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業界動向 2024.10.07

Meta社CTO、Oculus創業者パルマー・ラッキー氏に解雇について謝罪

MetaのCTOアンドリュー・ボズワース氏が、2017年にMetaを解雇された「Oculus」の創業者パルマー・ラッキー氏に公式謝罪しました。そして、ラッキー氏がMeta本社を7年ぶりに訪問し、開発中のARグラス「Orion」を体験したことも明らかにされました。

ラッキー氏は2012年にOculusを創業し、Kickstarterで「Oculus Rift」プロジェクトを立ち上げたVR普及の先駆者です。Oculusは2014年にFacebookにより買収され、同氏も解雇される2017年までFacebookに在職していました。

ラッキー氏は、退職後、セキュリティや軍事・防衛製品に特化したスタートアップ・Anduril Industriesを創業。2019年の段階で、評価額10億ドル以上のユニコーン企業に成長しています。

一方のボズワース氏は、2006年にFacebookに入社。以降15年以上にわたって同社で勤務し、「ボズ」の愛称で呼ばれています。自身のInstagramアカウントで定期的にQ&Aセッションを行っており、「Metaが“メガネ型”のMRデバイスを開発中である」と発言する等、ユーザーの疑問への回答(あるいは、ほのめかし)で度々注目を集める存在です。

パルマー・ラッキー氏とアンドリュー・ボズワース氏の確執は、2017年にさかのぼります。当時、ラッキー氏がドナルド・トランプ氏を支持する政治団体に1万ドルを寄付したことが明らかとなり、Facebookを退社。Meta(当時Facebook)は退社の理由について、「政治的見解が原因ではない」と主張していましたが、ラッキー氏自身は政治的な理由で解雇されたと考えていました。

今回の公式謝罪のきっかけとなったのは、元Oculus CTOのジョン・カーマック氏の発言でした。カーマック氏は『Doom』や『Quake』といった有名ゲームの開発者として知られる伝説的プログラマーで、2013年から2022年までOculusに在籍していました。カーマック氏は2024年4月、ソーシャルメディア上でラッキー氏の解雇について言及し、「もっとラッキー氏を擁護すべきだった」と後悔の念を表明しました。この発言を受けて、ボズワース氏とラッキー氏は再度、非難の応酬を繰り返しました。

この騒動から5ヶ月後、一転してボズワース氏はラッキー氏をMeta本社に招待。ラッキー氏は7年ぶりに同社を訪れ、最新のAR技術「Orion」を体験しました。この際、ボズワース氏は対面でラッキー氏に謝罪し、先日X(旧Twitter)上でも公開謝罪を行いました。

ボズワース氏は謝罪の中で、「以前のコメントについて公に謝罪したいと思います。申し訳ありませんでした」と述べ、自身が誤った情報を基に発言していたことを認めました。さらに「あなたがMetaとVRの発展に与えた影響に感謝しています」と、ラッキー氏の功績を称えました。

これに対してラッキー氏は謝罪を受け入れ、「Metaは過去8年間で大きく変わりました。私のMeta退社や社内外で誹謗中傷に関わり責任がある人々はもはや存在しません」と述べ、和解の姿勢を示しました。

ラッキー氏はさらに、「(Metaの)キャンパスに戻ったことは、とても非現実的な出来事でした。『Orion』だけでも、この旅の価値は十分ありました。多かれ少なかれ、私が達成したかったことそのものです」と述べています。

(参考)Road to VR

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