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活用事例 2022.08.04

NBAが審判のトレーニングにVR導入、イギリスのRezzilが協力

スポーツ選手がトレーニングにVRを用いる——といった事例も珍しくなくなってきました。サッカーや野球、バスケットボール、そしてウィンタースポーツ等、様々な種目のVRトレーニングがプロチームに導入されています。

そして、この流れは「試合をジャッジする」側、つまり審判のトレーニングにも拡大しています。北米の男子プロバスケットボールリーグであるNBAは、審判員の教育におけるVR導入を進めています。

英VRスタートアップRezzilが協力

NBAにおける審判のトレーニングは、実は選手と比較しても非常に複雑です。ボールとゴールさえあればシュート練習はできますが、実践的な試合のトレーニングを行うにはプレイヤーを集める必要があります。

これは審判も同様です。従来は座学や試合への立会によりトレーニングを行ってきましたが、より実際の試合に近いトレーニングを行うため、NBAはVR導入のプロジェクトを進めています。

協力するのは、英国に拠点を置くスタートアップのRezzil。2017年創業で、スポーツの試合後に内容を分析するデータプラットフォームや、VRを用いたスポーツトレーニング、リハビリテーションツールを手掛けてきました。また2021年には、スポーツベースのゲームでエクササイズを行う一般向けコンテンツ「Rezzil Player」をリリースしています。

シーンの再現や再生、新たな視点も

RezzilはかねてよりNBAと協業し、選手のトレーニングや試合分析のVRプラットフォーム構築を進めてきました。これをベースとし、審判員向けのトレーニングを提供するのが今回の狙いです。

トレーニングに必要なものは、VRヘッドセットとノートPCのみ。バーチャルなコートでは、試合を好きな角度から確認することができます。一時停止やスロー再生といった機能の他、例えば特定の選手や審判の目線に立つことも可能です。また過去の試合から1シーンを再現するだけでなく、自分でシーン設定を行えます。

NBAで審判員の育成を行うMonty McCutchen氏は、「『ここで一歩下がれば、もっとよくプレイ状況が見えるでしょう』と、審判を動かして視線を変えてみせることもできます。(従来のように)カメラで映した視点を見せるだけではありません」とその効果を語りました。RezzilとNBA間で正式な協定は未締結ですが、コンセプトの検証は進んでいます。今後はパートナーシップ締結に向けて進展があるとみられます。

(参考)FiveThirtyEight


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