Home » XRは“転換点”に到達し、市場に変化か 最新レポートから見る市場


統計・データ 2019.09.12

XRは“転換点”に到達し、市場に変化か 最新レポートから見る市場

VR/AR/MR(XR)関係イベントサービスを運営するVR Intelligenceは、XR産業に関する最新のレポート「The XR Industry Insight Report 2019-2020」を発行しました。注目すべき動きとして、エンタープライズ分野の成長、対するコンシューマー向けの失速等が取り上げられています。

XR市場は“転換点”

レポートでは、XR市場が転換点を迎えたとしています。様々な成功事例が報告される一方で、消費者へのリーチ、コンテンツの充実、コストなどに関しては未解決の問題が多く残っているとのこと。

VR Intelligenceは750名以上のXR関連専門家にインタビューとアンケートを実施。回答者の35%は経営幹部層だといいます。XR市場の成長トレンドや予測、エンタープライズ・コンシューマー各分野向けの動向といったトピックスを論じています。また、ケーススタディとしてHTC VIVEやOculus Rift、NVIDIA等を取り上げました。

期待を下回るコンシューマー市場、一方エンタープライズ向けは手ごたえアリ

注目される動向の一つが、XRがエンタープライズ向けで成長を見せている一方、コンシューマー用途は予想を下回っている点です。調査の結果、49.2%はコンシューマー向け分野での結果が見込みに達していないと回答。対してエンタープライズ分野で、同様の回答は25.7%でした。

この結果、技術開発やコンテンツ制作はエンタープライズ分野へシフトする動きがあります。エンタープライズ向けのVRに取り組む企業は73%、AR/MRは約65%。一方コンシューマー向けはVRが50%以下、AR/MRも37.4%にとどまり、その差は大きくなっています。

同様の傾向は、ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツクリエイターの回答にも示されています。さらにエンタープライズ分野におけるユーザーサイドの反応を見ると、非常に多くのXR利用者が手ごたえを感じています。VRでは93%が事業にポジティブな影響があると回答、AR/MRでは88.4%が同様の回答をしています。

ゲームへの関心低下も要因か

こうしたコンシューマー市場の落ち込みの要因の一つとして、レポートはゲーム産業に言及します。ゲーム市場は、明らかに初期のXRの成長を支えるものでした。しかし2019年の調査が示すのは、ゲームに対する企業の関心が減少しているという事実です。

2018年の調査では、回答者の50%が今後12ヶ月でゲーム向けの事業を行う方針だとしました。しかし2019年、このような回答はXRサプライヤーのわずか3分の1まで低減しています。

ただし、一般向けのエンターテインメントコンテンツ開発者は、XRに引き続き価値を見出しているようです。クリエイターの75.9%が、VRは事業にポジティブな影響を与えていると回答。AR/MRについても72.3%が好影響だとしています。

12月にエキスポ開催

VR Intelligenceは2019年12月12日、13日にサンフランシスコでVRX Conference & Expoを開催予定であり、今回の調査もこのイベントに関連して行われました。

本レポートのダウンロードはこちらから。

(参考)VRX Conference&Expo, Tech Trends


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード