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業界動向 2018.08.30

Oculus、教育へのVR活用 日本でも試験プログラム開始

Oculusは公式ブログにて、VRを活用した教育に関する取組を発表しました。日本を含む3カ国でパイロットプログラムを開始すると共に、3つのVRコンテンツを紹介しています。

VRデバイスを学校や公共施設に提供

VRの教育への活用は、既に広く取組が行われています。学生、教員、そして生涯教育で学ぶ人など、様々な用途でのVRコンテンツが用意されています。

今回Oculusが発表したのは、日本、台湾、米国・シアトルにおける教育のパイロットプログラムの開始です。VRヘッドセットを学校、図書館、博物館といった施設に提供し、VRをどのように教育やコラボレーションに活用できるか、理解を深めることが目的です。

現在プログラムが焦点を置くのは、教員や指導者のトレーニングです。まずは技術の特徴を学ぶことが、継続的に影響力を持つプログラム作りには必要だと考えているためです。
またプログラムではフィードバックや授業の内容を集め、Oculusの製品開発チームとシェアし、将来構想に役立てていきます。

ここでは3カ国それぞれで取り組む内容を紹介します。

日本

現在はパイロットプログラムのキックオフ初期段階です。VRを使った遠隔地教育や高校生向けの教育アプリに興味を持つ教育者と、プログラムを進めていくとのこと。具体的に提携する教育機関の詳細は不明です。遠隔地の生徒と教員をVRでつなぎ、物理的な距離の制約なく、全ての生徒が教育にアクセスできるような取組を行います。

台湾

Oculusは、VRヘッドセットOculus RiftとOculus Goを、Taiwan Internet and E-Commerce Association(TiEA)に寄付しています。今後TiEAから、国内各地の図書館や博物館へとデバイスを配布予定です。これら施設でのVR体験は、今年中に可能になる見込みです。

ヘッドセット配布施設は以下を予定しています、アメリカン・イノベーション・センター、高雄市立図書館、台北当代芸術館、国家図書館、国立台湾美術館、自然科学博物館、国立台湾博物館、新北市立図書館、ソーシャル・イノベーション・ラボ、台北市立図書館、太魯閣国家公園

各施設は、どのようにVRを使い、プログラム作りをするかを独自に考えます。例えばいくつかの美術館は、VRでデザインすることのできる「Quill」や「Oculus Medium」のようなアプリを使い、作品を展示することを検討しています。

シアトル

米国の2018年~2019年の学年度開始に合わせ、Oculusはシアトルの公立学校とパートナーを組みました。VR創作コースと学習プログラムの開発、試験導入を行います。例としてバラード高校とフランクリン高校の生徒は、1年をかけて授業で使えるようなVR教育コンテンツの制作を行います。またVRを使い、学校間のコラボレーションも実施予定です。
さらにOculusはシアトルの Technology Access Foundation(TAF)とも共同し、VRを使う教育者へのトレーニング方法を検討していきます。

これまでにも教育への取組として、Oculusはカリフォルニア州の図書館にVRデバイスを設置したり、マサチューセッツ工科大学やハーバード大学等と教育に対するVRの影響を研究したりしてきました。

今回の3つのパイロットプログラムの実施に当たり、Oculusは「教育の現場でVRがどう活用されていくか、そして同社がいかに教育向けの技術を改良していけるか、楽しみにしている」とのことです。

3つの教育向けVRコンテンツ

またOculusは同日、教育に関わる3つのVRコンテンツを発表しました。VRを通じて歴史、科学、文化などの新しい見方を発見することが出来ます。

コンテンツは既にOculus Storeで公開しています。

Breaking Boundaries in Science

科学の分野で功績を残した3人の女性を取り上げたコンテンツです。動物行動学者や霊長類学者でもあるジェーン・グドール氏は、野生のチンパンジーの研究から、人類と他の動物の関わり方に対する理解を変えました。科学者のマリー・キュリー氏は、ラジウムの発見により女性初のノーベル賞を受賞しました。そして計算機科学者かつ米海軍の軍人グレース・ホッパー氏は、プログラミング言語COBOLを開発しました。

この3人の生涯と研究内容をVRで学ぶことが出来ます。対応デバイスはOculus GoGear VR、コンテンツは無料です。

Titanic VR

タイタニック号の海難事故に関するコンテンツです。製品版では生存者の視点から新たな内容が加わりました。

事故を体験する内容や、船内のツアーモード、プレイヤーのペースで事故の謎を解いていくモードなどがあります。対応デバイスはOculus Riftです。

Hoover Dam: IndustrialVR

米国のコロラド川にあるフーバーダムを扱ったコンテンツです。今年3月にアーリーアクセス版が公開されました。巨大なダムへのバーチャルツアーを体験します。

Unreal Engine4で制作された圧倒的なビジュアルと共に、ダム上空から細部まで観察したり、内部の構造を知ることもできます。対応デバイスはOculus Riftです。

Oculusは今後も、教育やトレーニング、遠隔地教育のための、最良のVRコンテンツの提供を行っていくとしています。

(参考)Announcing Oculus Education Pilot Programs in Taiwan, Japan, and Seattle
Educational Experiences: ‘Breaking Boundaries’ in the Classroom and Beyond with VR


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