Home » MR技術のビジネス活用事例まとめ Meta Quest 3やApple Vision Proはどのような現場で使えるのか?


活用事例 2025.08.15

MR技術のビジネス活用事例まとめ Meta Quest 3やApple Vision Proはどのような現場で使えるのか?

VRやMRなどの技術をエンタメではなくビジネスの現場に活用する企業が続々と現れています。なかでも注目が、Meta Quest 3やApple Vision ProといったMR(Mixed Reality、空間コンピュータ)機能の搭載されたデバイスの活用です。こういったデバイスは研修・医療・販売促進・現場作業など、多様なビジネス領域への応用が進んでいます。

本記事では、実際に導入されている事例を企業別に紹介し、それぞれの現場でどのように活用されているのかを具体的にご紹介します。

Meta QuestとVision Proとは? ビジネス活用が進むデバイスの特徴

Meta Questシリーズおよび、Apple Vision Proは、いずれもMR技術を活用したヘッドセットです。

Meta Quest 3は、Metaによって開発されたスタンドアローン型のXRヘッドセットです。カラーパススルー機能により現実の風景をカラーで取り込みながら、バーチャルなオブジェクトを重ねて表示できるMR体験が可能です。本体価格が81400円(税込)と、10万円以下で購入できるため、導入の敷居が低く、複数台購入して実装するのにも向いているデバイスです。法人向けソリューション「Meta Horizon Managed Solutions」などを運用すれば、よりビジネス向けに運用できるのもメリット。複数台に同じソフトウェアを導入し、運用を一括管理するという例もあります。

一方のApple Vision Proは、Appleが「空間コンピューティングデバイス」として位置付けるハイエンドXRデバイスです。非常に高精細な映像表現と独自の空間UIによる操作性が特徴で、外部カメラによるシームレスなパススルーと、macOS/iOSとの親和性の高さにより、空間ビデオ視聴や業務向けのプレゼン・会議利用などで注目されています。何より、Meta Quest 3よりも高解像度で見心地が非常によく、イマーシブな映像体験のクオリティの高さが大きな魅力となっています。ただし、その価格は256GBのモデルで59万9,800円と非常に高額で、複数台を一気に実装するハードルは非常に高くなっています。また、複数人で1台を使い回すといった運用をする際には細かな設定が必要になる点も注意が必要です。

VRのビジネス活用との違い

MRは、VRと異なり、現実の風景を表示した映像にデジタル情報を重ねて表示する技術です。そのため、ユーザーは自分のいる場所や周囲の状況に合わせた体験を得ることが可能です。ま周囲の景色や足元をすぐに確認できるため、作業中の安全確保にも繋がります。この安全確保をできる点が、製造現場や教育現場など、複数の人が一箇所の場所に集まって体験する場所での運用のハードルを下げています。

さらに、ハンドトラッキング機能を活用すれば、コントローラーなしで直感的な操作が可能です。ユーザーは自分の手で、現実の物体とバーチャルのオブジェクトの両方を掴んだり、操作したりといった、より現実に近いインタラクションを行えます。VRモードのように視界を完全に覆われることがないため、接客や共同での研修といった場面でも周囲とコミュニケーションが取りやすく、ストレスを感じにくいのもメリットのひとつです。

これらのMRデバイスは、作業現場の支援、教育・研修の効率化、顧客体験の向上、医療現場での応用など、さまざまなビジネスシーンで活用が進んでいます。以下では、実際の導入事例を分野別に紹介します。

Meta Quest 3のビジネス導入事例

株式会社Root:農作業・林業・建築現場でのAR活用

株式会社Rootは、Meta Quest 3を屋外の作業現場で活用し、MR技術で業務効率化を支援するアプリを展開しています。農業向けアプリ「Agri-AR」では、収穫物のサイズを計測したり、農作業のシミュレーションを行ったりできます。また、林業や建築現場で図面の重ね合わせや空間マッピングを行う「Work-AR」も提供。誤差数センチという高精度な位置情報を実現しています。同社は日本国内だけでなく、東南アジアを中心とした海外展開も進めています。

