考えるとそこまで高精細でなくとも臨場感は得られるし、こちらのメッセージは伝わるだろうと。

ブランズシティ湘南台の場合、実物のモデルルームが1つはあるので、質感はそちらで見てもらえます。VRでは別の間取りや壁のパターン変更など、実物のモデルルームとは別の提案として見せられたらいいよね、という考えになりました。

例えば、新築の分譲マンションだとフローリングや建具の色をいくつかのパターンから選ぶことができるのですが、そういったカラータイプは、今まではごく小さなパネルに貼られた床材などのサンプルや扉のみをお客様に見ていただき、そこから部屋全体を想像していただく形だったんですね。扉のデザインなども、マンションギャラリーに設置して「なんとなくこんなイメージですよ」と伝えるのですが、それもあくまでもサンプルでしかないんですよ。それがVRモデルルームだと、部屋全体のデザインを一気に変えることができるので、全体イメージを実際に体験していただけます。

また、マンションには主採光側に面したところにリビングと洋室がひとつずつあるような「縦リビング」の間取りが最近主流になりつつありますが、主採光側全体をリビングにして、窓も2面ぐらいあってリビング全体が明るくなる「横リビング」という間取りもあるんですよ。

ただ、最近の流行りやモデルルーム設置数の都合もあり、実際のモデルルームは縦リビングで作るケースが多いんです。そうするとお客様もそれにイメージが引っ張られてしまうんですね。ところが別パターンとしてVRモデルルームで横リビングを見ていただくと「こっちもいいですね」となるんです。


(VRモデルルームでは「横リビング」の間取りも体験できる)

今回ハシラスさんに作っていただいたVRモデルルームでは横リビングの間取りに加えて、窓の外の眺望写真も入れていただきました。するとVR体験したお客様からも「外の眺めもいいし、横リビングもいいね」ということで、実際に横リビングの部屋を選ばれるお客様が出てきたりもしました。お客様が比較検討する際に非常に有効なツールになったかなと思います。

安藤:

「VRモデルルームなら、瞬時に切り替えて比較検討ができる」というのは、我々にとっても今回の取り組みで一番の発見でした。実物のモデルルームのほうがクオリティが高いのは間違いないですが、「一瞬で切り替えて別の間取りを見る」のは現実では無理なので、それを魔法みたいにバッと変えられるのはVRの価値だと感じましたね。

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(ブランズシティ湘南台の特長である、室内に柱型が出ない「アウトフレーム工法」も、VRなら一瞬で切り替えて説明できる)

また、今回のVRモデルルームでは実現しませんでしたが、例えば免震構造だとか、人の目には触れない場所にある要素がセールスポイントになっている物件では、そういうところをVRで可視化することもできると思います。

――ブランズシティ湘南台にVRモデルルームを導入した理由について教えてください。

内堀:

ブランズシティ湘南台はDINKS・プレファミリー・子育て世代といった、比較的若い世代を主な顧客層に想定しているのですが、そうした若い世代の方であればVRの活用にも抵抗感が薄く、かつ効果的だろうと判断したのがまずひとつ。また、VRモデルルームを作ると決まったタイミングと、販売スケジュールのタイミングがちょうど重なったのも決め手になりました。

――実際にこれまでVRモデルルームを体験したユーザーはどれくらい?

内堀:

これまで(2021年9月中旬時点)におよそ60組のお客様が体験されています。VRとはいえ、同時に体験できるのは一組だけなので、実施期間を考えるとおおよそ想定どおりかなと。ただ、実際の数字よりも「VRモデルルームがあってお客様にアピールができている」ということが一番大きいので、それだけでもうプラスになっていると言えますね。

――体験したユーザーの反応はどうでしたか。

内堀:

実は今回のVRモデルルームでお客様の評判が特に良かったのは二層吹き抜けのエントランスホールなんです。ちょうど入口に入ったところを体験できるほか、階段を上がったところからエントランス全体を見下ろせたりできるのですが、それが非常に好評でしたね。

実際、エントランスはブランズシティ湘南台の売りのひとつなんです。180戸クラスの物件でここまでエントランスを作り込む物件は少ないんですよ。それを実際にVR空間の中に入って体験できるのは、写真やCGで見るだけよりもインパクトがあったようです。あとは先ほどお話した、横リビングの間取りでのベランダからの眺望も好評ですね。


(ブランズシティ湘南台の売りのひとつであるエントランス部。 ※エントランスホールCG)


(VRモデルルームではエントランスを2つのビューポイントから体験できる)

――VRモデルルームはどこで体験できるのでしょうか。

内堀:

マンション現地の近くにあるマンションギャラリーの中に、4メートル四方くらいのスペースを作り、そこをVRコーナーとしています。

――十分なスペースがあれば、現地近くのマンションギャラリーでなくても体験できそうですね。

内堀:

技術的には可能ですが、集客の目玉にしたいこともあり、設置しているのは現在はマンションギャラリーのみです。「VRモデルルームが体験できるのでぜひ来てください」ということですね。現地とマンションギャラリーに足を運んでいただくことでマンションの立地や周辺の雰囲気、マンションまでの道のりなども確認できますし。

また、これはVRモデルルームの効果だけかどうかは判断しきれないのですが、実はブランズシティ湘南台は、他の物件と比べても、比較的高い再来場率になっています。初回は実際のモデルルームだけをご覧になるお客様に「VRモデルルームもありますよ」ということで次回来場のきっかけを作ったり、営業ツールのひとつとしても役立っています。

