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活用事例 2025.01.07

VRトレーニング前に短い動画を見せると効果促進 研究結果が発表

近年、教育分野でのVR活用効果の研究が進んでいます。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究チームが発表した論文によると、ピペット操作のトレーニングにおいて、短い事前学習動画を視聴することで、技能の習得度および知識の定着率が向上することが示されました。

発表された研究論文は「Implementing Pretraining to Optimise Learning in Immersive Virtual Reality(没入型VRにおける学習最適化のための事前学習実装)」。「科学技術分野でのプロシージャルスキル(手順的技能)の習得に、VRトレーニングが効果的であるか」にフォーカスし、研究結果がまとめられています。

この研究では、93名の大学生を対象に、ピペット操作のVRトレーニングを実施。被験者は「事前学習あり」「事前学習なし」の2つのグループにランダムに分けられました。

「事前学習あり」グループには、ピペットの部品や使用方法を説明する短い動画が事前に視聴され、「事前学習なし」グループはそのままVRトレーニングに参加しました。その結果、事前学習を受けたグループの方が、VRトレーニング後の知識テストの成績が有意に高く、実際のピペット操作においてもエラー数が少ないことが確認されました。


(事前トレーニング動画のスクリーンショット。VRトレーニング内に登場する器具の説明やデモが実施されている)

特に注目すべき点は、「事前学習あり」グループは認知負荷が低かったことです。認知負荷とは、学習時にかかる精神的負担を指します。本論文によれば、事前にVRトレーニングで用いられる対象物の知識を得ていたことが、雑な情報処理を軽減し、より効率的に学習を進められる結果となったと考えられています。ただし、VRトレーニング内でのタスク遂行能力や自己効力感には、両グループ間で顕著な差は見られなかったということです。

この研究結果は、VRトレーニングの効果を最大化するために「事前学習動画」を組み込むことの重要性を示しました。VR開発設計において、基本的な用語や手順の説明を事前に組み込むことで、学習効率の向上が期待されます。

また、初めての体験に直面する前に基礎知識を習得させることで、VR内での学習時に不要な混乱を減少させられる可能性があります。特に、技術系のプロシージャルスキル(例:ピペット操作、実験手順)のトレーニングに「事前学習動画」が適しており、実際の作業パフォーマンス向上に寄与することが示唆されています。

(参考)Wiley


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