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テック 2017.05.26

【Unite2017】VR MAGIC!~キャラクターに命を吹き込んだ4年間の記録~講演レポ

5月9日から2日間に渡って開催された開発者イベント「Unite2017」ではVRに関するさまざまな講演が行われました。今回は「VR MAGIC! ~キャラクターに命を吹き込んだこの4年間の記録~」についてレポートしていきます。


登壇者は株式会社エクシヴィの代表取締役社長「GOROman」こと近藤 義仁氏、同社ビジュアルディレクター室橋 雅人氏の2名。近藤氏はこれまでにも、初音ミクとVRで戯れる『Mikulus』や『ミクミク握手』などを作り上げており、室橋氏も『ミクつく』などを手掛けてきた、まさに美少女VRとは切っても切り離せない人物達です。

まずは近藤氏から魅力的なキャラクター表現の話と題した、VRでいかに美少女キャラに「生きてる感(=プレゼンス)」を出すかという説明がありました。3Dキャラクターを表現する際に、リアルに近づけすぎると怖く感じるといういわゆる「不気味の谷現象」があります。

今回の講演では、その現象を打ち消すためにキャラクターを生き生きさせる=プレゼンスを上げる手法が紹介されました。


まずは目のプレゼンスについて。目のハイライトはないと死んだ魚のような目になってしまい、プレゼンスが壊れてしまいます。また、まばたきがないと人形のような感覚が強まってしまいます。
一方で、キャラクターと目が合うことでお互い認識できるため、こちらはプレゼンスの向上につながります。


また、呼吸をしていないと作り物感が出てしまうため、口と胸を呼吸の周期に合わせて動かすことが重要になります。呼吸音も3D空間音響で鳴らすのも効果が高いとのことでした。

次に室橋氏からは「キャラクターを活かす雰囲気を作る」と題した、3D空間の雰囲気作りに関する講演です。

UnityのAssetStoreで配信されているモデルをそのまま使って制作しても、良い雰囲気にならないケースがほとんどです。雰囲気作りにはいくつかのポイントがあります。


ポイントはまず表現したいイメージを固めて、それに合う資料を集めます。ここに時間をかけられるかで絵作りのクオリティが決まります。資料から光源の色や影色などの要素を抽出して、それを反映させていきます。設定する上で重要なのはライティングで、実際の世界と同じような光源の配置にしなければ違和感が出ます。そして最後にImageEffectを使い光の色や影の付き具合を設定していくのが大切です。

そして室橋氏が開発中であるVRでの映像制作ツール「映画ツクール」に関しても説明がありました。

映画ツクール – Make it Film! –

講演中に室橋氏本人が実演を交えつつ分かりやすい構成で解説していました。今回のデモはVRで映画撮影を行うシステムと、VRで俳優になり切るアクターシステムでした。デモ内では3Dスキャンした室橋氏のモデルが実際の室橋氏の動きに合わせて動く姿が外部からも見ることが出来ました。

そしてスペシャルゲストにアメリカからお越しのパルマーラッキー氏も登壇。室橋氏が作成したVRアクターシステムを楽しみながら体験していました。パルマー氏の動きに合わせて動くアバターを、講演を聞いている人たちがモニター越しに眺めるという不思議な講演が繰り広げられました。パルマー氏からの感想も好評でした。

Unite 2017の中でも非常にユーモアあふれる講演で、会場からも時折笑いが起きていました。今回発表されたシステムなどはまだβ版の段階であり、今後の動向に期待が寄せられます。


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