住友林業株式会社は、建築現場の研修効率向上を目的に、Meta Quest 3 50台とMRを活用した新たな研修アプリケーション「Vimo」を導入しました。アプリ開発は株式会社ホロラボが担当。VR研修から一歩進んだMRを活用した取組です。
「Vimo」は、現実空間にデジタル情報を重ね合わせるMRを活用し、建築現場での作業手順や安全確認を視覚的に学習できるアプリケーションです。
Vimoでは住友林業がこれまでに構築してきた数々の多数の教育用動画ライブラリを活用します。動画コンテンツは専用のクラウドサーバからダウンロード配信され、初回配信時にすべてローカルストレージに保存されるため、ネットワーク環境がなくても再生が可能です。今後のコンテンツ追加・更新にも対応しており、教育現場の変化に対応可能です。
またMeta Quest 3の特性を活かし、空間認識や手の動きの追跡機能を使ったインタラクティブな研修体験が実現しています。
今回の研修アプリケーション「Vimo」を開発したホロラボは、これまでにも建設業界向けのMRアプリ開発を手掛けており、3D設計データを現実空間に重ね合わせるソリューションなどで、設計と施工の整合性確認や作業効率の向上を支援してきました。
これまでの研修や業務支援におけるXR活用事例としては、VRヘッドセットを用いた事例は広く行われてきました。住友林業も、これまでVRを活用した新入社員研修を実施しており、バーチャル空間での体験を通じて業務の早期習得と理解度の均質化を図ってきました。
他にもダイキン工業とNECが導入した空調機器の点検研修アプリでは、受講者や講師はPCからバーチャル空間に入り、実際の現場で提供しているサービスと同様の作業を体験できます。
一方、MR活用では、これまで国内ではマイクロソフトの「HoloLens 2」が用いられてきました。北海道電力が開発した電力設備保守支援MRアプリや、日産の技能トレーニングシステムなどが挙げられます。
2024年10月に、HoloLens 2の販売停止が発表されたことで、次の選択肢としてMRにも対応できるMeta Quest 3に注目が集まっています。今回の住友林業の取り組みは、こうした変化を反映した実践例といえます。
住友林業は今後、教育コンテンツや体験型トレーニングなど、MR活用の拡大を目指しています。また、ホロラボも引き続き、建設業界におけるMR活用を推進し、現場の課題解決に貢献していく方針です。