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投資 2018.08.13

インフラ向けに現実の3Dモデル化を行う英スタートアップ、450万ドルの資金調達

イギリスのスタートアップSenSatは、映像・空間データを用いて現実の世界をモデル化し、効率的なインフラ建設等への活用を進めています。同社はシードラウンドで450万ドル(約5億円)の資金調達を行いました。今回調達した資金で技術開発を進め、サンフランシスコのオフィスへ投資を行うとしています。

現実の世界をデジタルデータへ変換

SenSatは2017年創業。複雑な映像・空間データを”リアルタイムにモデル化された現実世界”と言うべきデジタルデータに変換します。これにより、コンピューター(AI)を使った現実世界の問題の解決を、可能とするソリューションです。

この手法は、たとえばインフラ構築を手がける企業で活用できます。企業はモデル化されたデータとAIを用いて、多くの選択肢から最良のものを、より容易に選択することができるようになります。

使用するデータは、コンピューターで処理可能なもので、現実の世界を正確にモデル化したものでなければなりません。衛星画像も凌ぐ精度が求められるため、SenSatの技術が活きてきます。

同社CEOのJames Dean氏は、「もし現在衛星で撮影している画像を、ドローンを使ってさらに200マイル近くから捕らえられれば、解像度が向上し、商業的にも価値が出てきます」と話しています。

SenSatはオープンソースのデータ、及び自社独自のデータを用いて、高い精度で現実の世界のデジタル複製を制作しています。Dean氏によると、現実の世界を詳細に再現するこの技術により、コンピューターが「物事がどのような仕組みで動いているか理解し、我々の判断の方法を変える」ことが可能です。

ターゲットはインフラ分野、その理由は

同社がまずターゲットとするユーザーはインフラ分野ですが、それには理由があります。Dean氏は次のように説明しました。「(インフラの)建設は経済活動の基盤でありながら、今で2番目にイノベーションが遅れています(インフラより遅れているのは狩猟だけです)。1970年以降生産性の伸びはゼロ%。言い換えると、自動化による改善の余地が非常に多く残されているということです」

また大型の公共インフラに関して言えば、設計段階で発生する時間とコストが、総資産価値の40%を占めるとのことです。SenSatが現実の世界をデジタルデータに再現することで、このプロセスにAIを活用可能となり、多くの設計工程を自動化することが出来ます。

具体例として、Dean氏は新しい鉄道路線の建設を挙げました。建設の条件として、線路の傾斜角は5度まで、信号機を100メートルごとに設置し、レールは1.4メートル間隔で敷設しなければならないケース。これまでには、エンジニアが何ヶ月もかけて入念に現地を計測し、仮説と検証を行い、工程を進めていました。
しかしSenSatのデータとAI技術を用いれば、何千もの選択肢を数分で検証することが可能です。多くの選択肢から最良のものを選択できるだけでなく、何百万ドルもコスト削減が達成されます。

自動運転車への活用も

同社はこの技術を、インフラ建設以外の分野にも拡大しようとしています。その1つとして、自動運転車のシミュレーションがあります。

Dean氏は、「我々の現実の復元データを使えば、何百万時間ものドライビングシミュレーションを実行し、安全なユースケースを確認できます。これは自動運転車に関する規制策定などにとって、非常に有用です」と話しています。

都市やインフラのビジュアルデータ化の動きは他の国でも進んでおり、これまで以下のような事例を紹介しています。

(参考)TechCrunch


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