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学校教育 2019.09.03

教育でのVR/ARの有効性に関心高まる テストのスコア20%改善も

VR/AR/MR(XR)の活用が注目されている分野の一つが教育です。

本記事では、学校教育におけるXR活用の有効性や開発側からの注目についてレポートを3件紹介します。

教育に取り組む開発者の増加

AR/VR/MRに関する開発者会議XRDC(旧名:VRDC)が発行した年次の「AR/VRイノベーションレポート」では、900以上のデベロッパーに対しオンラインでアンケート調査を実施しました。

その中で、現在取り組んでいる、または今後取り組む予定のあるVR/ARプロジェクトの対象分野を調査しています。

首位は前回同様、59%が回答したゲームでした。一方で、教育やトレーニングの分野のパーセンテージが上昇。それぞれ33%、27%となっています。XRDCは、これまで中期的な収益源として期待されてきたVR/ARが、非営利の目的でも活用が進んでいるという見方を示しています。

MRがテストスコアを改善

マイクロソフトが発行したレポート「Immersive Experiences in Education」は、教育におけるMixed Reality(MR)利用の効果について報告しています。これによると、MRを用いて学習した生徒のテストのスコアは最大で22%改善。特にディスレクシア、自閉症、ADHDといった学習に困難の伴う生徒ほど、学習環境の改善に効果があったということです。

背景として、MR技術の以下の特長が挙げられます。まず、リアルな体験に基づく学習が可能になる点です。シミュレーションされた実際の体験から学ぶことで、知識の吸収が劇的に向上します。

次に、学習時の「認知負荷」を軽減できる点。複雑かつ膨大な情報を自身の頭で視覚化し、吸収することは非常に負担であり、生徒の興味を削ぐ要因ともなります。これに対してMRであれば、情報をビジュアル化して示したり、インタラクションすることが可能です。こうして脳の負担を軽減するため、その分理解や記憶といった作業に集中できます。

2030年の学校教育に向けたMRの有効性

マイクロソフトと大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、”Preparing the Class of 2030“と題したレポートを発表。未来の教育に向けて提言を行いました。

レポートは、MRやAIといったデジタル技術が、以下のような教育現場のニーズを満たすものだと指摘しています。
・授業を、個人に合ったアプローチの学習方法が可能な時間とする。
・先の見通しを得ながら学習する。
・全生徒の能力を伸ばすための参加型学習を促す。
・日常に根付いた体験から、重要なスキルを学ぶ。
・没入感があり、複数の感覚を使う体験を提供する。これは生徒を学習に惹きつける効果がある。

そして総合的な効果として、これらはsocial and emotional learning(SEL、社会性と情動の学習)を促進すると述べます。SELは学科試験のスコアを最大11%押し上げる効果を持つ、とのデータも示し、学校教育におけるMRの有効性を明らかにしました。

 

日本の文科省も注目

学校教育でのVR/AR/MR活用には、Oculusやグーグルといった大手企業がプログラムを進めています。また日本でも、文部科学省が「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」でVR/ARを活用した取組を盛り込むなど注目が集まりつつありますが、具体的な取組が少ない状況です。

(参考)WIREDTech TrendsMicrosoft


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