XR/メタバース/VTuber専門メディア「Mogura VR」は毎週、Podcast「もぐラジオ」を配信中。「テック・コンテンツ業界の最前線を掘る」というコンセプトのもと、すんくぼ(Mogura VR 編集長)とゆりいか(Mogura VR 副編集長)が業界の注目トピックを語ります。
この記事では、#195の内容をかいつまんでお届けします。
新年恒例のCES現地レポートと会場の変貌
ゆりいか:毎年恒例ですが、すんくぼさんは今どちらにいらっしゃいますか。
すんくぼ:アメリカのラスベガスにいます。現在はCESの会期5日目の夜を迎えたところです。
ゆりいか:そろそろ終わりの時期ですね。現地の様子はいかがですか。
すんくぼ:今年は出発直前に胃腸炎になり、体調面で非常に過酷なスタートでした…。例年カメラやスマホを失くすトラブルが起きますが、今年はまだ何も失っていません。
ゆりいか:体調不良は大変でしたが、遺失物がないのは幸いですね。
すんくぼ:CESは世界中から20万人規模が来場する、巨大なテック展示会です。出展も数千社に及び、展示会場は果てしなく広いのが特徴です。
ゆりいか:それだけの規模だと、各企業の出展状況も変わってきそうですね。
すんくぼ:そうですね。今年は大手企業の動きに大きな変化がありました。例えばソニーは単独のブースを構えず、アフィーラ(ソニー・ホンダが開発する電気自動車)の展示が中心でした。サムスンも例年の場所にはおらず、別の会場を貸し切った独自展示でした。そこでは、ゴッホの絵画を再現したイマーシブシアターなどが展開されていました。
すんくぼ:ディスプレイ技術では、イーインク(電子ペーパー技術)のような質感を持つ、額縁型の展示も目立っていました。あとは、立体視ではないけれども奥行きを感じさせるような、厚さ5センチの薄型サイネージも披露していました。
進化するラスベガスのモビリティと自動運転
すんくぼ:会場のラスベガス・コンベンションセンターは改装が完了し、非常に綺麗でした。ただ、マップが更新されたため、効率的な移動には慣れが必要ですね。今年は少ない方ですが、1日で2万歩から3万歩は歩きます。会場間の移動も渋滞が発生するため、時間管理が非常に重要になります。効率的な動きが自分のエネルギー維持に直結しますね(笑)。
ゆりいか:大変だなぁ…。
すんくぼ:テスラの車両が地下道を走るベガスループでは、サイバートラックが運用されていました。これはテスラによる独自の地下高速輸送システムですね。
ゆりいか:街全体が実験場のようになっているんですね。
すんくぼ:特に印象深かったのは、ズークス(Zoox)というロボタクシーの乗車体験です。アメリカの他の町だとWaymo(ウェイモ)もありますが、これは運転席のない完全自動運転車ですね。4人乗りのシャトル型で、対面式のボックス席のようになっています。従来の自動運転は、ハンドルが勝手に動くイメージですが、この車両には最初から運転席がありません。
すんくぼ:空間を効率的に使えるため、足を伸ばして非常にくつろげます。ビジネス客向けの個室のような使い方も可能だと感じました。寝ている間に家に着くような未来が想像できます。先日、車内でのエンタメ体験として、プレステのリモートプレイ対応なども発表されました。移動そのものが、没入空間に変わる可能性があります。
ゆりいか:窓ガラスがディスプレイになれば、まさにミニシアターですね。
すんくぼ:はい。外部の音を遮断できる閉鎖空間としての利点もあります。そこで何をするのが一番嬉しいのか、今後様々な仮説が検証されるはずです。自動運転の体験としては、過去最高に未来を感じる内容でした。
最新スマートグラスとロケーションVRの現状
すんくぼ:CESの会場のオークリーの店舗もありまして…。そちらで、オークリーとメタがコラボした、バンガードというスマートグラスを試着しました。スポーツアイウェアブランドらしい、非常に軽量で実用的なデザインです。
すんくぼ:プラスチック製で驚くほど軽く、カメラも高性能になっています。ただ度付きレンズへの対応が難しく、今回は購入を断念しました。眼鏡メーカーの質が向上し、スマートグラスが日常に馴染んでいます。
すんくぼ:CES会場外で言うと、サンドボックスVRという施設で、ストレンジャー・シングスの新作を体験しました。これは全身にセンサーを付けて仮想空間で遊ぶロケーションVRです。
すんくぼ:原作の大ファンとして、個人的な感想は少し厳しい評価になりました。作品特有の不気味さよりも、アクション要素が強すぎた印象です。原作の物語性が、表面的な再現に留まっていたと感じます。
ゆりいか:原作の読み込みが足らなかった…。
すんくぼ:これはアメリカのIP作品に、時折見られる傾向かもしれませんね。ただ、以前体験したイカゲームのVRは、非常に完成度が高かったです。没入できるかどうかは、作品の文脈をいかに尊重しているかに左右されます。
衝撃的なテスラスーツ体験とフィジカルAIの潮流
ゆりいか:テスラスーツという、全身触覚デバイスについてもお話し聞きたいですね。
すんくぼ:はい。ホテルの一室で行われていた、プレス向けの体験会に参加しました。これは振動ではなく、電気刺激で全身にフィードバックを返すスーツです。服の下に電極を密着させて着る、本格的なボディスーツですね。腕や足、背中にお腹まで、全身に電極が配置されています。一番衝撃的だったのが、VR内で手榴弾を足元に落とした際、全身に強烈な衝撃が走りました。安全な範囲ですが、痛みに近いリアルな感覚が同期します。
ゆりいか:いやー、それは落としたくないなぁ。
すんくぼ:死んでも絶対に遠くに投げたい、という本能的な恐怖が目覚めました。やりたい放題できるVRで、身体的なリスクを感じるのは新鮮です。自分の行動が自分に返ってくるため、訓練用途には抜群の効果があります。VRの自由さが、逆に恐ろしく感じるほどでした。
今後ですが、VRChatへの対応も視野にあるようです。出力設定を最大で耐える人もいるそうですが、私は50%が限界でした。非常に興味深く、学習効果の高いデバイスだと感じました。
すんくぼ:改めて2026年のCES全体の大きなトレンドをまとめると、「フィジカルAI」が最大のキーワードでした。これは現実の構造を理解し、ロボティクスと繋がるAIの次の段階のことです。単なるチャット形式を超え、現実世界を動かすAIが主流になりました。エヌビディアは、性能が5倍向上したベラルービンというスパコンを発表しました。また、シーメンスが提唱するデジタルツインの産業活用も、非常に具体的でした。
ゆりいか:レゴも新しい試みを発表したと伺いました。
すんくぼ:スマートプレイという、アナログとデジタルを融合させた新シリーズですね。ブロック内にチップが入っており、組み立てや動きに反応して音が鳴ります。レゴ好きの子供を持つ親としても、非常に期待しています。ShiftallやXREALの新型グラスが注目を集めました。ARグラスはより眼鏡に近い形状へと進化し、専用の大きなブースも増えていましたね。
もぐら関連記事