住友林業株式会社:建築現場でのMR研修

住友林業は、建築現場の研修効率を向上させるため、Meta Quest 3を50台導入し、独自のMR研修アプリケーション「Vimo」を運用しています。このアプリでは、現実空間に作業手順や安全確認の情報を重ねて表示し、視覚的に学習を進めることができます。これまで蓄積してきた多数の教育用動画ライブラリも活用可能で、ネットワーク環境がない場所でも学べるようになっています。Meta Quest 3の空間認識やハンドトラッキング機能を利用した、インタラクティブな研修体験が特徴です。

ダイキン工業・NEC:サービスエンジニア向け点検研修

ダイキン工業とNECは、サービスエンジニアの育成期間短縮を目指し、「Microsoft Mesh」とMeta Quest 3を活用した空調機点検のトレーニングを共同開発しました。受講者は、バーチャル空間上で実際の現場と同様の点検・診断作業を体験できます。このシステムでは、対面での実機研修では再現が難しい現場環境をリアルに作り出せるほか、作業中の動きをデータとして記録・レポート化し、教科書の手順と比較して振り返ることが可能です。これにより、研修の効率化と実習の負荷軽減を図っています。

ルフトハンザドイツ航空:客室乗務員のトレーニングと顧客向けデモ

https://video-itm1-1.xx.fbcdn.net/o1/v/t2/f2/m69/AQN-sQnBY2cBeI8GuITLp3sx6FSUzjxG2MBHCWFEvCK_7ZWA6r1fVa1BOBNEsPYXXvnhngZTnW6TLYaAg76f3JVZ.mp4?strext=1&_nc_cat=110&_nc_sid=5e9851&_nc_ht=video-itm1-1.xx.fbcdn.net&_nc_ohc=dG7lDugWBYcQ7kNvwElyhdK&efg=eyJ2ZW5jb2RlX3RhZyI6Inhwdl9wcm9ncmVzc2l2ZS5GQUNFQk9PSy4uQzMuMTM1MC5kYXNoX2gyNjQtYmFzaWMtZ2VuMl8xMDgwcCIsInhwdl9hc3NldF9pZCI6NzUwNDY4NjUwOTYxNDIwNiwidmlfdXNlY2FzZV9pZCI6MTA3ODEsImR1cmF0aW9uX3MiOjQsInVybGdlbl9zb3VyY2UiOiJ3d3cifQ%3D%3D&ccb=17-1&vs=a74329f89ba54d85&_nc_vs=HBkcFQIYOnBhc3N0aHJvdWdoX2V2ZXJzdG9yZS9HUC1tanhzWkRGVXVwSVlFQU1henkwODd1VFppYnY0R0FBQUYVAALIARIAKAAYABsCiAd1c2Vfb2lsATEScHJvZ3Jlc3NpdmVfcmVjaXBlATEVAAAm_JHz2J_e1BoVAigCQzMsF0ATwIMSbpeNGBpkYXNoX2gyNjQtYmFzaWMtZ2VuMl8xMDgwcBEAdQJluqgBAA&_nc_zt=28&oh=00_AfOjuVICc7UGrypKY_mu-GeomgXepmJPdHvv6YKd79wxkA&oe=6856F120

ドイツの航空会社Lufthansaは、新型客室「Allegris」のトレーニングとプロモーションにMeta Quest Proを活用したMR体験を導入しました。これにより、物理的なモックアップ(実物大模型)の輸送や設置にかかるコストを80%削減しました。客室乗務員や営業担当パートナーは、MRヘッドセットを装着し、仮想空間で新しい座席の機能を実際に操作しながら学べます。この取り組みの成功を受け、同社はエンジン整備やカスタマーサービスといった他の分野のトレーニングにもMR技術の応用を検討しています。