VRモデルルーム開発時の苦労話

――今回の開発にあたってハシラスにはどのようなリクエストをしましたか。

内堀:

間取りの異なるモデルルームを2つ作って欲しいとか、モデルのカラーは変えられるようにして欲しいとか、アウトフレーム工法の説明として柱が部屋の中と外にある場合のイメージを作ってとか、昼と夜の切り替えができるようにしてほしいとか……本当にいろいろお願いしましたね(笑)。


(エントランスは昼夜の2パターンが用意されている。時間帯による雰囲気の違いを、一瞬の切り替えで体験可能)

安藤:

いえいえ(笑)。CGのチェックをいただくために、VR内の映像をキャプチャした2D画像を出すのですが、やはり2D画像だと実際にVRヘッドセットで見たときと微妙に違うというか。「VRで見ないとわからないんだよな~」といった部分もあり、皆様のマンションに対する熱意をうまく表現するのには少し苦労しましたね。「結局、VRヘッドセットをクライアント側にも一式置いておく必要があるな」というのは今回の取り組みで得られた気づきです。

――その他、リリースまでに苦労した点はありますか。

安藤:

今回ならでは、ということで言えば「今まさに建築中の建物の3D CGモデルを作る」というところでの苦労はありましたね。

具体的に言うと、建物のCGパース(立体画像)などは東急不動産様側でもうできているわけです。そのパースに対する指示書などもいただいているので「これを手本にして再現すればいいんだな」と思うんですが、実際に作業を進めていくと「最初の段階ではそうでしたが、実際今はこうなっています」という部分があったりなど、一度チェックに出して関係者様にひととおり聞いてみないとわからない部分がある、なんてことはありました。

内堀:

あとはなにぶん初めてということもあり、いつものやり方であれば必要ないものが実は必要だったとか、お互い気づいていないところは結構ありました。

ハシラスの知見と技術力でOculus Quest 2の弱点をカバー

――実際の運用はどのように行っているんですか?

内堀:

VRモデルルーム体験では、営業担当もお客様と一緒にVRヘッドセットを着けてVR空間内に入ります。また営業担当とは別に、現実の壁にぶつかったりしないように、お客様のフォローを行う担当者も一人ついています。

――これまでの運用上の課題と感じている点などはありますか。

内堀:

これはOculus Quest 2の仕様なのですが、一定時間でデバイスがスリープモードに入ってしまうことや、スリープ復帰後にキャリブレーション(位置の補正)が再度必要な場合があることでしょうか。

安藤:

スリープの問題はハードウェアの仕様上、仕方ない部分もあります。キャリブレーションの問題については、部屋の中に特徴点(キャリブレーションの際に基準となるもの)を置くことで、強制的にキャリブレーションする仕組みもあるんですよ。弊社にはハードウェアのエンジニアもいるので、特徴点となるちょっとした装置を作って、それをモデルルーム内に設置しています。ただ、それもまだ改善の余地がありそうなので引き続き対応予定です。

――外部装置を自社で作ってしまえるのはハシラスさんの強みですね。

安藤:

もっとコストをかけて、床面や壁面に特徴的な模様を置いたりする例もあります。ただそれよりも、自前で装置を作ってしまうことで、もっと簡素かつ安価に使えるようにしようという感じですね。

――今後の改修・機能拡張の予定はありますか?

安藤:

キネトスケイプでは本来、体験者が混乱しないようにボタンやUIなどを極力減らしたり、プレゼンも基本的には一方方向に進むようにしたりと、できることをかなり絞っているんです。ですがVRモデルルームの場合、部屋の間取りの切り替えだとか、ある程度ユーザー自身で選べるような機能があったほうがいいかもしれないということで、現在調整中です。

もう一点、営業担当の方もVR空間に入ることでプレゼン効果は高くなるものの、介助担当の方が別途必要になったり、VRヘッドセットの導入コストの問題も出てきます。

ですので、「VRの外にいながら、中にいるのと同じような案内ができないか」という課題にも取り組んでいるところです。例えば「こちらの方向を見てください」などの案内がVR画面内に表示されて視点誘導ができたりだとか、物件説明などもPCだけでできるようになれば、導入コスト・運用コストともにより抑えられるのではないかと考えています。

VRモデルルームでユーザーの判断材料を増やしたい

――今後の展開・活用予定についても教えてください。

安藤:

キネトスケイプを用いた不動産向けソリューションは、マンション眺望部分にフォーカスしたコンテンツなど、すでに制作中のものがいくつもあります。今後はWebブラウザからモデルルームを体験できるソリューションもあわせて提案していきたいと考えています。

内堀:

社内では、新しい取り組みに積極的にチャレンジしていけという気運があり、その中でもVRの活用に関しては、各担当が試行錯誤しながらトライしています。我々としては、VRモデルルームを活用することで、お客様がより少ない手間でより早く結論を出すための判断材料を多くお出しできるようにしたいと考えています。

――ありがとうございました。

※外観完成予想CG、エントランスホール完成予想CGは計面段階の図面を基に描き起こしたもので、実際とは異なります。また、変更となる場合がこざいます。雨樋、給気口、スリープ等、一部再現されていない設備機器がこざいます。また、タイル等の大きさは実際とは異なります。
※共用部の家具・調度品等の形状・色等は今後変更となる場合がございます。また、共用部のご利用は管理規約に従っていただきます。
※植栽は計画段階のものであり、変更となる場合がございます。また特定の季節、時期、または入居時を想定して描かれたものではございません。葉の色合いや枝ぶり、樹形は想定であり、竣工時には完成予想CG程度には成長しておりません。

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