Home » VR体験中の脳血流や心拍を分析、反応を数値化 マーケティングに活用


テック 2018.10.15

VR体験中の脳血流や心拍を分析、反応を数値化 マーケティングに活用

株式会社NeU(ニュー)、および株式会社FOVEは、VR視聴時の視線情報や脳活動の同時取得が可能な一体型デバイスを共同開発しました。このデバイスを活用したサービス「Neu-VR」の提供を、企業向けに11月より開始する予定です。


(写真は開発中のもの)

このデバイスは、FOVEの視線追跡型VRヘッドマウントディスプレイ「FOVE 0」に、NeUのNIRS脳活動計測センサー「HOT-1000」を組み込んだものです。VR体験中の脳血流や心拍、視線のトラッキング・占有率、まばたき、瞳孔径といった複数の生体指標を分析可能。VR内の興味関心や集中、注意などを可視化・数値化します。

NeUは本デバイスを活用した新たなニューロマーケティングサービス「NeU-VR」を、企業向けに11月から開始予定。また、10月16日から開催される「CEATEC JAPAN 2018」のNeUブースにて本デバイスを展示・初公開します。

開発の背景

株式会社NeUは国立大学法人東北大学と株式会社日立ハイテクノロジーズのジョイントベンチャーです。ヒトの共感や作業記憶を司る前頭前野の脳血流を計測し、広告や商品などへの興味関心や記憶の定着を評価する「ニューロマーケティングサービス」を展開、既に50社以上の受注・検証実績があります。

同社によれば、VR空間における人々の行動や興味関心に対するマーケティングニーズは今後高まることが予想されるものの、VR体験中の生体情報の把握には制約も多く、心拍などの簡便な単一指標のみの計測に留まるか、専用の機器を用いた特殊な実験環境の構築が必要とされているとのこと。これに対してNeUはFOVEと協業し、脳活動と視線情報の同時計測を可能とした一体型デバイスを開発。PCとヘッドマウントディスプレイだけのシンプルなシステム構成で、高精度な視線情報および脳活動の一括計測を実現しました。

システムの内容

NeU-VRは、視線追跡型VR再生装置と、脳の前頭前野をカバーするNIRS脳活動計測センサーが一体型となった専用ヘッドマウントディスプレイ、およびPC上の専用アプリケーションからサービスを提供します。VR体験中の脳活動、心拍および各種視線情報(視点座標・瞬目・瞳孔径)の同時計測が可能です。

また、視線や瞳孔径などの生体指標からは、被験者の好みや集中度などが類推できることが知られています。これら複数の生体指標を組み合わせることで、VR視聴中の興味関心や没頭度を精度高く可視化、客観化できると、NeUは考えています。

サービスの対象・用途

サービスの対象として、同社は下記2点を挙げています。

企業のデザイン設計での活用

例として、施設や住宅のデザイン、各種ショールーム、車のデザイン等です。従来のモックアップモデルや試作などでのデザイン確認は、既に幅広くVR化の動きがあります。その評価方法は、現在はアンケートなどで振り返る主観評価です。しかしNeU-VRを使用すれば、見たものに対して「どう脳が活動しているか」という、直感的な反応を可視化・数値化した客観評価が可能。更にその後の改善に有用な情報を得ることができるとのことです。

VRコンテンツの評価

ものづくりでの確認や作業環境の再現など、VRによるシミュレーション体験は多様さを増しています。NeU-VRによってこれらVRコンテンツ体験者の、脳活動および視線情報を分析し、興味関心や集中・注意を明らかにしていきます。

「NeU-VR」は、このようにマーケットリサーチやものづくりの領域においてVRの役割をさらに高め、役立てるサービスであると同社は考えています。

今後のサービス展開

NeUが提供するニューロマーケティングサービスメニューとして、調査設計・データ取得・解析まで一貫して提供します。サービス開始時期は、11月初旬を予定。価格については、案件に応じた個別見積となっています。

(参考)株式会社NeU、株式会社FOVEプレスリリース


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード