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テック 2016.10.26

Valve、VRでの描画をより滑らかにする非同期タイムワープ対応は間近

Steam VR(HTC Vive)を開発するValveは、Oculusの「非同期タイムワープ」にあたる描画補足技術のオープンベータ版を近いうちにリリースすると発表しました。この技術により、より滑らかな描画による快適なVR体験が実現します。

非同期タイムワープ

再描画の負荷を軽減し、fpsの低下を防ぐ技術

VRヘッドセットを急激に動かすと、画面を再描画するために負荷がかかり、fpsの低下がしばしば発生してしまいます。

Oculus Riftではこれに対し、描画処理を補足する「Asyncrouis Timewarp(非同期タイムワープ)」という技術が採用されています。

この技術のおかげで、Oculus Riftではどれだけ頭を動かしても、スムーズに感じる水準である90fps(描画処理が毎秒90回)を維持しています。

Oculusはまた、先日のOC3において、新技術「Asynchnorous Spacewarp(非同期スペースワープ)」を発表

非同期タイムワープが頭の角度(向き)に対応するならば、非同期スペースワープは頭の位置(位置トラッキング)に対応し、これでヘッドセットを付けたあらゆる動きにfps維持を実現することになります。

またさらに、この新技術によってOculus Riftの最低動作要件が緩和され、500ドルでの対応PCも発表されました。

Valveが目指すのは緩和ではなく、より高精細なVR

こうした動きに対し、Steam VRを提供するValve社もまた、再描画を補足する新技術を開発しています。

Valveが「Interleaved Reprojection」と呼ぶこの技術は、様々なGPUに対応。これはMacやLinuxなどのOSもサポートし、一方でOculus RiftではWindowsのみをサポートしています。

「(Oculusの)非同期タイムワープは限られたGPUのみに対応し、非同期スペースワープになるとさらに少ないGPUに限られます」と、ValveのグラフィックプログラマーであるAlex Vlachos氏は言います。「私たちの技術は非同期タイムワープに近いものです。これは現在クローズテスト中で、近いうちに公開ベータ版をリリースしたいと考えています」

また、ValveはGPUベンダーと協調し、非同期スペースワープに近い技術も開発中。氏は、Oculus Riftと違い、Steam VRでは動作要件の緩和はないとしています。

「私たちはこの技術によって、今すぐに動作要件を緩和することはありません。私たちの目的は『高精細なVR体験を提供する』ことであり、最低スペックはそれぞれのソフトウェアごとに異なります」

OculusとValveでは、「より快適なVR体験を実現する」という目的は同じでも、そのビジョンが異なります。

動作要件が緩和されるOculus Riftと、高品質な体験を目指すValve。各社の次世代HMDにおいて、どういった違いが出てくるのかにも注目です。
 
https://www.youtube.com/watch?v=DdL3WC_oBO4

(参考)
UploadVR / Valve’s Answer To Asynchronous Timewarp Is Coming ‘Soon’(英語)
http://uploadvr.com/valve-atw-reprojection-oculus/

※Mogura VRはUploadVRのパートナーメディアです。


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