三井不動産と東日本電信電話(NTT東日本)は、「東京ミッドタウン八重洲」の4・5階において、ローカル5Gを活用したデジタルツインの実証実験を開始しました。本実験では、施設空間を三次元点群データと画像データを組み合わせてクラウド上に再現し、デリバリーロボットの制御やARナビゲーション、プロモーション展開など、複数のサービスへの活用を試みます。
デジタルツインは、現実世界のデータをリアルタイムで収集し、仮想空間上に再現・構築する技術です。本実証実験では、ローカル5Gの高速大容量通信を活用し、膨大な画像データを処理して施設空間の精密な再現を行います。また、VPS(Visual Positioning System)による位置測位を活用することで、GPSの届きにくい屋内でも正確な位置特定が可能となります。
(本実証のデジタルツインにより再現された 東京ミッドタウン八重洲5階の空間イメージ)
実証実験の一つ目の取り組みとして、来館者向けのサービス展開です。スマートフォンやタブレットに加え、NTTコノキューデバイスのXRグラス「MiRZA」を活用したARナビゲーションを実証予定です。来館者は目的地までのナビゲーションを利用できるほか、AR上で館内店舗の商品紹介やクーポンの表示を受けることができます。
二つ目の取り組みは、クラウド接続型デリバリーロボットの導入が挙げられます。従来のように個々のロボットが制御システムを持つのではなく、クラウド上のデジタルツインを地図として活用し、VPSによる位置測位で現在地を把握しながら移動を行います。この仕組みにより、100台規模のデリバリーロボットの一括制御が可能となり、建物内のセキュリティやエレベーター制御システムと連動させることで、施設内の飲食店からオフィスワーカーへのスムーズな配送を実現します。
本実証実験は、三井不動産とNTT東日本が共同で実施し、三井不動産が全体統括と実証環境の提供、施設運営を担当。NTT東日本がローカル5G環境やデジタルツイン環境の構築、ロボットデリバリーシステムの構築、ARアプリケーションの開発・構築を担当します。
将来的な展望として、両社はデジタルツインシステムを街全体に拡張することを視野に入れています。三次元点群データと画像を組み合わせたデジタルツインは、一般的なカメラでの位置測位が可能で、屋内外を問わず拡張できる特徴を持ちます。この特徴を活かし、将来的にはビル管理の効率化や、人流分析、災害対策などへの応用を目指します。
(参考)プレスリリース