米メディアVRScoutが、VR/AR広告の今後について語る記事を公開しています。記事では2020年にVR/AR広告がどうなっていくべきか、そのために何をすべきかについて意見を述べています。
大成功したVR/AR広告はまだ生まれていない
2019年、ソーシャルメディア上で大成功したとされる広告キャンペーンのうち、VR/ARを活用したものは1つもありませんでした。そのような中でも、イケアやディズニー、ワーナー・ブラザースなど、VR/AR広告を活用する企業では、従来の広告効果測定と同様にVR/AR広告の効果を分析しています。
(バーガーキングのプロモーションキャンペーン。ユーザーがARでマクドナルドの広告に火をつけることができる / 画像:バーガーキング)
VR技術がもっとも効果的かつ印象的にコンテンツを届ける方法であることは、VR/AR心理学の研究成果からも疑いようがありません。VR/ARコンテンツは従来の2D映像に比べてコンテンツの視聴時間が長くなったり、ユーザーにより強い印象を与えることができます。
UnityのAR/VR広告改革の責任者であるTony Parisi氏は、2019年1月に開催されたデジタルエンターテイメントワールド(DEW)で、メディアにおける広告効果の高低を以下のように順位付けました。
1.ライブイベント(もっとも効果的)
2.VR/MR体験
3.ARアプリ
4.AR広告
5.(2Dの)モバイル動画
VR/ARが未来のブランドマーケティングの担い手に?
VR/ARコンテンツは再考の時を迎えています。コンテンツ体験を邪魔することなく、ユーザー体験をより高める広告を作るにはどうすればよいのでしょうか?
今日、コンテンツ利用者はテレビを見ながら電話をしたり、タブレットを使ったり、友人が見ているものをリアルタイム配信で視聴したりなど、複数のコンテンツを同時視聴することができます。
ただしVRやARでも同じようなことができるとは限りませんし、少なくとも今はまだそうなっていません。VR/ARコンテンツの大半は1人用で、かつそのコンテンツだけに没入できるように作られています。
VR/AR広告の主な課題の1つは、VR/AR広告が実際に効果があることをスポンサーに示すことです。過去2年間、とりわけ2019年にはVR/ARの分析手法が広まったことで、市場の認識も変わってきました。
新しい分析方法では、従来の2D広告にはなかった分析項目、すなわち視線追跡、カメラへのアクセスデータ、表情データ、感情データなど、VR/ARならではのデータも取得できます。一方で、これらのデータはユーザーのプライバシーに関わる問題にもつながる可能性があります。
VR/AR時代の広告を開拓することに加えて、クリエイターや開発者、広告業者や配信業者もまたプライバシーの基準を率先して考え、確立させていく必要があります。例えば「どこまでのユーザーデータを取得するのか」「データの保持期間はどれくらいか」「データ販売する場合のデータ提供範囲」などがそれにあたります。
2019年までに導入された技術は、VR/ARの未来からすればまだほんの一部です。5Gがもたらす“空間ウェブ”により、ユーザーが受け取る“体験”はより大きなものになるでしょう。
大規模・小規模問わず、様々な企業は現在もプロモーションキャンペーンや広告にVR/AR技術を採用しており、それらがユーザーにどんな変化をもたらすかを見極めようとしています。
(参考)VRScout
Mogura VRはVRScoutのパートナーメディアです。