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テック 2019.10.03

まるで人工皮膚のよう。VRでよりリアルな触覚を生み出す研究が進行中

VRでの体験をリアルにする要素の一つに「触覚」があります。スイスの研究者らは、既存の触覚フィードバックデバイスよりも一層リアルな触感を得られる、新たな技術を発表しました。極薄の皮膜を使用しており、VR/ARにも応用できるデバイス化を目指します。

皮膜とアクチュエータを組み合わせ

スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究者らがジャーナル”Soft Robotics”に投稿したのは、皮膚のような素材に関する論文。わずか500ナノメートルという極薄で伸縮性のある素材と空気圧アクチュエータを組み合わせ、空気圧で膨張した膜により、触覚フィードバックを作り出すとのこと。

送り込む空気圧を調整することで、様々な強さ・頻度の触覚を引き起こせます。皮膜には電極付きのセンサーが搭載され、膜の動きをトラッキング。データをコントローラー部分にフィードバックし、触覚を制御するという仕組みになっています。皮膜素材は実寸の4倍まで伸長可能、耐用回数は100万サイクルほどです。

医療やAR/VRで活用

論文筆頭著者のHarshal Sonar氏は、「我々は初めて、センサーとアクチュエータを組み合わせた人工皮膚の開発に成功しました」と述べています。こうした正確な触覚の再現は、医療分野で患者の深部感覚をテストするといった用途のウェアラブルアプリケーションとして理想的だ、とコメントしました。

そして、「次のステップは、リハビリやVR/ARのアプリケーション向けにウェアラブルの試作品を開発することです」と論文は続けています。デバイスの製品化については言及されていませんが、このような技術がより成熟すれば、VR体験はより一段階深いものとなることでしょう。

触覚に関わる研究は、フェイスブックのようなVR関連大手企業はもちろん、日本の研究機関でも盛んに行われています。Mogura VR Newsでは、触覚研究の例を下記の記事にて紹介しています。

(参考)VRScout
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