Apple Vision Proを活用した導入事例

Holoeyes株式会社:医療用3Dモデルによる術前シミュレーション

Holoeyes社は、医療用画像処理ソフトウェア「Holoeyes MD」をApple Vision Proに対応させました。このツールは、CTやMRIの画像から作成した高精細な3Dモデルを、手術室などの現実空間に重ねて表示することができます。Vision Proのパススルー機能を活用することで、医療従事者は周囲の環境をリアルタイムに確認しながら、奥行きのある人体構造を立体的に把握できます。主に外科領域における術前のシミュレーションや手術中のナビゲーション、遠隔での医療カンファレンス、医学生の教育などに活用されています。

eXeX社:人工関節置換術における手術支援

米国のeXeX社は、AdventHealthの手術センターと提携し、リバース型人工関節置換術においてApple Vision Proを世界で初めて活用しました。手術中、執刀医を補助する技師が滅菌されたフードの下にVision Proを装着。これにより、手術器具の準備リストや手技ガイドといった情報を、術野でホログラムとして非接触で操作・確認することが可能になりました。衛生の観点から、従来だと手術室内へのデジタル機器の持ち込みに制約がありましたが、この活用法により、手術の効率と精度を高める新たな道が開かれました。

ポルシェ:自動車レースにおけるエンジニア支援

https://www.apple.com/newsroom/videos/apple-vision-pro-porsche-race-engineer-app/large_2x.mp4

自動車メーカーのポルシェは、レースの現場でエンジニアを支援するためにApple Vision Proを活用しています。サーキットを走行中の車両から送られてくる速度やブレーキ状況といったテレメトリデータや、ドライバー視点のライブ映像を、ピットにいるエンジニアのVision Pro上にリアルタイムで表示する「Race Engineer」アプリを開発しました。エンジニアはMR空間に複数の情報を展開し、コース状況と車両の状態を直感的に把握しながら、遠隔でドライバーに的確な指示を出すことができます。

株式会社八芳園:バーチャルけっこ見学による成約率向上

東京の結婚式場「八芳園」は、全館改修工事で顧客が会場を直接見学できない期間の対策として、Apple Vision Proを導入しました。来場者は、空間ビデオや360度写真によって再現された会場をバーチャルで体験します。この取り組みの結果、工事期間中の平均成約率が5ポイント向上し、商談成約率は40%に達しました。また、法人利用の売上も前年比で30〜40%増加するなど、大きな成果を上げています。案内スタッフはiPadを使い、顧客がどこを見ているかをリアルタイムで把握しながらスムーズなガイドを行っています。今後は海外向けのプロモーションでの活用も視野に入れています。

XRデバイスが拓く多様なビジネス可能性

MR技術を使ったヘッドセットのビジネスでは「繰り返しの学習や訓練」「現在制作中の取り組みの事前イメージの共有」「バーチャルな情報を付与することによる手作業の効率化」など、特定の活用方法で効果を発揮していることが上記の事例から分かります。また、高精細なCGモデルだけでなく、実写の空間ビデオや360度コンテンツ、あるいはシンプルな情報の表示など、現場のニーズや課題に応じて柔軟な活用方法が選択できる点も重要なポイントです。

XRデバイスは、現在進行形で多様な業界に導入が進んでいます。Meta Quest 3やApple Vision Proを活用した事例からは、それぞれの特性を活かして、業務効率の向上や新しい顧客体験の創出、人材育成の革新に貢献している様子が浮かび上がります。

参考

https://forwork.meta.com/jp/case-studies/lufthansa-mixed-reality-inflight-experience/
https://www.apple.com/newsroom/2024/04/apple-vision-pro-brings-a-new-era-of-spatial-computing-to-business/#:~:text=aircraft%20maintenance%2C%20taking%20a%20plane,speeding%20up%20plane%20turnaround%20times
https://www.prnewswire.com/news-releases/exex–adventhealth-surgery-center-innovation-tower-pioneer-use-of-apple-vision-pro-in-joint-replacement-surgery-302105840.html


CONSULTING / DEVELOPMENT

コンサルティング・開発サービス

Moguraの知見を、あなたのプロジェクトに

mogura_next

Moguraの知見を、あなたのビジネスに
編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
Mogura VRで培った豊富な情報力と業界ネットワークを強みに、企業・行政機関の成果につながる最適な解決策をご提案します。